「出版・報道の自由」など存在していない
2019年11月13日
Paul Craig Roberts
ウド・ウルフコッテの驚くべき本、Gekaufte Journalisten(買収さたジャーナリズム)は2014年にコップ・フェアラークにより刊行された。本は大評判となり、ドイツで1,500,000部売れたが、アメリカの主要出版社は英語訳を出版したがらなかった。最終的に、先月、小出版社Progressive Press『Presstitutes Embedded in the Pay of the CIA(CIAに雇われて埋め込まれた売女ジャーナリスト)』という題の英語版を出版した。
ウルフコッテの本は、欧米のどこかに独立マスコミがあるという錯覚/妄想を破壊する。ウルフコッテは、エリートによる、ジャーナリストの認識の独占を詳細に説明している。ジャーナリストは、諜報機関や、大企業や、ロビー団体や、政治家やアメリカ外交政策の宣伝屋と広報代理人役を果たしている。ジャーナリズムの機能は、エリートの権益とワシントンの外交政策を支持する言説を人々に伝えることだ。このメッセージは非常にドイツの人々に効果的に送られているので、主要ドイツ新聞の読者数は崩壊した。
ジャーナリストが、どのようにして、まだ学生のうちにリクルートされ、真実ではなく、他の権益に恩義を感じ、仕えることに依存するようになっているのに気がつくかという様子をウルフコッテは描いている。最下位の記者から最高位の編集者、果てはオーナーに至るまで報道機関の全員、エリートが言説を支配できるようにするのに巻き込まれている。ウルフコッテは、ジャーナリストと、諜報機関や、それに関係するシンクタンクや、大企業や政治家や外交政策組織との間をとりもつ組織の名前とリストを挙げている。ジャーナリストと大企業や政治家やアメリカ外交政策目標の近親相姦的関係は余りに蔓延しているので誰もそのことについて考えない。困難に陥る唯一の人々は、従わない人々だ。
ウルフコッテの本はドイツ人向けに書かれている。アメリカ人はドイツの詳細を退屈に思うかもしれないが、いかにして、ジャーナリストを諜報機関や政治家や大企業の手先に変えるかという微妙な過程の詳細が描かれている。本の始めは穏やかだ。ウルフコッテは、いきなり恐ろしい話を始めれば読者が不信感を持つのが分かっている。それで彼は、「情報源」や、イランに対するイラクのドイツ毒ガス使用のような本当のニュースの検閲や見返りを受け入れる話から始めている。
興味深い話の一つは、ブルガリアとルーマニアからドイツへの移民の波を、ドイツ報道機関がどのように対処したかだ。ドイツ政府は、移民のことを、勤勉で、決して失業していない「バルカンのプロシア人」として描くようマスコミに協力させ、本来のドイツ人を水増しすることを選んだのだ。ブルガリアやルーマニア移民の失業率の数値はドイツ人のものより低いというウソの主張がされた。エセ言説が検証なしで際限なく繰り返された。移民がドイツに取り込まれた途端、事実が現れた。福祉対象の移民の数は「大幅に増大し」続け、「前年比で60%増加した」。こうなることを警告していた専門家は「民族主義者」「ナチス」として悪者にされた。こうしてメディアは真実を締め出し、フェイク・ニュースを維持するのに奉仕した。
入念に紡がれた管理された言説のマトリックスが、なぜトランプや、マリーヌ・ル・ペンや本当の変化をめざす他の意見が、エリート支配に対する大きな脅迫と見なされるかを説明している。マリーヌ・ル・ペンは絶え間ない起訴の脅威に直面しており、CIA/FBI/DNCが画策したペテンが、トランプを大統領の座から追いだすために売女マスコミに使われる。欧米メディアが買収されているのだから、民主主義や説明責任ある政府はありあえない。これを明らかにしたのがウルフコッテの功績だ。
これがウルフコッテが暴露した面白い話題の一部だ。
我々のスポンサー、エリート・ネットワークと諜報機関による「真実」の大安売り
ジャーナリストは、トスカーナで、どのように別荘代を支払っているか?
同調し、従順で、決して質問しないマスコミ
諜報機関に締め付けられて
オバマのあらし屋:アメリカの第五列
ロックフェラーの亡霊:三極委員会
ビルダーバーグの権力:陰謀論か現実か?
ジャーナリストの3人に2人は買収されている
より高い目標:ドイツのアイデンティティーの切断
メルケルのおとぎ話の時間:ドイツ政府が、いかにして国民に嘘をついているか
ウルフコッテは、報復から守るべき子供や家族がいないので本を書くことができたと言っていた。本の終わりに、この本は三冊シリーズの一冊だとウルフコッテは言っていた。本が出版されて間もなく、ウルフコッテは心臓発作で亡くなった。56歳での彼の死は、心臓発作が本物だったのか誘発されたのかについて疑念を引き起こした。
ウィキペディアのウルフコッテ経歴は彼が正体をあばいた連中が書いている。ウィキペディアは支配マトリックスの一部だ。独立した情報提供者ではない。ウィキペディアの主要機能は真実を語る人々を中傷することなのだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/11/13/there-is-no-such-thing-as-a-free-press/
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先日、観光でやってきた外国の知人が、家族で東御苑に行きたいというので案内した。知人の友人を昨年案内した旧江戸城本丸跡に行くつもりだった。何か建設中で、ものものしい警備。本丸跡には近寄れなかった。最近の報道で理由がわかった。
日刊IWJガイド「政教分離に反する『大嘗祭』に24億円以上の国費! 明治以降の『つくられた伝統』を称揚する政権が目指すのは、戦前回帰!? 」2019.11.16日号~No.2620号~
日米FTAについて、大本営広報部、何か報じているのだろうか?TPPを絶賛するだけの大本営広報部には、もともと全く何も期待していない。政府広報の自由は、立派に存在している。
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