家賃が安い都市はどこ 老後の生活費用、移住で豊かに

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前回「」では、定年を迎えた段階でお金と向き合うためには、仕事・運用・移住の3点で対策が必要になるとまとめました。その中で、読者の皆さんには目新しいかもしれない「地方都市移住」が動き始めていることをお話ししました。

移住というと、多くの人がログハウスでの生活とか、田舎暮らしといったある種のロマンを求めるかもしれません。また、一時期はやった海外移住を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、本当にそれはお金と向き合った上での移住なのか、十分に吟味する必要があります。

いつか東京に帰ってくるというつもりなら、住まいを2つ作ることになりかねません。それではコストを削減するどころか増やすことになります。たとえ再度の移住があるとしても、それは生活コストの高い所に移る──つまり大都市に再び戻るということではないはずです。

つまり、単純に風光明媚な海外でゆっくり過ごすとか、ログハウス生活で心身をリフレッシュするといった考えではいけません。それではちょっと長い休暇を別荘で過ごすというのと同じです。それではコスト削減になりません。

退職後の生活コスト引き下げを主眼にした地方都市移住に関して、私はフィンウェル研究所の立ち上げを機に本格的に調べようと思っています。それは自分自身のためにもなると思っているからです。本当に移住に適した都市があるのだろうかと半信半疑でしたから、まずは数字を使って絞り込みを行ってみました。

最初は、国際経済でよく使われる「マック指数」を地方の物価を調べる時に使えないかと考えました。マック指数というのは、マクドナルドのハンバーガーの価格を比較することで、各国の購買力平価の代わりに使うというもので、為替レートの方向感を議論する時に使われたりしています。

日本ではマクドナルドの価格は全国均一なので、地方都市での物価比較にこの指数は使えません。ただ、代わりに例えば「ざるそば指数」なんてできないだろうかと思って、地方出張の折に調べて回ったりしました。恥ずかしながら、ざるそばはその地域・お店ごとの特色があるため比較対象にはなりませんでした。まあ、愚かな挑戦というところです。

でも、地方物価を比較する上では既に公的な統計があります。消費者物価指数の地域差指数というのがそれです。これを基にすると、各都道府県庁所在地の物価水準を東京都区部と比較することができます。

これによると、最近はあまり地方と東京との格差は大きくないようです。確かに低い所はあるのですが、それでも1~2ポイント低いといった程度ですから、それほど大きな生活コストの削減は望めそうもありません。以前はもっと格差が大きかったので、消費者物価の影響を大きく取り上げることができたのですが、地方での所得拡大の効果が出ているのでしょうか。2018年のデータでは大きな違いがなくなっています。

しかし依然東京と地方都市との間に非常に大きな格差が見られるものもあります。住宅コストです。

小売物価統計には民営家賃のデータがあります。これで比較すると、家賃の格差が大きいことが分かります。東京を100とすると、都道府県庁所在地でも半分以下のところは多くあります。

先日、奈良市の大和西大寺駅前で不動産屋さんに飛び込み取材をしましたが、駅の周辺で3LDKのマンションが2000万円台半ばで購入できます。もし東京にマンションを持っているなら、それを売って移り住めば、いわゆるホームエクイティ(住宅価値)を現金化できて退職後の生活に充当することができます。

もちろん、生活費を抑えるために生活水準を下げては意味がありません。もしそうするなら、移住などせずに今の生活で食費や衣料費などを抑制すればいいわけです。それをしたくないからこそ、「生活費水準」を引き下げるために地方都市に移住するのです。

そのために大切なのはある程度の人口規模だと思います。東京や大阪、名古屋、福岡といった大都市に隣接していないことも大切です。独立的で文化的な生活基盤があるためには一定程度の人口規模が必要です。大都市圏に隣接しているとそれに依存してしまい、地方都市だけで生活を完結できないという懸念もあります。

全くの主観にすぎませんが、これまで出張してきた都市を見ると、50万±20万人くらいの規模が都市の大きさとしてはちょうどよいように思います。例えば、愛媛県松山市は人口が51万人で、大きなデパートが2つあり、大街道という西日本一大きな飲食街も整っています。また松山市は周りに大きな都市がありませんから、他都市に依存することもありません。高齢になってからの暮らしに必要な、ある程度のものが松山市にはそろっているはずです。

そこで各都道府県の人口30万~70万人程度の県庁所在地を対象にし、人口、人口密度などを比較しました。移住に望ましい条件として、人口密度が1平方キロメートル当たり1000人以上で、消費者物価が東京都区部より低く、家賃が半分以下と設定しました。全てを満たす候補は、熊本、宇都宮、松山、高松、岐阜、奈良、前橋の7都市です。


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前回「」では、定年を迎えた段階でお金と向き合うためには、仕事・運用・移住の3点で対策が必要になるとまとめました。その中で、読者の皆さんには目新しいかもしれない「地方都市移住」が動き始めていることをお話ししました。

移住というと、多くの人がログハウスでの生活とか、田舎暮らしといったある種のロマンを求めるかもしれません。また、一時期はやった海外移住を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、本当にそれはお金と向き合った上での移住なのか、十分に吟味する必要があります。

いつか東京に帰ってくるというつもりなら、住まいを2つ作ることになりかねません。それではコストを削減するどころか増やすことになります。たとえ再度の移住があるとしても、それは生活コストの高い所に移る──つまり大都市に再び戻るということではないはずです。

つまり、単純に風光明媚な海外でゆっくり過ごすとか、ログハウス生活で心身をリフレッシュするといった考えではいけません。それではちょっと長い休暇を別荘で過ごすというのと同じです。それではコスト削減になりません。

退職後の生活コスト引き下げを主眼にした地方都市移住に関して、私はフィンウェル研究所の立ち上げを機に本格的に調べようと思っています。それは自分自身のためにもなると思っているからです。本当に移住に適した都市があるのだろうかと半信半疑でしたから、まずは数字を使って絞り込みを行ってみました。

最初は、国際経済でよく使われる「マック指数」を地方の物価を調べる時に使えないかと考えました。マック指数というのは、マクドナルドのハンバーガーの価格を比較することで、各国の購買力平価の代わりに使うというもので、為替レートの方向感を議論する時に使われたりしています。

日本ではマクドナルドの価格は全国均一なので、地方都市での物価比較にこの指数は使えません。ただ、代わりに例えば「ざるそば指数」なんてできないだろうかと思って、地方出張の折に調べて回ったりしました。恥ずかしながら、ざるそばはその地域・お店ごとの特色があるため比較対象にはなりませんでした。まあ、愚かな挑戦というところです。

でも、地方物価を比較する上では既に公的な統計があります。消費者物価指数の地域差指数というのがそれです。これを基にすると、各都道府県庁所在地の物価水準を東京都区部と比較することができます。

これによると、最近はあまり地方と東京との格差は大きくないようです。確かに低い所はあるのですが、それでも1~2ポイント低いといった程度ですから、それほど大きな生活コストの削減は望めそうもありません。以前はもっと格差が大きかったので、消費者物価の影響を大きく取り上げることができたのですが、地方での所得拡大の効果が出ているのでしょうか。2018年のデータでは大きな違いがなくなっています。

しかし依然東京と地方都市との間に非常に大きな格差が見られるものもあります。住宅コストです。

小売物価統計には民営家賃のデータがあります。これで比較すると、家賃の格差が大きいことが分かります。東京を100とすると、都道府県庁所在地でも半分以下のところは多くあります。

先日、奈良市の大和西大寺駅前で不動産屋さんに飛び込み取材をしましたが、駅の周辺で3LDKのマンションが2000万円台半ばで購入できます。もし東京にマンションを持っているなら、それを売って移り住めば、いわゆるホームエクイティ(住宅価値)を現金化できて退職後の生活に充当することができます。

もちろん、生活費を抑えるために生活水準を下げては意味がありません。もしそうするなら、移住などせずに今の生活で食費や衣料費などを抑制すればいいわけです。それをしたくないからこそ、「生活費水準」を引き下げるために地方都市に移住するのです。

そのために大切なのはある程度の人口規模だと思います。東京や大阪、名古屋、福岡といった大都市に隣接していないことも大切です。独立的で文化的な生活基盤があるためには一定程度の人口規模が必要です。大都市圏に隣接しているとそれに依存してしまい、地方都市だけで生活を完結できないという懸念もあります。

全くの主観にすぎませんが、これまで出張してきた都市を見ると、50万±20万人くらいの規模が都市の大きさとしてはちょうどよいように思います。例えば、愛媛県松山市は人口が51万人で、大きなデパートが2つあり、大街道という西日本一大きな飲食街も整っています。また松山市は周りに大きな都市がありませんから、他都市に依存することもありません。高齢になってからの暮らしに必要な、ある程度のものが松山市にはそろっているはずです。

そこで各都道府県の人口30万~70万人程度の県庁所在地を対象にし、人口、人口密度などを比較しました。移住に望ましい条件として、人口密度が1平方キロメートル当たり1000人以上で、消費者物価が東京都区部より低く、家賃が半分以下と設定しました。全てを満たす候補は、熊本、宇都宮、松山、高松、岐阜、奈良、前橋の7都市です。


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