幕内最軽量の炎鵬(25)=宮城野=が同出場最重量の碧山(33)=春日野=をひきおとしで破り1敗でトップに並んだ。全勝の平幕2人が敗れ、白鵬、朝乃山と平幕5人が1敗で並ぶ混戦、日本相撲協会広報部の資料によると、5日目で全勝が消えるのは2001年秋場所以来。
体重差をものともせず、真っ向勝負で4勝目をもぎ取った。関取最軽量98キロの炎鵬が初めて顔を合わせたのは、今場所出場の幕内では一番重い199キロを誇る碧山。“2人掛かり”でも足りない。それでも時間いっぱい、覚悟を決めた。
関脇経験者の張り手と突きの嵐で「怖かった。飲み込まれるんじゃないかと」。命綱の左下手を狙う攻めには、こだわらなかった。右に細かく動きながら、頭を下げて押しで応戦。後退させてから引き落とした。大相撲の醍醐味(だいごみ)が詰まった一番に、祝福の大歓声と拍手がなかなかやまなかった。
「立ち合いに1発食らってクラッと倒れそうになってから、覚えてない。無心だった。前に行こうという意識が、結果として良かったのかな」
100キロに満たない小兵として業師ぶりが注目されるが、寒くなって食欲が増すことも力勝負への自信になっている。福岡入りしてから、苦手な白米を2、3杯。鉄板のご飯のお供のめんたいこに加え、自家製タレのしょうが焼きなど部屋ぐるみの食のサポートもある。「成長期が来たかも」とうれしそうに話す。
早くも全勝がいなくなり、首位並走の立場にも優勝争いは「まだ5日。それは早い」と意識しない。自己最高位の西前頭6枚目。休場者が相次いでいることで、星を伸ばせば上位戦が組まれる可能性もある。「できるなら経験と思って、今やれる事をしっかりやりたい」ときっぱり。無心の挑戦が、ファンを魅了し続ける。