じゃあ最近読んだものから 1. ロアルド・ダール『少年』『単独飛行』(永井淳訳、早川書房) 映画「チャーリーとチョコレート工場」の原作の児童文学「チョコレート工場のひみつ」を書いたイギリスの作家、ロアルド・ダールの自伝的回顧録。『少年』は出生から就職まで、『単独飛行』は軍務の話。
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ダールはイギリス生まれだが、実はイギリス人の血は引いていない。両親共にノルウェー人。裕福な実家で金銭面で困ったことはないようだったが、しかしマイノリティならではの苦労はたっぷり味わったんだろうなぁというのが伝わってくる。
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この本の良いところは、それはおそらくダールの技巧というよりは価値観や性格から由来しているのだろうが、とにかく明るくてユーモラスなところ。暗い雰囲気がない。冷静になって考えてみるととんでもなく酷い状況なのだが、ダールはそれを実にかろやかに語ってしまう。不思議な生命力を感じる。
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アテネでドイツ空軍と対決した時など15対1000という、どう考えても絶対絶命な状況なのに(しかもダール自身には実戦経験が皆無だった)、彼は戦い抜いて生き残ってしまう。それを誇るでもなく、また嘆くでもない。宮崎駿はこれを読んでダールに惚れてしまったという(解説まで書いている)。
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訳文も読みやすく、文量もさほど多くない、通勤通学時間に読めば一週間もかからないと思う(なにより面白いのでどんどん読んでしまう)。万人にオススメできる本です。 『単独飛行』のほうは宮崎駿が解説をしているらしいのだが、私の買った電子書籍版には収録されてなかった。読みたい人は注意。
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2. ウェンディ・ムーア『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(矢野真千子訳、河出文庫、2016年) インチキ医学史の本を読んでいたらジョン・ハンター(1728-1793)という医者がかなりスゴイやつだということを知り、そのものズバリな本があったので購入。タイトル通り、ジョン・ハンターの伝記。
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ジョン・ハンターは実験医学の父とか外科医学の開祖と呼ばれていて、それだけならば単に立派だなぁ、と思ってしまうが、これがなかなかとんでもない人物。スコットランドの田舎からロンドンに上京してきたジョンは、医師をしている兄ウィリアムの助手として働き始めるのだが、その仕事は「死体の調達」
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3. 繁田信一『殴り合う貴族たち』(角川ソフィア文庫、2008年) タイトルに惹かれて購入。源氏物語や枕草子の世界のような、典雅で優美でのほほんとした平安時代の貴族たちが、実は暴行・殺人・襲撃・建造物破壊・強姦・略奪などなど、数々の凶悪事件を引き起こしていたことを解説した本。
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著者は主に藤原実資の日記『小右記』を下敷きにして凶悪事件を再構成していく。この藤原実資、有職故実に通じた当代一流の学識者で「賢人右府」とも呼ばれた人だけに、日記の記述も公平・中立的なのだが、それだけに凶悪事件の数々の凄まじさが際立つ。現代でも連日トップニュースになるレベル。
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4. 立花隆『日本共産党の研究』(講談社) まだ全部読めてないんだなこれが。日本共産党の誕生から治安当局による弾圧、再生、適応などについて、なにより、「つまるところ日本共産党ってなんなん?」という疑問について、膨大な資料をあたって解明する。1978年の本なので今からもう40年前!
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40年前の本ではあるが、一つの思想集団が政党としての姿をとる時にどのような変質を遂げるのか、あるいは戦略をとるのか、そういうことを詳細に学ぶことができるのでやはり貴重。 個人的には選挙権を得る高校生諸君に読んでもらいたいと思う。
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