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【政治】

桜を見る会 事務所ツアー 首相、際立つ地元優遇

「桜を見る会」で小走りで移動する安倍首相(中央)=4月、東京・新宿御苑で

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 安倍晋三首相の地元山口県の事務所を通じ、首相主催の「桜を見る会」に参加した複数の後援会関係者が、前夜祭などを含めた「ツアー」の実態を証言した。会場に向かうバス車内で事務所の職員が案内状を回収し「受け付け」を実施、手荷物検査もなく、下車後は次々と首相夫妻と記念撮影するなど優遇ぶりがあらわになった。

 会には各界で功績、功労があった人だけでなく、首相の支援者が招かれており、招待基準の不透明さや人数肥大化が問題視されている。参加者の一人は「特にすることはなく、芸能人を探して楽しんだ」と振り返った。

 地元事務所の秘書から誘われ、二〇一五年四月の会に参加した男性は、事前に代金を事務所職員に手渡していた。会の当日、地域ごとに大型バス約十台に乗り、午前七時に東京都内のホテルを出発。顔見知りの事務所職員が車内で案内状を集め、記念品の升を配った。

 バスは新宿御苑内の駐車場に乗り入れ、手荷物検査をする受付には立ち寄らなかった。事務所が用意した御苑の地図に星印が付き「安倍後援会集合ポイント(写真撮影)」を案内。「カメラは事務所にお任せください」との記述もあった。下車後、首相夫妻が桜の木の近くに現れ、地域ごとに記念撮影が行われた。

 安倍首相主催の会に参加したことはないという後援会メンバーの一人は「地元の人に功労者などいない。誘われた人が別の人を誘い、増えていったんじゃないか。これ以上の騒ぎになれば選挙にも響く。なくなってしまえばいいと思う」と話す。

 前日、都内で開かれた首相後援会「前夜祭」の様子も分かってきた。参加した男性によると、費用は五千円でホテル名での領収証を受け取った。複数の丸いテーブルを十人ほどで囲む立食形式で、卓上に瓶ビールが五本ほど。食事はカツオのカルパッチョや焼き魚、巻きずしなどだった。

 野党は代金が安過ぎるとし、差額分を首相側が補填(ほてん)した可能性に焦点を当てるが、男性は「会場はぎゅうぎゅうで五千円は高い。ぼったくりかと思った」とこぼした。

安倍首相の事務所が用意した新宿御苑の地図

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