佐賀新聞社が実施した県民世論調査によると、九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)の望ましい整備方式は「整備せずにリレー(対面乗り換え)方式のまま」との回答が最も多く36・2%だった。与党プロジェクトチーム(PT)が基本方針に掲げる「フル規格」は17・0%だった。「フル前提の協議には応じない」とする山口祥義知事の姿勢も69・5%が支持すると回答、県民世論が知事を後押ししている状況がうかがえる。
与党PTは国土交通省に佐賀、長崎両県とJR九州の4者で協議するよう求めている。山口知事は2022年度の暫定開業時に採用するリレー方式、県が過去に合意したスーパー特急、導入が断念されたフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の3方式ならば「協議は否定しない」とする一方、フル規格やミニ新幹は「時間をかけてゼロベースから議論すべき」としている。
世論調査ではこうした県の主張を踏まえ、前回の回答の選択肢にスーパー特急とFGTを加えた。回答は多い順にリレー方式36・2%(前回比1・9ポイント減)、フル規格17・0%(2・6ポイント減)、スーパー特急11・3%、ミニ新幹線10・0%(11・9ポイント減)、FGT7・1%となった。
県は新鳥栖-武雄温泉間について「これまで在来線を生かすことで合意してきた」と主張する。回答は在来線を走るリレー方式、スーパー特急、FGTの合計が54・6%を占める。大掛かりな建設工事を伴うフル規格とミニ新幹線の合計は27・0%にとどまった。
沿線でフル規格を求める割合は佐賀市が17・8%、鳥栖市8・0%、神埼市4・3%、小城市9・4%といずれも低い。一方、フル規格での整備が進む武雄、嬉野両市は傾向が割れた。武雄市はフル規格が30・6%と他市町に比べて高いものの、最多はリレー方式の36・1%だった。嬉野市はフル規格が52・2%と他の方式を圧倒した。
山口知事は「新鳥栖-武雄温泉間の新幹線整備は求めていない」「フル前提の協議には応じない」と主張し、与党や国交省に対たい峙じしている。こうした知事の姿勢を69・5%が「評価する」とし、「評価しない」の20・5%を大きく上回った。