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 山梨県山梨市立中学校で2016年、当時2年生の女子生徒が教諭に髪を切られ、後に不登校になった問題に絡み、当時の市教育委員の家族がSNSに生徒の保護者を中傷するような書き込みをしていたことがわかった。

 すでに削除されているが、市教委は今月、市民から画像を入手。SNSの内容を確認した。学校教育課の加々美修課長は「教育委員の立場で知り得た情報が漏れたのかどうか。対応を検討している」と話す。

 髪を切られた問題では今月8日、生徒と両親が市に770万円の損害賠償を求めて甲府地裁に提訴。訴状によると、教諭が校内の廊下で工作ばさみで髪を切ったとし、教諭の行為は適切な指導の範囲を超えているなどと主張している。

 SNSには「学校・先生・教育委員会・市へ責任転嫁を行っている」「いじめ、学校事故、不登校などいろいろな言葉を操って問題を大きくしている」と保護者を批判する内容が書かれていた。家族の元市教育委員から、書き込んだ情報について直接聞いたと解釈できる表現もあった。

 保護者が髪を切るよう先生に依頼したという記述もあり、女子生徒の母親は「娘の髪を切るよう学校側に依頼した事実はない。学校側の主張を鵜呑(うの)みにし、教育委員の守秘義務に違反している」と訴える。

 書き込んだ元市教育委員の家族は朝日新聞の取材に、SNSに投稿したのは1年以上前で、その日のうちに削除したと説明。「(元市教育委員の)家族からなんとなくは聞いたが、近所のうわさや自分の臆測も含まれている。誤りがある可能性もあり、不適切だった」と話した。(平畑玄洋)