将棋の行方尚史八段(45)が14日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第78期順位戦B級1組の畠山鎮八段(50)戦で後手の122手で勝ち、八段昇段後の公式戦250勝目(未放送のテレビ棋戦を含む)を挙げ、規定により同日付で九段に昇段した。
九段は将棋界最高段位。2007年の八段昇段から12年間で250勝を重ねて到達した行方は「順位戦で決めることができて良かったです。八段に上がってからだいぶ時間がかかってしまいました」と思いを語った。
九段に昇段するためには「八段昇段後公式戦250勝」の他に「竜王2期獲得」「名人1期獲得」「タイトル3期獲得」の規定がある。「勝ち星で上がるしか昇段の術(すべ)がなかった。なかなか一勝一勝が重くて…。でも、これでアガリだとは思っていないので、ここをスタート地点にしてやっていきたいなと思っています」
今年9月、小学生の頃から切磋琢磨してきた同学年の木村一基王位(46)が史上最年長で初タイトルを獲得した。「年が一緒で、この一年、彼との結びつきが深まるようなこともあったので。当然、意識はしてますね。彼の記録を抜く可能性がある棋士は自分だけだと思っているので、そういう意識を持ってこれからやっていきたいなと思っています」。行方らしい明確な言葉で今後を見据えた。
◆行方 尚史(なめかた・ひさし)1973年12月30日、青森県弘前市生まれ。45歳。故・大山康晴十五世名人門下。86年、棋士養成機関「奨励会」入会。93年10月、四段昇段。2007年、八段。タイトル戦は2013年度王位戦、15年度名人戦で、いずれも羽生善治に挑戦して敗退。順位戦A級6期。通算636勝408敗、勝率・609。居飛車党。