◆プレミア12 決勝 日本5―3韓国(17日・東京ドーム)
打った瞬間、自軍ベンチが総立ちとなり打球の行方を追った。大歓声に乗った山田哲の打球は、左翼席中段へと吸い込まれた。「追い込まれていましたが、大事な場面だったの集中して自分のスイングをしようと心がけました」。2点を追う2回2死一、二塁。先発左腕の内角低めの直球を捉え決勝の逆転3ランで試合をひっくり返した。17年3月14日のWBC2次Rキューバ戦(東京D)で2発放って以来の侍ジャパンでの一発で流れをたぐり寄せた。
前日(16日)のSR最終戦の韓国(東京D)との対戦では2二塁打2打点の活躍。試合後には「メンタル的にも『大丈夫! できるぞ!』と感じられる一打だったと思う」と手応えを得てこの日を迎えた。
チームでは正二塁手だが、今大会は一塁での起用。「必要とされてるならどこでもという思いでした」。代表入りが決まった際、ファーストミットは手元になかったため、急きょ日の丸の刺しゅう入りのデザインで発注。「1試合やった時の疲労は全然違う。腰を低くして集中しないといけない」。シーズンとは異なる守備の負担もあったが、仕事を全うした。
12年ロンドン五輪で女子レスリングの吉田沙保里が金メダルを取った瞬間をテレビで見ていた。「勝たなきゃいけないプレッシャーの中で勝っていますし、結果に応える姿は感動する。僕も打たなきゃいけない場面で打つのを期待されている。一流選手は毎年、毎年結果を出している。自分もそうなりたい」
出場した15年の前回大会準決勝・韓国戦では逆転負けを喫し3位。17年のWBCもベスト4止まりだった。「プレッシャーはすごいけど、『やってやるぞ!』という気持ちだった」。悔しさを晴らす一打で頂点に導き、満開の笑顔が咲いた。