食べ物の味が変わる手袋! 電気刺激で味覚を操作する新技術を取材
皆さんは好きなものを好きなだけ、気の向くままに食べたいと思ったことはありませんか?
食事は私たちにとって最高の娯楽の1つです。
しかし現実は、食べ過ぎや肥満、塩分・糖分の過剰摂取など健康上の様々な問題が障害となって、自由気ままな食事を楽しむことができません。
コンサートホールへ行かなくてもオーディオ機器が聴覚を楽しませ、実際その場にいなくても映像が視覚を楽しませてくれるように、味覚も自在に楽しめるようにできないのでしょうか?
11月13日から15日に幕張メッセで開催された先端デジタル技術をテーマにしたイベント『Digital Content EXPO2019』では、そんな味を操作する夢の技術に関する研究が展示されています。
今回はその技術研究の筆頭となっている、明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下研究室にお邪魔してお話を聞いてきました。
果たして、「味覚を制御する」そんなことは可能になるのでしょうか?
食べ物の味を変える電気味覚の研究
kain:「電気味覚」は最近テレビ番組でも取り上げられたり、様々なメディアで注目を集めている技術です。電気で味を制御するというこの技術について、今回は研究者の宮下教授に直接解説していただこうと思います。どうぞよろしくおねがいします。
宮下:はい、よろしくおねがいします。
kain:と、かしこまった雰囲気で始めましたが、実は宮下教授は私の大学院時代の研究室の先輩なんですよね。この取材もその縁で受けていただいています。
宮下:そうだね(笑)。なので、他のメディア取材では複雑になりすぎないよう控えめな説明で済ませていた部分についても、きちんと詳細に解説を書いてもらえると期待しています。
kain:いやあ、大丈夫かな…。では、まずは「電気味覚」がなんなのかというところからお願いします。
宮下:電気が味覚に作用するという事実自体は、250年以上も前にズルツァーという科学者によって発見されているんです。
kain:歴史がありますね。
宮下:そうなんです。だからぽっとでの研究というわけではないんですよ。ズルツァーはこのとき、種類の異なる2種の金属を口にくわえると味を感じることに気づいたんだそうです。
kain:銀歯を入れている人が金属の食器をくわえると嫌な感じがするというのが、2種の金属が化学反応で電気を生み出しているせいだと聞いたことがありますね。
宮下:まさにそれだね。これは電池と同じ原理で口内に電気が流れるからなんです。同じ事実は電池を発明したボルタも気づいていたと言われてます。
こうした事実から、その後電気による味覚の刺激について多くの研究が行われたんです。視覚障害の人に舌への刺激で周囲の状況を知らせるという研究もあります。しかし、多くは舌状に電極を取り付けて刺激を与えるようなものが多くて、味覚の研究でありながら、なかなか食事という行動と結びつく研究は出てこなかったんです。
kain:そこに新しい風を吹き込んだ研究者が宮下研究室に現れたんですね。
宮下:宮下研究室では、当時は博士後期課程の学生として所属していた中村裕美さん(現東京大学)が電気味覚の研究を始めました。中村さんは、フォークやストローに電極を取り付けて、口に含んだ食品を介して舌に電気刺激を伝えるという方法で実験をしたんです。
kain:ここから食事と結びついた本格的な電気味覚の研究が始まったわけですね。
宮下:宮下研で行われた初期の研究では、この方法で食品に化学物質を添加することなく味だけを変えるということに成功しました。ただ若干金属のような変な味もしていて、美味しさを出すとか、狙った味を出すということは、まだできなかったんです。
kain:たしかに金属をくわえたときの味って考えると微妙かもしれませんね。
宮下:その後の研究によって、舌にプラスの電極刺激を与えた場合と、マイナスの電極の刺激を与えた場合で味の感じ方が変わるということがわかったんです。
kain:つなぐ電極によって味が変わるんですか?
宮下:おもしろいよね。ただ、この事実についてはハムスターを使った先行研究があるんです。
kain:ハムスター。
宮下:実はハムスターは味を感じているときに検出できる活動電位というものがあって、それを測定することで味を感じているのかいないのか、またどのくらいの強度で味を感じているかということが調べられるんだそうです。これは2009年に発表されたHettinngerという研究者の論文で報告されています。
kain:ハムスターでそんなことが。
宮下:そしてこの研究が、ハムスターの味覚に陰極をつないで行われていたんです。グラフはハムスターの活動電位を表していますが、最初の大きい波は電気を与えずに物を食べさせた状態です。ここで陰極刺激を舌に与えると、まったく味を感じていない状態になるんですね。そして、陰極刺激をOFFにすると前より強い味の刺激が確認できたというんです。
kain:味の刺激にバネのような反動があったということですか?
宮下:そうです。僕たちの実験でも、陰極(マイナス)を食品に繋いだ場合、人は口に入れた瞬間塩味を感じなくなり、食品がフォークを離れて通電が途切れた瞬間、まるでバネのように塩味が跳ね戻り味を強く感じるという結果が得られたんです。
kain:初期に行われた研究は、陰極ではなかったんですね。
宮下:一番初期の研究では、両極型という形を取っていました。食品に常に電気が流れているような状態ですね。その後の実験では一極型になりましたが、食品には陽極をつないでいました。
kain:つまり電気味覚は、食品を陰極につないだ場合は塩味が一旦なくなり離すと強く感じるようになって、陽極につないだ場合は金属のような電気の味が加わる、ということですか。
宮下:そうなんです。実はこのつなぐ極によって電気味覚の効果が異なるという事実は、メディアに説明するのは初めてなんですよ。いつもはここまで求められないので。
kain:なんと。じゃあこれは貴重な解説ですね。
宮下:効果を見た場合、陰極のほうが有用そうだということになりました。そこで陰極刺激を食品に与えるためのデバイスを開発しました。
この手袋自体は絶縁体で、人差し指の指先にだけスマホ操作可能な手袋に使われている電導性素材の指サックを付けています。ここに陰極をつないで、陽極は手袋を貫通して地肌に接触させています。
こうすることで食品を掴み口に入れると身体を通じて電気が流れ、食品から食器や手が離れると電気がOFFになるようにしているんです。
kain:最初の研究では食器だったデバイスが、手袋になったのはなんでなんですか?
宮下:単純に金属の食器を掴めばなんにでも効果を出せるというのと、食品を直に掴んだ場合でも効果を出せるからです。お寿司やスイカなんかはこの手袋で手づかみで食べた場合でも効果を発揮できます。デバイスを手袋にしたという点は、ありそうでなかった発想で研究を発表する際にも高く評価されているポイントです。
さっそく体験してみた
kain:では、さっそく試してみたいんですけど、なにか食べるものありますか?
宮下:なにもないんだよねえ。他の取材の人は予めスーパーとかで買ってきてくれるから。
kain:すみません(汗)。
宮下:あ、ちょうどいいのがあった。これは今僕の一番のお気に入りの食品です。
kain:なんですか…それは?
宮下:これは最近出てきた「エナジーバーグ」ですね。ちょうど良いから宣伝も兼ねてこれで実験しよう。
kain:えなじーばーぐ? なんかとんでもない色してますけど…。それに宣伝って。
宮下:この色は抹茶味だからだよ。エナジーバーグはカフェインが配合されたエナジードリンクとかと同じ効能を持つハンバーグなんだよ。最近すごく忙しいから、基本学校でお昼は食べないんだよね。食べると眠くなっちゃうから。でもエナジーバーグなら眠くならないから食べられるんだよ。
これがなくなると僕の研究生活に支障をきたすから、流行らせるために一緒に宣伝しておいてよ。
kain:いや、うちと何の関わりもないんですけど。まあじゃあ、気になった方は検索して買ってみてください。てか宮下教授の食生活はそんなんで大丈夫なんですか?
じゃあ、とりあえず電気は加えずにそのまま一口いただきますね。…うん、若干苦味はありますが、匂いも味も至って普通のハンバーグですね。むしろ結構、美味しいかもしれない。
宮下:でしょう?(嬉しそう)
kain:なんでエナジーバーグの食レポになってるんだ…。では、今度は手袋をはめていただきます。…あれ? なにも変わらないんですけど。
宮下:電池が弱ってるんじゃない?(電池を口にくわえる)
kain:ええ…なんでいきなり電池くわえてるんですか。
宮下:最近は舌に流れる電気でだいたい電圧がわかるようになったんだよ。ああ、全然弱いね。
kain:何を言っているんですか…?
宮下:電池変えてみようか。――あ、来てる来てる! 大丈夫だよ。
kain:そんなやり方、あんまり大丈夫じゃないですよ。この様子を書いちゃってもいいんですか?
宮下:まぁいいんじゃないですかね。電気を味として知覚できるからこそ、テスターがなくても簡易的にチェックできるわけですし。
やっと実食
kain:あ、すごい。本当にくわえた瞬間は味がないのに、フォークを抜くと味が広がりますね。
宮下:塩味はうま味を引き立てる効果があるんですよ。だから、塩味と一緒にうま味も強く引き立ってくるんです。
kain:これは確かにすごい。おもしろい体験でした。
宮下:ハムスターの研究でも報告されていたけど、普通に食べた場合よりも塩味は強く感じられるようになります。この効果を利用すると、減塩などの味気ない食事でも強くしっかりした味を感じることができるようになるんです。
kain:病院食や、高血圧などで減塩の味気ない食事を余儀なくされている人たちにとってはありがたい話ですね。
宮下:そういう人たちへの貢献を目指しています。
kain:でも一体どうして陰極に食品をつないだ場合、塩味が強くなるのでしょうか?
明らかになる電気味覚の原理
宮下:実は僕らも、発表当初はこうした効果がなぜ出るのかはっきりわかっていなかったんです。単純に舌の味覚神経(味蕾)を電気が刺激するから、というように理解していました。
でもそんな説明では納得しない研究者がいたんですね。それが当時大阪大学に所属していた青山一真先生(現東京大学)なんです。青山先生は被験者に電極を直接貼り付け、電気によってどういった味が変化するのかを徹底的に研究して発表したんですよ。
その結果、電気で味が変化する原因は、食品が含む味覚刺激物質のイオン化(電離)にあることがわかったんです。
kain:すごい先生ですね。
宮下:青山先生は今や、常に一緒に研究を行う共同研究者となっているんです。
kain:それは面白い話ですね。研究チームってこういう縁でも広がっていくものなんですね。
宮下:青山先生はこのことから電気の陰極刺激で操作可能なのは、味を生む物質が電解質の場合だけだということを明らかにしました。
kain:電解質というのは、水などに物質が溶けたとき電気を流す性質のことですね。
宮下:塩味を生み出すのはNaCl(塩化ナトリウム)いわゆる塩ですが、これは電解質で水に溶けた際「Na+」のナトリウムイオン(陽イオン)と「Cl–」の塩化物イオン(陰イオン)に分かれます。このせいで塩水は電気を流しやすいんですね。でも砂糖はイオンに分かれない非電解質です。電気的に中性となり、砂糖は電気の影響を受けないんです。
kain:陰極のときだけ塩味が消えるのはなんでなんですか?
宮下:実は味蕾が反応していたのはナトリウムイオン「Na+」だけなんだよね。「Cl–」には反応しない。陰極を舌に接続した場合、プラスの電荷を持つナトリウムイオンは磁石のように陰極に引き寄せられてしまうため、塩味を感じなくなっていたんです。そして食品が電極を持つデバイスから離れると陰極に集まっていたナトリウムイオンが一気に開放されて口内に広がるんです。
kain:これが、陰極を接続したとき、味がぶわっと広がる現象の正体なんですね。
宮下:「イオン」って説明すらもテレビ局に嫌われるので、こうやって記事で正確に説明していただけるのはありがたいです。
kain:あんなにマイナスイオンがリラックス効果とかいってるのに(笑)。
宮下:そうなんだよ!
進化していく電気味覚
宮下:青山先生の研究で味を生む物質が電解質ならなんでも電気で制御可能とわかったんです。苦味をもつ塩化マグネシウムや、酸味を生むクエン酸も電解質だから電気で制御できます。
kain:じゃあ甘味だけはどうにもできないわけですね。
宮下:ところが青山先生は、この問題についても解決方法の手がかりを発見しているんです。グリシンという物質です。プラセボ効果の対照実験などに使われるまったく無害な白い粉ですが、若干の甘味を持っていて、しかも電解質なんです。青山先生はこのグリシンを使って検証し、抑制・増強効果が発揮されることを確認しました。
他に、後から宮下研究室のメンバーに加わった学生たちも、続々と新しい発見や研究を発表してるんです。博士前期課程2年の上野さんは、電極を喉に貼り付けることによって、スポーツドリンクなどの甘味の後味が長引いて増強されることを発見したんです。この発見はとても画期的だと思っています。
kain:喉に電極を貼ると味が長引くというのは、何か舌の奥では苦味を感じやすいとかそういう話と関係あるんですか?
宮下:舌の位置によって味の感じ方が変わるという味覚地図だね。これは最近の研究で間違いだったことが明らかになったんですよ。5味を感じる味蕾は舌上のどこにでもあるのです。
kain:あれ間違いだったんですか。
宮下:僕らが子供の頃には教科書にも載っているような常識だったものね。でも、実際そういう感じ方をする人は多いみたいだから、味蕾の分布とは別の原理が存在しているのかもしれない。そこはちょっと僕にもまだわからないな。辛味も分類上は痛覚になって味とは異なる刺激になるんだよね。
kain:辛いって味じゃないんですね。
宮下:僕らの感覚からすると「え? そうなの?」ってなるよね。味については僕たちがまだ解明しきれていない原理が色々潜んでいるのかもしれないです。
kain:では、なんで喉に電極をつけると甘味が長引くんですか? というか陽極を貼っているということは、さっき解説した陰極刺激とは関係ないってことですよね? そもそも砂糖は誘導されないってさっき話してましたし。
宮下:そう、そこがこの研究の重要なところで、ここでは陽極刺激を利用してるんです。
プラス電極から明らかになる味覚の秘密
kain:そういえば、陽極を食品につなげると金属のような味になる、と最初に解説していましたけど、陽極で起こるこの作用は一体なんだったんですか?
宮下:実はこの原因も青山先生がかなり信憑性の高い仮説を立ているんです。これはおそらく5味を感じる受容体全てが電気刺激によってサチっているせいだと考えられるんです。
kain:サチってる?
宮下:ああ、僕らはサチるって言い方をするんだけど、これはサチュレーション、つまりすべての値が振り切れているという意味です。陽極刺激は味蕾を全アクティブにしてしまう効果があって、それによって金属のような味が発生していると考えられるんです。
kain:じゃあ、高校生がドリンクバーでイタズラするみたいに、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味を全て混ぜたら金属味のジュースが作れるってことですか?
宮下:すべての味をちょうど同じ強度で混ぜ合わせることができたなら、おそらくそうなるだろうね。
kain:だとすると、喉に陽極を貼ることで甘味が継続する理由は?
宮下:本当は甘味だけを感じているわけではない、と考えられます。陽極刺激の作る味で甘味が継続されたと感じるのは、単純に甘い物を飲み込んだという刺激やイメージによる錯覚も後押ししている可能性が高いです。
kain:陽極刺激にもちゃんと利用価値があったんですね。
宮下:こうした陽極刺激の効果は、宮下研究室で最初に電気味覚の研究を始めた卒業生の中村さんが、2016年に『NO SALT RESTAURANT』というプロジェクトで発表しています。
『NO SALT RESTAURANT』はその名の通り、一切塩を使わない料理を電気刺激によって「塩の利いたおいしい食事」に変える試みで、高血圧症や脳卒中の患者さんの健康と、食の楽しみを両立させることを目指しています。
kain:塩を一切使わないんじゃ、陰極刺激が利用できないですね。
宮下:僕も最初この発表を聞いたときは多少塩を使ってるんだと思ったんです。だから「陰極刺激を使っているんだよね?」って中村さんに聞いたんです。そうしたら「違います。陽極なんですよ」って言われて逆に驚きました。
kain:確かに見た目からして塩気の強そうな料理が並んでますね。
宮下:「きっと塩味がする」という思い込みが、無塩料理を電気刺激によって塩の利いた料理のように感じさせてくれるんです。
ちなみに、このプロジェクトは学会のみならず世界中で大きな話題になって「文化庁メディア芸術祭2017」で優秀賞を受賞しています。
kain:すごい。既に社会に実装される段階まで進んでるんですね。
宮下:あとは、上手く電力を確保できれば永遠に味を生み出せるという特性に目を向けて、宮下研を卒業した大学院生である大場くんは圧電素子を使った「無限電気味覚ガム」なるものを開発しています。
圧電素子を使って噛む力で電力を生み出しているので、噛んでいる限り味がします。
/大場直史/明治大学 宮下研究室
kain:米軍にでも紹介してあげたいですね。
宮下:確かにいっつもガムを噛んでるイメージがあるね。ただ、このガムは少なくとも僕はそんなに美味しいと思わないですね。このガムで発生するのは両極刺激だから、感じられる味は苦味・塩味・金属味が混じったような味なんです。
kain:それはノーセンキューです。なかなか悩ましい発明品ですね。
宮下:最初は一見不格好で不可思議なものに見えるけど、未来を形作るデバイスは、こうした研究の中で生まれていくんです。外部からの給電や充電、あるいは有毒な電池の内蔵…という電源の問題を解決する糸口としては、すごい研究ですよ。
kain:いずれ自在に味を生み出せるようになれば、こういう発想も重要になりますね。化学物質が作用する刺激は制御が難しいと考えられていたのに、かなり実現に近いところまでこぎつけているように感じます。添加物みたいな化学物質の調合で味を作るより遥かに健康に良さそうですし。
宮下:僕たちは何のために食べているのかということだよね。添加物でフェイクの食べ物も今は世の中に満ちているけれど、味さえ求めた通りに楽しめるならば、別に食品それ自体は不要かもしれない。
大量に食品を作っては廃棄している一方で、地球全体の食糧危機という問題も耳にする。シンセサイザーで自由に音を作るように、電気で味だけ自由に作れるようになれば、健康に害を及ぼすものを食べる必要も、必要以上に食品を作る必要もなくなるかもしれません。
kain:非常に意義深い研究ですね。エナジーバーグが主食の人が言ってるセリフとは思えないですが。
宮下:それは言わないでください。
未来に向けて
最後に、宮下教授は、一本の小説を紹介してくれました。
それは未来を予言していると言われるSF作家、星新一の短編集「妄想銀行」に収録されているショートショート作品「味ラジオ」です。
この小説の中では、未来の人々がラジオから送信される味の情報を奥歯のデバイスで読み取って、ただの水を紅茶やコーラの味として楽しんだり、ガムを噛みながらチーズやビーフシチューの味を楽しんだりしています。食事は健康に良い栄養食だけを摂って、味は独立した娯楽として享受できるのです。ここに描かれているのは、そんな未来の姿です。
荒唐無稽で魔法のようなSFの世界。しかし、それはいつの間にか私たちとって当たり前の世界として広がっていきます。インターネットもスマートフォンも、なんだか突然世界に現れたように私たちは感じてしまいます。しかし、その裏では何10年も掛けた地道な研究者たちの努力があるのです。
ここで紹介した今はまだ未熟な電気味覚技術も、いずれ星新一が描いた小説の世界のように、気がつけば私たちの生活になくてはならない存在になっているのかもしれません。
記事の一部を修正して再送しております。