日本代表6試合目で初めて点を取られようが、誰も文句は言わない。今永が6イニングを1安打1失点。今大会、5試合で29得点を挙げていたメキシコ打線から8三振を奪い、大会初勝利を挙げた殊勲者が口にしたのは女房役への感謝だった。
「まさかここまでいい投球ができると思ってなかった。会沢さんに自分の引き出しを開けてもらって、球種をうまく使うことができました」
会沢とは宮崎合宿から徹底的に意思疎通を計ってきた。「カーブとスライダー、どっちもいいときは両方使うのではなく、どちらかを隠してやっていこう」。昨季まで広島のリーグ3連覇を支えた先輩捕手の言葉に目からうろこが落ちた。
「自分はいいものは全部出してという考えだった」。軸になる球をつくり、それ以外は取っておけば、使う球種は同じでも投球の幅は広がる。この日、試合の中でモデルチェンジを遂げた左腕を稲葉監督も「すばらしい」とたたえた。
82球。疲労を考えれば、16、17日の登板はおそらくない。それでも今永は言い切った。「自分自身はどこで言われてもいいように調整する。投げないときも何か力になれるようにと思っている」