・IF設定が更に独自の進化を遂げた世界を舞台にお送りしております。
・キャラ崩壊注意です。
以上を踏まえた上でお読み下さい。
「同志の皆様お疲れ様です!」
ネイアは溌剌とした声で、同志達を心から称賛する。同時に目の前の光景に強い満足感を覚えていた。広く掃除の行き届いた室内で、乳幼児は保母に見守られながら玩具で遊び、ある程度の年齢となった青少年は文字や、学問を指導されている。
【子どもは国の宝である。】――ネイアの私室に飾られているアインズ様語録の1つだ。
「これはバラハ様!わざわざご足労頂きありがとうございます。」
カリンシャにある、支援者より貰い受けた3階建ての広大な屋敷。ネイア・バラハが聖地アインズ・ウール・ゴウン魔導国へ巡礼後、同志達に構想していた孤児院の設立がようやく軌道に乗り、『魔導王陛下へ感謝を送る会(仮)』直営の孤児院がようやく完成し、始動した。
ローブル聖王国はヤルダバオト襲来によって家族を亡くし、行き場の無い孤児や未亡人に溢れていた。ネイアは聖地で見学させて頂いた、戦いで夫を亡くした未亡人を保育士の職につけ、孤児達に教育を施す慈悲深い孤児院に感銘を受け、自分たちの国にも取り入れようと尽力し、ようやく実を結んだ。
【魔導王陛下医療支援同盟】【魔導王陛下教員同盟】の同志たちから、治癒魔法を得意とする者や教育者も引き抜き、立派な学園・医療院としての側面も持ち合わせている。ネイアから魔導王陛下の慈悲深き統治の一端を聞き、その試みに選抜された同志のやる気も十分だ。
もちろん超越者クラスの神官が院長を務め、知的な気配を漂わせるメイド悪魔の1人が運営する聖地魔導国の孤児院には程遠いが、ローブル聖王国では一番の施設であるという自負がある。
まだ会に所属する同志達や、一握の孤児や未亡人しか保護できていない段階だが、実績を作り国家が運営している孤児院を感謝を送る会(仮)に委託してもらい、全てを孤児院をこの施設レベルまで引き上げられれば、ローブル聖王国の未来も明るいものとなるだろう。
子ども達は先入観も無く、アインズ様がアンデッドであろうと偉大な御方であると真実を理解しやすく、いずれローブル聖王国で多くなるであろう亜人やアンデッドへの忌避感が薄いことも素晴らしい。
だがこの施設に入れるのは300人ほど……、あと4つの都市で同じ様な孤児院を展開する予定だが、それでも1500人。未だ悲壮に暮れあぶれる孤児達の数を考えれば余りにも少ない。
(アインズ様でしたらどのように……。やはり弱きことは悪なのですね。)
ネイアは孤児院に祀られている魔導王陛下の肖像画に思わず祈りを捧げる。聖地巡礼の7日間の見た慈悲深き統治は正しく、今のローブル聖王国への道標だ。願わくばもう一度、聖地にて学ぶ機が御座いますようにと……。