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【社会】

<子ども虐待を防ぐ>親の不安投影しないで 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ さん

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 子どもが受け入れられる限度を超えているのに、たたいたり、暴言を放ったりといった苦痛を与えて勉強させる「教育虐待」の実態を取材し、警鐘を鳴らしています。近年は特に中学受験で親へのプレッシャーが強まり、「成績が悪いのは私のせい」と思い詰めている親が多い。先行きの不透明さが増す中、親が不安を子どもに投影してしまっているように見えます。

 子どもに過度な要求をしてしまう背景には、親自身が「正解はこれ」という教育を受けてきて、子育てにも正解があると思いがちだということがあります。必死で情報を集めて、「正解」に子どもを合わせなくてはと思ってしまうのです。

 「あなたのため」とか「いい教育を受けさせたい」「選択肢を増やしてあげたい」という言葉を頻繁に使っていませんか。そういう人には気を付けてほしいな、と思います。偏差値や学校の違いだけが教育の質にかかわるわけではないのに、窮屈な人生観によって、子どもを追い詰めてしまう可能性があるからです。

 五時間勉強しても大丈夫な子もいれば、一時間でも苦しくなる子もいる。子どものSOSに気づき、傷つけたかもしれないと思ったら、自分の未熟さに向き合うこと。子どもを変えようとするのではなくて、今の子どもの振るまい、成績を受け止め、自らが親として成長するしかないのです。

 僕も感情的になってしまうことはあります。そんな時は、いったん口を閉じ、少しでも間を置くようにしています。受験など子どもの人生の重大な出来事を前に、最初から適切に接することができる親はなかなかいません。でも、親自身がどんな人生もかけがえのないものと誇りを持ち、自由に生きることを大事にすることで、変わっていけるはずです。 (聞き手・奥野斐)

<教育虐待> 厚生労働省によると、教育のためという理由でも言葉での脅しや無視、きょうだい間での差別的扱いは「心理的虐待」にあたる可能性がある。おおたとしまささんの著書「ルポ教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち」(ディスカヴァー携書)には、子どもへの影響などが詳しく書かれている。

 

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