肉の脂身を見るたびに思い出す男性がいる
大阪の某ホテル メンバーズバー
ボックス席が幾つかあるフロアの片隅にグランドピアノが置かれていて
ピアノを囲むようにカーブしたカウンター席が造られていた
ピアノ弾きのアルバイトをしていた頃
毎週現れるその人は
紳士な笑顔で「どうぞ」といつもバラの花束をピアノの横にそっと置く
私は鍵盤に指を走らせながら軽く会釈して笑顔を返す
その人は
私からみて 10時方向のピアノカウンター席につき
ウィスキーのあてに 必ず奇妙なのもを注文する
丼いっぱいの豚の脂身
ピアノバーに似つかわしくない裏メニューで
常連のその人にしか出されない
会社経営者で地元の有力者だとスタッフから聞いた気がするけど
詳しくは知らない
ピアノ演奏は通常30分の3回ステージで
間の30分休憩は奥の部屋で待機する
客の席につくことは禁じられていたので
あまり会話することはなかったのだけど
「花束いつもありがとうございます」とお礼ついでに
思い切って尋ねてみたことがあった
「どうして脂身だけを注文されるんですか?」
「うまいんだよ~コレが 体にイイんだ」
どうなんだろう?丼いっぱい脂身、、、
血管壁もギトギトになりそうな気がするけど
その人はズルズルっと 美味しそうに食べていた
脂身が体に良いはずはないだろうと思いつつも
50歳前後かと思われるその人の顔はテカテカに光っていて
シワのない張りのあるキレイな肌
人それぞれに合う合わないがあって
その人には健康の元になっているのかもしれないと感じた
以前書いた
食事にも運動にも気遣っていた人が50歳でガンで亡くなったり
毎日夕食はポッキーとビールだけという 元気な90歳のマラソンランナーもいたり
世の中は不思議だらけ
人それぞれに 合う合わないがあって
コレが正しいとか 言えることではないということなのか?
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いつもは脂身の少ない肉を選ぶ私だけど
きのうは久々ステーキ肉
赤身のフチにくっついた脂の部分だけを食べてみた
なるほど
トロッとした旨味が無くはない
あの人は この旨味に敏感な人だったのかな
もう遠い記憶だけど
脂身を見るたびに あの人を思い出してしまうw
あなたにもないですか
名前も知らないけどずーっと記憶に残っている人 笑
ご訪問ありがとうございました
感謝☆