Edwards氏はその理由として、複数のクラウドソリューションを採用している企業であっても、使用しているすべてのプラットフォームが相互にシームレスなかたちで統合されているケースはまれであるという点を挙げている。
ユーザーはしばしば、複雑なプラットフォームのしがらみに絡め取られ、それらを効率的に管理する内部リソースもないという状況に陥っている。
Edwards氏は「クラウド配備の戦略を定義した後で、それを配備し、管理し、セキュアにし、統合しなければならない」と述べ、「こういった役割すべてをチャネルパートナーが果たすというケースが増えてきている」と続けている。
従って、クラウドシステムをうまく統合していくうえで企業が頼る、仲介者としてのこれらパートナーは、クラウドサービスを成長させていくために活用すべき資産と言える。
同レポートは、重要なチャネルパートナーとの関係を発展させるというクラウドプロバイダーの能力が、未来の成功を定義付けるものとなると結論付けている。
また、Edwards氏はこういった文脈において、Microsoftの持つ重要な強みが「チャネルパートナーと長い期間をかけて築き上げてきた、とても大きな実績/成果にある」と指摘している。
例を挙げると、2019年に入ってMicrosoftはVMwareとの提携を発表した。その目的は同社の言葉を借りると「顧客のより幅広いニーズに取り組んでいけるよう、オープンかつフレキシブルであり続ける」というものだ。
チャネルパートナーのエコシステムを管理するという点について、Microsoftはとても効率的だと考えられるが、Canalysのアナリストらは、AWSが市場で他社との差を大きく保ってトップを走っている点からみても、AWSは快進撃を続けていると強調している。
例を挙げるとAWSは2018年に発表した「AWS Outposts」という新製品を2019年中に市場に投入するとしている。この製品により顧客は、AWSのパブリッククラウドに接続した統合ラック群上でネイティブなAWSやVMware環境を稼働させることが可能になる。
つまりAWSは、初めて同社のクラウドインフラをオンプレミス環境にもたらそうとしている。これはパートナー企業の注意を引く「強力な武器」だと同レポートに記されている。
Amazonの直近の決算報告によると、2019会計年度第3四半期におけるAWSの売上高は約90億ドル(約9800億円)となっている。その点においてEdwards氏は、Microsoftの躍進があったとはいえ、同社がAWSよりも大幅な競合上の利点を得たと解釈することはできないと述べている。
しかし、現時点で275億ドル(約3兆円)とされる市場において、しかも向こう数年間で指数関数的な伸びが予測されているなか、AWSに対する挑戦者がいるのは悪いことではないだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。