公費で首相が主催する「桜を見る会」を巡り、安倍晋三首相の事務所名が記載され、地元・山口県の後援会関係者に届いた案内文の内容が判明した。参加者を募った上で、申し込んだ人に観光コースとの組み合わせや、航空券手配などの希望をアンケートで確認する形式となっている。

　明らかになったのは、二〇一七年四月十五日開催の会に関する文書。「安倍晋三事務所」と明示され「出席される方は安倍事務所または担当秘書までご連絡ください」「内閣府での取りまとめになりますので、締切後の追加申込はできません」などと記載されていた。ファクス番号と共に「あべ事務所行」と書かれた申込書には、参加者氏名や生年月日、職業などを書く欄が設けられている。

　「申し込みをいただき、ありがとうございました」と書きだし「『観光コース』が決まりましたので希望を申し込み下さい」とした別の文書も、問い合わせ先は「あべ事務所／下関」とされた。

　桜を見る会を含むＡ～Ｅの五コースのうち、Ａ～Ｄには往復飛行機、ホテル、移動バス代、施設入場料が含まれ、前日の観光コースによって料金を設定。東京スカイツリー見学を含めたＡコース、浅草寺などを訪れるＢコースの「三名一室」の六万六千円が最安で、屋形船乗船と明治神宮周辺見学を含めた「Ｃコース一名一室」の八万七千五百円が最も高かった。Ｅコースは前日が自由行動で移動バス代三千円と夕食会費五千円以外は「各自支払」とされた。

　一六年とそれ以前に一度参加したという後援会関係者によると、毎年二月に同様の案内が安倍事務所からあり、参加を申し込むと旅行プランが提示され、その後、内閣府から招待状が届いた。当日はホテルから地元有権者を乗せたバスが複数台出発。会場で首相夫妻と握手や写真撮影をし、記念品として升と紅白まんじゅうが配られたという。

　山口県下関市にある首相地元事務所の秘書は共同通信の電話取材に「何も知らないのでコメントできない」と話した。