『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』の聖地巡礼をツアー会社がプランニングしたらどうなるのか。
参加者のレポを見ているとよく練られていることが分かる。
行き先を中心にツアーのポイントを説明していく。
レポと答え合わせ
ジョジョの公式聖地巡礼ツアーこと『黄金のイタリアツアー』が行われている。
おはようございます!
本日から私も1週間の黄金体験に行ってまいります
参加者の皆様、宜しくお願いします!
カメラマンもやりますので記念撮影される方はお気軽に声かけて下さい#黄金のイタリアツアー
ツアーの様子は監督や参加者のツイートで見ることができる。公式ハッシュタグは「#黄金のイタリアツアー」だ。
#黄金のイタリアツアー - Twitter検索 / Twitter
これがコンテンツとしてなかなか面白い。聖地巡礼をツアー会社がコーディネートするとこうなるのかと、なかなか勉強になる。そして「わかっているな」とも思う。
俺はツアーに参加していないけれども、ツイートを見ているだけで分かることも多い。そこで俺がツアーのどういった点に感心しているのかを説明していく。俺の興味は「場所」なので、主にツアーの行き先について書く。ツアーが発表された時「他にもここに行くのでは」とか「ツアーならここに行くべきだ」など好き勝手に言う記事を書いたので、その答え合わせも兼ねている。
特に指定無く「記事」とか書いてある場合、上記記事のことだと思ってもらいたい。
ツアーの行き先
ツアーの行き先は参加者のツイートや、以下のツイートでアップされたツアーマップを情報源としている。
募集ページとマップで紹介されている場所が変わっている。ここで挙げられた場所はツアー会社の考える目玉スポットである思われる。つまり募集ページとマップでどのように変化しているかを見れば、近畿日本ツーリストの意識の変化が見えてくるわけだ。
なので各都市について募集ページとマップでの違いから話を始めたいと思う。
ナポリ
挙げられた行き先について募集ページとマップでの違いは以下である。
場所 | 募集ページ | マップ |
---|---|---|
ネアポリス空港 | ○ | ○ |
ガルバルディ広場 | ○ | |
ヴィットーリオ広場 | ○ | |
ポジリポの丘 | ○ | |
ヌオーヴォ城 | ○ | ○ |
卵城 | ○ | |
ケーブルカー | ○ | |
ポンペイ遺跡 | ○ | ○ |
「ガルバルディ広場」と「ヴィットーリオ広場」が抜けて、「ポジリポの丘」「卵城」「ケーブルカー」が追加されている。
この変更は妥当だろう。ガルバルディ広場は駅前の有名な場所であるけれども、ジョジョ内での扱いは「警官時代のアバッキオがパトカーの窓を割られた場所」でしかない。しかもアニオリ。ヴィットーリオ広場は「ジョルノがブチャラティにパッショーネへの入団を宣言した場所」なので格は高いが、これは原作での話であり、アニメでは変更されている。アニメのカットが無い以上、マップで取り上げるには向かないだろう。
追加された場所については個別に見ていこう。
ポジリポの丘とヴィットーリオ広場
Googleマップ上では「View of the City」と表記される*1ポジリポの丘 (とヴィットーリオ広場) について、俺は以下のように書いた。
なのでヴィットーリオ広場は一番意外だった。確かに原作では印象的な場所である。しかし今回のツアーに参加する人の多くはアニメを見ているはずで、サイトのデザインもアニメの方である。加えて名前からも分かるように、View of the Cityの方が明らかに写真撮影向きの場所だ。
ヴィットーリオ広場からView of the Cityへは車移動ならすぐなので、俺は行くと予想する。もし行かないのであれば、企画者の頭脳がまぬけ。
ジョジョの公式イタリア聖地巡礼ツアーに申し込むか迷っている人向けの記事 - 本しゃぶり
予想通りだった。行かない理由が無い。個人で聖地巡礼する人も行くべき。
ところでツアー参加者の上げるヴィットーリオ広場の写真を見て笑ってしまった。樹が倒れていたからである。
この写真を撮影したのは2018年11月だ。少なくとも1年は放置されている。
卵城
卵城については以下のように書いた。
普通に考えたら次に行くスポットとして卵城がある。よく背景に登場したり、アニメでジョルノの母親が結婚写真を撮った場所だ。
しかし有名な建築物なのに行き先として表記されていないのが気になる。車内から見るだけなのかもしれない。
ジョジョの公式イタリア聖地巡礼ツアーに申し込むか迷っている人向けの記事 - 本しゃぶり
マップに載せただけのことはあり、この予想は良い方に外れた。しっかりバスから降りて撮影することができたようである。
撮影に向いた建造物なので、この判断は正しい。
ケーブルカー (フニコラーレ)
これは予想していなかった。ジョルノとブチャラティが出会った場所なので聖地の格は高いが、ツアーの規模からフニコラーレに乗ることは無いだろうと予想し、それならば行かないと考えたからだ。
しかし実際にはフニコラーレに乗りはしなかったが、駅には訪れたようである。できる限り聖地を巡礼させようとする精神に敬意を表する。
ちなみにこの駅はCentrale線のAugusteo駅である。個人でナポリに聖地巡礼で行く人は、この駅からフニコラーレに乗ろう。
フェデリコ2世・ナポリ大学
マップには載っていないが、意外な行き先だったので。
フーゴの大学は特定しようとすらしていなかったので、今の所ツアーの情報で一番有用だった。調べてみたら現実そのままのデザインで描かれており、すぐに特定できたので悔しい。
他に地味なスポットだと「カプリ島行きのボートを借りた場所」がある。こちらは俺の予想通り、バスから眺める形で通ったようだ。
ポンペイ遺跡
ポンペイ遺跡は募集ページもマップも「犬のゆか絵」が目的地だが、マップに使われているカットが「犬のゆか絵」でも「悲劇詩人の家」でもないことに気がつく。
これは「マリーナ門」と「フォルム」だ。作中で名前こそ出なかったが、原作でもアニメでも登場しているので、ポンペイ遺跡らしいカットとして採用したのだろう。
ガイドさん「マリーナ門アバッキオが遠足したって言ってたので遠足のときはここ通ったとおもいますよー」
遠足のときの話まで!!他にも景色色々!#ジョジョ#黄金のイタリアツアー
このルートで行くことは記事で予想した通りだが、これはジョジョとポンペイ遺跡を知っていれば誰でも分かることである。俺ぐらいに予想できるようになると、アニメ放映前に同じ構図で写真を撮る。
演出
これは普通のツアーとは違うので、ツアー会社もいろいろと独自の「演出」を仕込んでいる。俺はフォルムでは「鏡を置くやつが出てくる」と書いたが、ちゃんと公式で用意していた。
ただの鏡ではなく、イルーゾォが映り込んでいるものだ。しかし本当にすごいのは「鍵」の方である。「犬のゆか絵」に鍵があるのだが、アクリル板の向こう側に置いてあるのだ。個人にはできないことを平然とやってのける。これが近畿日本ツーリストの本気か。
例の道
「鍵」の件もすごいが、俺が一番感心したのはポンペイ遺跡へ向かうルートである。俺は記事にこのように書いた。
ポンペイ遺跡へは専用車で向かう。ならばぜひ寄ってもらいたい場所がある。213 SR18だ。
アニメでフーゴがジョルノのナビにブチ切れた道である。
この場所こそ個人旅行だと簡単には行けない場所である。絶対にツアーに組み込むべきだ。
ジョジョの公式イタリア聖地巡礼ツアーに申し込むか迷っている人向けの記事 - 本しゃぶり
ちゃんと組み込んでいる。オタクの求めるものを理解している。
ポンペイ遺跡やコロッセオなんかは一般のツアーでも行けるのだから、聖地巡礼ツアーはこうやって付加価値を生み出すべきだ。今後、他の作品で聖地巡礼ツアーをやるならば、これを参考にしてもらいたい。
ローマ
実は所用でローマ残留してたのでno napoliでした…
その代わりロケハンで行けなかったサンタンジェロ城に登ってきました。
ディアボロのラストバトルの場所がしっかり見えて、ブチャラティが昇天していったサン・ピエトロ大聖堂も見ることができます。オススメです!#黄金のイタリアツアー
ローマにおける行き先について、募集ページとマップでの違いは以下である。
場所 | 募集ページ | マップ |
---|---|---|
コロッセオ | ○ | ○ |
スペイン広場 | ○ | |
ヴェネツィア広場 | ○ | ○ |
サンタンジェロ城 | ○ | ○ |
ボルゲーゼ公園 | ○ | |
ミリツィエの塔 | ○ | |
政府関係機関 | ○ |
「スペイン広場」と「ボルゲーゼ公園」が抜けて、「ミリツィエの塔」と「政府関係機関」が追加されている。スペイン広場は現在の募集ページからも削除されている*2。有名な観光地ではあるけれども、ジョジョに登場していないのだから当然だ。政府関係機関もジョジョに登場していないが、それについては後述する。
ボルゲーゼ公園がミリツィエの塔に変わっているのは、理由の一つはマップにアニメのカットを載せるためだろう。地図上での位置が同じことよりも、外見が同じの方が分かりやすいからだ。刑務所の場合もモデルとなっているヌオーヴォ城を載せているわけだし。
サンタンジェロ城
記事に「コロッセオから歩いて行ってほしい」と書いたが、Twitterでの様子を見る限りそれはしなかったようである。ただ、アニメで描写されている道は歩いたようだ。
評価するのはサンタンジェロ城の正面の路地に行っていること。俺のようにコロッセオからサンタンジェロ城まで歩いて行く場合、何も考えないと川沿いを進むことになる。
問題はどのようなルートで行くかである。俺は先に示した通り、ティベレ川沿いを歩いていった。目的地が『橋』で現在地は『川岸』なのだ。それが自然に思える。
しかし後で原作を読み返して気がついた。レクエイムは真正面から橋へ向かっている!
ジョジョのイタリア聖地巡礼 黄金の風邪 - 本しゃぶり
ツアーでは作中と同じく城の正面からの撮影もしているので、ちゃんとガイドされているのだろう。
ミリツィエの塔
既に述べた通り、チョコラータのヘリコプターを捕獲した場所のモデルはミリツィエの塔である。作中の地図上ではボルゲーゼ公園となっているが、実際はぜんぜん違う。
なので俺は記事に「本当に行くべき場所はミリツィエの塔である」と書いた。ツアーでは両方に行った上で、ちゃんと説明があったようだ。
ミリツィエの塔
ジョルノ&ミスタとチョコラータ戦の舞台!!作中の表記は公園だけどモチーフはこっちとのことで、ちゃんとツアーフォローありました!色々な角度でみたよ!
ジョルノ「いや ミスタ 撃ってみなければわからないッ!」#ジョジョ#黄金のイタリアツアー
ミリツィエの塔は監督らがロケハンで偶然見つけた場所でもあるので、ツアーに監督が参加した時点で行くのは当然と言えるだろう。
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風#30-31
ジョルノVSチョコラータ戦の舞台のモデルはミリツィエの塔という建物です
当初、原作の地図のボルケーゼ公園内でそれらしき建物を探したのですが見つからず、諦めてベネツィア広場に下ってきた最中にたまたまみつけた場所ですhttps://www.google.com/maps/@41.8964714,12.4842493,170a,35y,101.25h,55.49t/data=!3m1!1e3 …
政府関係機関
Google Mapsでは "Prefettura di Roma" と記載されているこの場所は、原作でもアニメでも登場していない。そんな場所が載っている理由は唯一つ。
ジョジョ的にはそれっぽい像があるだけの場所なのだ。
これは完全に予想外だった。というのも、公式の「ローリング・ストーンズっぽい像」はこっちだと思っていたからである。
作画監督が言っていたら誰だってそう思う。だがツアーで使われたのはマップに書いてある通り、Prefettura di Romaの方だったわけだ。
しかし「よくこんな像を見つけたな」と言いたいところだが、この像をローリング・ストーンズと初めて呼んだのは近畿日本ツーリストではない。
公式は俺だった?
ヴェネツィア
4日目は朝からヴェネチアのはずが、なんと冠水で16時まで立ち入り禁止
機内から見えたのが多分リベルタ橋かな?そして3人が飛び込んだ運河。
「覚悟の強さが上なのは…オレの方だぜ…」ジョルノやミスタの覚悟だけじゃなく、ギアッチョの覚悟も尊敬する!#黄金のイタリアツアー
ヴェネツィアは例のアクア・アルタのせいで行程が変更となり、記事執筆時ではアニメの上映会をやっている。なのでマップから分かることだけを書く。
募集ページとマップでの違いは以下である。
場所 | 募集ページ | マップ |
---|---|---|
リベルタ橋 | ○ | ○ |
サンタ・ルチア駅 | ○ | ○ |
サンマルコ広場とライオン像 | ○ | ○ |
サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会 | ○ | ○ |
リアルト橋 | ○ | |
Ristorante da Raffaele | ○ |
募集ページから抜けた場所は無く、「リアルト橋」と「Ristorante da Raffaele」が追加されている。
リアルト橋は有名だし通過地点なので当然として、Ristorante da Raffaeleはツアーの規模を考えるとなかなかの決断。参加人数が約280人と人数が多すぎてイヤホンガイドを渡されるくらいなのに、全員がリストランテで食事できるのだろうか。
イヤホンガイド渡された
昨夜ホテルに向かう道中参加人数が発表され、その数なんとおよそ280人!!なのでガイドの声が届かない人が出ちゃうからイヤホンガイドって訳だ。ナルホドね!!因みに無くしたら五千円だそうだw#黄金のイタリアツアー
※画像付け忘れたから上げ直しホテルの電話はパナ製だw
ともあれアクア・アルタという試練があるものの、ヴェネツィアをどう観光案内するのか気になるところである。
終わりに
ツアーが発表された時は、場所のチョイスやガイドのクオリティはどの程度なのだろうかと、どこか推し測るような目で見ていた。しかしツアーの様子を見たところ、日程の制約がある中で実によくやっていると思う。というか、俺が考えたことはほぼ全て実現していると言っていい。日程を考慮したら、かなり満足度の高いツアーなのではないだろうか。
レポを見ていて一つ思ったのは、ツアーではガイドの質が満足度に影響を与えやすいということである。個人による聖地巡礼の場合、自分でプランを立てるのだから「その場所がなぜ聖地であるのか」は全て把握している。だからわけも分からず行くということは無い。
一方でツアーの場合は自分の把握していない場所へ行くこともある。これはツアーのメリットでもあるのだが、ちゃんと説明してくれないとなぜその場所に連れてこられたのか理解できない。聖地巡礼ツアーの場合、普通の観光スポットだけでなく、「作中に登場した標識」というようなこともあるのだからなおさらだ。
今回のツアーのガイドはセリフを完璧に暗記しているような人もいる一方で、ただその場所へ連れて行くだけの人もいたようである。せっかくここまで考えられたプランになっているのだから、メモを見ながらでもいいので、基本的な説明はできるようにしてもらいたい。
他にも細々とした不満はあるようだけど、全体的には高評価なようである。見ていると俺もまた聖地巡礼したくなってくる。前回の巡礼は下調べが不足していた点もあったのでリベンジしたい。
- 作者: 「地球の歩き方」編集室
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド・ビッグ社
- 発売日: 2018/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
イタリアへ聖地巡礼に行きたくなった人向けの記事
今まで5部の聖地巡礼記事はいろいろ書いているけれど、この3つを読んでおけば十分。
俺の聖地巡礼レポ。だいたいの場所は載せている。
上記聖地巡礼にかかった金額のまとめ。
ツアーに行けなかったと嘆くなら、まずこれを読むといい。行くためにはどうすればいいか書いてある。