明徳義塾・馬淵史郎監督(63)は試合中、じっくりと星稜・林監督の表情を見ていた。「監督の顔を見ると作戦とかが分かるもんでね」。1992年夏の甲子園大会、松井の5打席連続敬遠四球以来、27年ぶりの因縁対決。軍配は百戦錬磨の指揮官に再び上がった。
「特別なところはなかったけど、ぼくは楽しかったよ」。馬淵督は満足そうな笑みを浮かべた。
一塁ベンチの右隅で腕を組んで、采配は選手任せ。4つの四球を与えたものの、もちろん敬遠はなし。指揮官は「甲子園で上を目指すんだったらランナーをためていては勝てない。小技で勝負するんではなく、ビッグイニングをつくらないといけないから打たせたよ。それでたまたま集中打が出て勝てた」とご満悦だ。
明徳の作戦を星稜ベンチに考えさせておいて、してやったりの快勝。しかし、馬淵監督は「ヒット数は同じ。9回も火の出るような打球が正面をついただけ。どう転んだか分からないよ」と謙虚に締めくくった。