日本でも加盟店・対応カード共にどんどん増加傾向にあり、使える環境もどんどん広がっているNFC決済。
し・か・し!使えるようにはなっていても一見複雑そうに見えるため、その使い方を知らない・分からない・使おうとしても断られた・・・などなど様々な理由で「なかなか使えない」事例がよく目立っています。
そこで今回は、そんなNFC決済を実際に使う上でハードルが高い理由とタイプ別の使い方を徹底的にご紹介します。
概要 [hide]
対応してても使えない!?簡単にいかないそのワケ
お店では対応してるけど簡単に使えない・・・結局そのままカードで払ってしまった・・・
こうした声をちらほら耳にしますが、このような状況になっているその理由は主に2つ挙げられます。
1.端末の処理方法の違い
海外の決済端末においては、クレジットカードのみの運用であることが大半を占めることから「同時受付・一括処理方式」となっており、クレジット支払いを選択するだけで磁気・IC・NFCが同時に使えるためそのままかざすだけで簡単に使える仕様になっています。
一方で日本の決済端末の場合、先行で電子マネーを導入している関係もあり大半の端末において「選択別・単一処理方式」を採用しており、クレジット支払いとNFC決済が別のメニューとして分かれていることからお店の店員の方もわかりにくい状態となっています。
しかしながら、最近ではローソンやマクドナルド、ゼンショー各店で同時受付・一括処理方式の決済端末が登場してきたため徐々にハードルは下がりつつあります。
2.システムは統一だけど呼び名が統一されていない
決済処理方法は全く同一ではありますが、各カード会社や端末メーカーによってNFC決済の名称がバラバラになっており、さらに店舗での混乱を招いている原因にもなっています。
Visaなら「Visaのタッチ決済」、Mastercardなら「Mastercardコンタクトレス」など、端末ならJ-MupsやCAFIS Archは「NFCペイメント」、JET-SやINFOXは「NFC Pay」・・・
特にVisaにおいては日本での統一名称にはコンタクトレスを使わず「Visaのタッチ決済」という独自名称で展開しているため、ただでさえ複雑な状態であるのにも関わらず余計混乱を招いているのです・・・
海外でも従来はバラバラだった名称も現在では主に「コンタクトレス」と統一名称で呼ばれているケースが大半を占めるようになってきたため、利用の際もとってもスムーズです。
これが目印!日本のNFC決済端末と用語・決済プラットフォームの紹介
各加盟店で使用している決済端末にはすべて共通があり、いずれの店舗もここで紹介する決済端末を導入しています。
対応しているかの参考にも使えるので覚えておきましょう。
JT-C31(CAFIS Arch)
クラウド型決済プラットフォーム「CAFIS Arch」に対応したパナソニック製の据え置き型端末です(公式サイト)。
主に大型ショッピングセンターを中心に導入されていましたが、最近では消費者還元事業の影響で本端末を導入・入れ替えを行っている加盟店が急増しており、中小のお店でも徐々に設置店舗を見かけるようになりました。
JT-C16(INFOX)
飲食店や中小のお店でよく見かけることが多いパナソニック製の据置型決済端末です(公式サイト)。
NFC対応店舗としては主に関西方面に採用例が多いですが、中には美術館や寺院で本端末で対応しているケースも・・・
※CAFIS Arch/INFOXとは?※
NTTデータが運営する決済センターシステムに接続する端末・決済プラットフォームの名称です。
主に三井住友カードやクレディセゾンと契約した加盟店に多く設置されているのが特徴で、INFOXの決済端末が持つ各決済機能をクラウド化・高速処理と付加機能を持たせた次世代機としてCAFIS Archも積極的に展開しています。
特にCAFIS Archを設置した加盟店は三井住友カード・VJAグループと契約しているところが大半を占めるためNFC決済も高確率で利用可能です。
CATS300(JET-S)
オムロン製の据置型決済端末です(公式サイト)。
大きな特徴として本体とプリンタが分離になっている構造により、本体そのものがPINパッド兼用なのでICカード取引の暗証番号入力もこれ1台のみでOK。
JET-S(CARDNET)端末で主にVisa・MasterのNFC決済に対応した加盟店ではこの端末を使用していることが多く、UCカードとの契約で実現しています。
CT-5100(JET-S)
東芝TEC製の据置型決済端末です(公式サイト)。
消費者還元事業の影響で一時生産が追いつかない程まで申し込みが殺到しました。
大変よく見かけるようになりましたがその理由は簡単、日本中のお店で見かけないところはない東芝TEC製のレジと接続することで簡単に連動できるため金額・操作の二度打ちが不要だから。
主な契約先としてはトヨタファイナンスとJCBが中心で、これらの加盟店では全体の7割近くをこの端末で占めています。
最近ではNFC決済の対応も増えてきましたが、主にJCBの加盟店で本端末は採用例が多いため対応カードがJCB/AMEXのみしか利用できないパターンも増加しています。
※JET-S(CARDNET)とは?※
CARDNETとはJCB子会社の日本カードネットワークが運営する決済システムの名称で、これに接続する端末のことをJET-Sといいます。
親会社のJCBをはじめトヨタファイナンスの加盟店では数多く使われており、他にもジャックスやオリコといった会社と単独契約した加盟店でも採用例があります。
特徴的なサービスとして加盟店端末上でANAマイルの処理ができる「PULSEポイント」や共通ポイントを処理できる「POICHI」といったポイントサービスも展開。
JT-C30L(J-Mups)
パナソニック製の据置型決済端末です(公式サイト)。
J-Mupsはすべての決済でクラウド方式を採用しているため、導入しているどのお店で使ってもカードを通してわずか1秒で決済が完了する超高速仕様で決済時間で待たせません。
なお、NFC決済に対応した店舗はまだごく一部に限られており、電子マネーリーダーが画像の構成(JT-R550CR)になっている必要があります。
決済システム立ち上げの成り立ちから、主に三菱UFJニコスの加盟店ではほぼ100%使われています。
※J-Mupsとは?※
三菱UFJニコスとJR東日本メカトロニクスが共同で開発した決済プラットフォームです。
日本では初めてすべての取引をクラウド化し、決済処理をすべてセンター側にすることで情報漏えいの低減やAndroid採用の決済端末を用いることで端末価格の低コスト化を実現しました。
主に三菱UFJニコス契約の加盟店の他、標準契約で交通系電子マネーも取り扱えることから全国の鉄道事業者の売店やテナントでもよく利用されています。
(現在は自社で管理していた決済センター運営を日本カードネットワークに承継し運営)
JT-R600CR
パナソニック製のPOSレジ接続型マルチ決済端末です(公式サイト)。
最近とくに大型チェーン店で導入が相次ぎ、よく見かけるようになりました。
改正割賦販売法による決済システムの変更にも対応し、レジにカード情報などを残さないいわゆる「決済機能の外回り化」を実現しています。
端末の運用方式も従来とは異なり、クレジット処理をレジで選ぶと磁気・IC・NFCの同時待機方式を採用し、海外の端末とほぼ遜色ない運用形式なのでNFC決済がとてもしやすい構造になっています。
P400
Verifone製のPOSレジ接続型マルチ決済端末です(公式サイト)。
主に寺岡精工のPOSレジと一緒に使われることが多く、寺岡のマルチ決済システム「Payoss」の端末として採用されています。
端末の操作もセルフ操作が基本になっており、NFC決済もしやすい構造です。
主に三井住友カードがメイン契約の加盟店でNFC決済に対応しているケースが多く、まだまだ対応店舗は多くありません。
iSC Touch 480
インジェニコ製のPOSレジ接続型マルチ決済端末です(公式サイト)。
海外製らしく使い方も海外方式そのままなので主に決済操作もすべてセルフで行います。
元々からNFC決済しか使えない端末であるため、日本で見られるのはIKEAの各レジのみ。
これで完璧!端末・店舗別のNFC決済の呼び方・使い方
では今回の核心、各端末・店舗別のNFC決済の呼び方・使い方をご紹介していきます。
これさえ覚えればどのお店でもスムーズに使いこなせますよ!
CAFIS Arch・J-Mupsの場合
CAFIS Archの場合は業務メニューの最下部、J-Mupsは上から2つ目にボタンがあります。
分からないと言われたらボタンの位置も伝えてみましょう。
CAFIS Archの場合、下記左の端末で導入している店舗では現状NFC決済に対応できないため利用することができません。
また、J-Mupsの場合は電子マネーリーダーが現行品(JT-R550CR)以外の店舗では対応していません。
JT-C16(INFOX)、CT-5100・CATS300(JET-S)の場合
JT-C16、CATS300の場合は契約によりキーが奥のページに設けられているケースがあります。
「ない」と言われたら「次画面を押してページ切り替えたら出てくる」と伝えましょう。
CT-5100の場合やクレジットや銀聯キーの下(上から2番目または3番目)にNFC Payキーがありますのでわからないと言われたらキーの位置まで伝えてみましょう。
JT-R600CR、P400、iSC Touch 480の場合
これらのPOSレジ接続型決済端末の場合、クレジット操作でNFC決済も同時に待機状態となるため専用のキーは設けられていません。そのままかざして決済すればOKです。
なお、IKEA(iSC Touch 480)に限り端末のセルフ操作が必要で、クレジットと伝えた後にPINパッドを操作し①の「1.NFC PAY」を選択、②の「1.一括 or 2.リボ」の支払い回数を選択し③カードをかざし最後に④の○を押して支払いを確定させると決済が完了します。
※おまけ:Squareの加盟店の場合※
決済端末・システムにモバイルPOS・決済の「Square」を導入しているお店でもNFC決済を利用することができます。
上記の新ICリーダーを導入していることが条件ですが、リーダー表面の中央にカードをかざすだけで決済が完了します。
もちろん、クレジットの操作だけで同時待機になるため大変スムーズ。
まとめ
カード会社よ、わかりにくい現状をもうちょっとどうにかして!!
ご紹介してきたように端末の使い方も呼び名もバラバラで処理方法も別系統・・・
急ピッチで加盟店開拓している現状はいいですが、もう少しカード会社は加盟店への周知や案内の徹底を図ってほしいと思います。
これと合わせて、対応カードをお持ちの方はぜひお店で使ってみて、使って、使って、繰り返しでお店の方に慣れてもらいましょう。
そして使ってみて、ぜひ知らない人にもどんどん広めてあげてください(笑)