ソフトバンクGのZHDとLINEが経営統合検討
日向貴彦、古川有希-
月内にも合意も、共同出資会社傘下にヤフーとLINE-関係者
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ZHDは18%高、LINEはストップ高買い気配に、楽天は売られる
ソフトバンクグループ傘下で「ヤフー」を展開するZホールディングス(HD)とLINE(ライン)が経営統合を検討している。両社が発表した。発表を受け、各社の株価は急騰した。
匿名を条件に取材に応じた複数の関係者への取材によれば、早ければ月内にも合意に達する可能性がある。国内通信ソフトバンクがLINEの親会社の韓国ネイバーと共同出資会社を設立し、ヤフーとLINEが傘下に入る案を検討している。
ZHDとLINEは発表で、統合について検討しているが、決定した事実はないとしている。ブルームバーグのデータによると、国内通信ソフトバンクはZHD株式の44%、ネイバーはLINEの73%の株式を保有。ソフトバンクは2018年、MVNO(仮想移動体通信事業者)「LINEモバイル」に過半出資し、傘下に収めた。
発表を受け、ZHD株は一時前日比18%高の455円まで買われ、13年1月以来の日中上昇率。LINE株はストップ高水準の買い気配となった。ZHDやLINEと競合する楽天は6.4%安の927円まで売られ、2カ月半ぶりの安値となった。
独立系M&A助言会社フロンティア・マネジメントの山手剛人シニアアナリストは、統合の利点として「ペイメント事業のシナジーとEC領域での相乗効果が期待できる」と述べた。 ソフトバンクGの孫正義社長
国内外のインターネット関連業界では、さまざまな業種の企業がネット通販から決済まで幅広いサービスを手掛ける動きが広がっている。米アマゾン・ドット・コムやグーグルなどの巨大IT企業も、金融機能やゲームなど多様なサービスを展開しており、顧客獲得を巡る競争が激しくなっている。
ZHDは、孫正義社長が率いるソフトバンクGの日本の中核会社の一つ。インターネット検索を主軸とし、傘下には金融や物販、電子決済などさまざまな事業を抱える。通信会社ソフトバンクと連携して業容を拡大しており、ファッション通販サイトを運営するZOZO(ゾゾ)に株式の公開買い付け(TOB)を行った。
LINEも通信アプリ上で、金融やコンテンツ販売などを手掛けており、ZHDの事業と重複する点も多い。10月の発表によれば、国内の月間利用者数は8200万人。海外では、台湾やタイ、インドネシアの利用者が多い。16年7月に東京証券取引所1部に上場した。
ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役は電話取材で、経営統合の検討は英断だと評価。両社とも国内で多くの利用者を抱えており、重複する事業も多いことから「今見えている以上のシナジー効果が将来出てくる」との見方を示した。