Metro North Railroad M8。
ニューヨークまで電車で行くとき、メトロノースという名前のローカル電車を使います。
(ちなみに全米を走る鉄道はアムトラックと言います。)
私がアメリカへ来た当初のメトロノースは内側の壁が古い木目調で、紺色のビニールシートの座席はところどころ穴が空いており、トイレもあるのですがトイレの近くは絶対に座りたくない、つねにそんな臭いを発していました。
良くも悪くも、アメリカの電車に乗っている雰囲気満載な電車でした。
しかし2009年に、自分の普段使っていたM8のラインが川崎重工で製造されたものに変えられました。
前から見た顔はまさに日本の電車といった感じです。
内側の壁も白くて外側に少し膨らんだ形をしているので、広々とした印象を持ちます。
座席は日本の電車とは違い、走行時間が長いのでできるだけ多くの人が座れるように以前と変わらず2人掛けや3人掛けになっていますが、トイレも全く匂いが外に漏れてくることもなく空気が循環していて衛生的で、座席も掃除がしやすくなったせいか、昔の電車より清潔に保たれています。
昨年の暮れ、まだ自分がニューヨークまで仕事で通っていた頃、職場の忘年会があり二次会は女子トークで盛り上がり、気が付いたら12時まわったことがありました。
幸いニューヨーク発のローカル電車は地下鉄も含めて終電がありません。
しかし、いつもの新しい電車はすでに車庫へ帰ってしまっていたようで、なんと昔走っていた電車が夜中に活躍していたのでした。
週末の12時過ぎの、昔の木目調の古い電車はかなりヤバかったです。
心なしか周りの乗客がみんな悪い人に見えてしまうくらい危ない雰囲気を電車ごと醸し出していました。
なぜ自分がそんなことを思ったのか考えてみたところ、その電車が主役で走っていた90年代半ばの頃はちょうど私の住んでいる街やニューヨークが犯罪の街として一番危険だったころと重なったせいだと思いました。
あの頃はニューヨークへ遊びに行ってカバンごと盗られて帰ってきたなんてこともよく聞きました。
ということであまりお勧めはいたしませんが、90年代のアメリカを肌で感じてみたい方は週末の深夜12時過ぎのメトロノースM8ラインに乗ってみると、少し変わった体験ができるかと思います。