ふと思い出したので。
就活サイトの運営に携わっていたとき、多くの知人に就活や仕事の話を聞いたのですが、ベンチャーに入社した知人の多く(およそ8割)が3年以内に辞めており、ちょっと驚きました。
で。長く働いたあとの退職だと円満な感じで終わることが多いと思いますけど、3年以内だとその理由が実に種々雑多で面白かったので、気侭に列挙していきたいと思います(随時、追記するかも)
しかし、追加するたびに「周りに多いなぁ。3年離職」と思います。苦笑。
(最終更新:2019/08/01)
- 1. 周りの社員が想像以上にモチベーションが低かった
- 2. 昇進の可能性が(まず)ない
- 3. 1年たって成長が止まった
- 4. 自分だけ損をしている気がしてきた
- 5. 社内が予想以上に整っていなかった
- 6. 仕事を丸投げされる
- 7. 社内の足並みがそろっていない
- 8. 声の大きい人が強い環境が嫌になった
- 9. 社長や上司からモラルが失われた
- 10. 社長の目が事業に向かなくなった
- 11. 理念が形骸化した
- 12. 以心伝心を強要された
- 13. 言っていることとやっていることが食い違っていた
- 14. 周りの忙しいアピールがウザくなった
- 15. 上司の叱り方が下手
- 16. 給料や待遇は改善せず、かわりにとにかく褒めてごまかす
- 17. 上のほうが偉そう・偉ぶっている
1. 周りの社員が想像以上にモチベーションが低かった
多くの知人から耳にしたのが、このフレーズ。コーポレートページには熱いことが書いてあっても、実際に入社してみると大半の社員にそれだけの熱量がなかったというケースです。
以前お世話になった上司が言っていたのですが、ベンチャー企業はとにかく人が採用できないそう。優秀な人を採用しようと思っても、まず無理。ですが、採用をかけないといけないくらい人手がない以上、誰かしら採用しないといけない。
普通に考えれば、よほど名のある人が起こしたベンチャーや恵まれた待遇でもない限り、優秀な人が進んで応募してくることは、まずないですよね・・・。
で。採用基準を泣く泣く妥協し、マッチングより人手不足解消を優先して採用。結果的にモチベーションの低い社員が増えていた、といった流れです。
余談ですが、2015年に起業したある知人は、最初に雇い入れた営業責任者に月給80万を支払っているとのことでした。入社直後から相応以上の利益を上げてくれているとのことだったので満足そうでした。
2. 昇進の可能性が(まず)ない
創業メンバーが多く残っているベンチャーを退職した知人から多く聞かれました。
理由を尋ねると、創業メンバーが現在、漏れなく要職を占めているからという答えが多かったです。おそらく「どうせ椅子が空くことはない」と感じるのでしょう。
ただこのケース、おそらく「新規事業や支社の立ち上げといった新たな展開がなさそう」など、ほかの理由が絡んでいる気もします。ポストが新設される可能性があれば、たぶん残るでしょうから。
あと創業メンバーの年齢も関係がある気がします。40〜50代だと、まず空かないだろうなと思いますが(その年で転職はまずしないでしょうし)、20〜30代なら、わりと空くんじゃないだろうかとも思います。
3. 1年たって成長が止まった
これも多かったです。1年かどうかは人それぞれでしたが。
あるベンチャーで人事を務めている知人から聴いたのですが、この理由の裏には以下のような背景があるのだとか。
まずベンチャー企業は大抵、優秀な人が採用できないため、そこまでモチベーションが高くない社員も多いのだそうです(1. の話)
すると何が起こるか。優秀な人から辞めていくそうです。
なぜか。優秀な人は周りの社員をあっという間に追い抜いてしまい、この会社にいる意味がないと感じてしまうんだとか。
「なんとかしないといけないんだけどね」と知人は言っていましたが、そう簡単に何とかできないから、どこも採用や離職に悩んでいるんでしょうね。
よほど小さい規模(社員数人程度)のベンチャー企業や、厳選採用を行っている企業でもないと、この課題の解決は厳しそうな気がします。
4. 自分だけ損をしている気がしてきた
これは 3. の話と関連していそうです。
周りより仕事ができれば、当然その人のところに仕事がたくさんきます。それを理不尽だと思い、会社に嫌気が差してしまう、そんなケースです。
ここに 2. とか絡んでくると、つまりキャリアアップの望みが薄いとなると、気持ちが退職へ振れるのもわかる気がします。
ただ、これには「待遇に満足できない」などの理由が絡んでいる気もします。「自分のほうが仕事量が多いのに、なぜ自分より仕事していないあの人と同じ待遇なのか」といった不満も奥底にあるのではないかと。
5. 社内が予想以上に整っていなかった
1. 〜 4. ほど多くはなかったですが、それでも意外と多かった理由。
簡単にいえば、業務フローや社内ルールなど、仕事の土台となる部分がしっかりしていないということです。
個人的には「ベンチャーってそういうものじゃない? むしろそれをなんとかしていくのが面白いんじゃない?」というタイプなのですが、多くの知人に言われたのが「お前もあそこに行ったら、そんなこと言えなくなる」「最初は私だってそう思ってたよ」ということ。つっこんで聞くのが憚られたので、それ以上は聞きませんでしたが、おそらく想像以上だったのでしょう。
ただ、2人の気持ちも少しわかります。筆者も業務フローや社内ルールが曖昧なままだとストレスを感じるのは事実。部署ごとの勝手なルールに振り回されたり、マニュアルが整備されていないから何回も同じ質問をしてくる人がいたり、などなど。
そうして要改善事案が積みゲーならぬ積み課題として増え続け、やがて手の施しようがなくなり、結果、仕事でミスが出て怒られ云々などと負の連鎖が生まれてしまう・・・イライラしないほうが難しい・・・。苦笑。
6. 仕事を丸投げされる
5. に近い理由として、これもありました。
ここで面白かったのは、丸投げそれ自体に対する嫌悪感はそこまでなかった点です。ベンチャーの場合、大手のように部署や職種で業務を切り分けられる余裕がないのは当たり前だと理解していた人が多く、皆「丸投げそれ自体はあらかじめ覚悟の上」という感じでした。
むしろ皆が納得できなかったのは「頼み方が雑」という点、そして「そもそもできないことを頼まれる」という点のようです。営業にやり方も教えずにコーディングを頼む、そんな感じです。頼む側からすると「調べてやって」なのでしょうが、さすがに限度はありますよね・・・。
7. 社内の足並みがそろっていない
これは少ない(というかタイトルとあまりつながりがない)ケースだったのですが、興味深いなと思ったので一応。各部署が頑張り過ぎて、足並みがそろっていないというケースです。
あるG社の事例。同社では、営業部はとにかく売上を伸ばすために頑張り、人事部はとにかく働きやすい環境をつくるために頑張っていました。
で。結果、なにが起きたか。
人事は残業抑制など労働環境の改善をトップダウンで断行し、営業部からは「えー!」「いきなり過ぎ!」「そんなの無理!」と不満が噴出。最終的に営業部で勤怠の虚偽申告が横行し、タイムカードに現れない残業が大量発生したそうです。
そんなゴタゴタがあり、会社に嫌気が差したという話もありました。みんながみんな自分の仕事を頑張ろうとした結果、誰もうれしくないという、なんとも痛々しいケースですね。ベンチャーならではな気がします。
8. 声の大きい人が強い環境が嫌になった
これも意外と多かったです。お局のような人、社内で声が大きい人(より正確には物言いがきつい人)との関係に悩んで辞めたというケース。
ことベンチャーだと、ほぼ全社員と絡みますから、これはかなり苦痛だと思います。まして同じ部署や一緒に仕事をする機会が多かった時には、けっこうなストレスになってしまうでしょう。
9. 社長や上司からモラルが失われた
社長や上司がモラル度外視で売上のことばかり考えるようになり、嫌気が差したというケース。けっこう多かったです。具体的な内容を列挙すると、
- 営業資料に嘘を書くようになった(サービス契約数の水増しなど)
- 自社都合を外に押しつけるようになった(お金がないから安値で外部に委託しようとする、顧客や事業パートナーへの連絡の遅れなどを「忙しいから仕方ない」で片づけるようになったなど)
- 目先のアクセスばかり気にするようになった(ダミーブログ量産、ひたすらはてブ、SEO目的の低品質なテキスト追記など)
など。経営が苦しくなってくると、どうしても売上など目先の利益が第一になってしまうのでしょう。お金ないと生きていけないですし。
ですが、経営者層はそうシビアに判断できても、社員はなかなかそういかないのかもしれません(嘘を書くのは論外ですが)
10. 社長の目が事業に向かなくなった
社長が自分の露出に熱心になって、本業に目を向けなくなったケース。これが意外と多かったのには驚きました。
筆者も、社長がいきなりオンラインサロンを始めたり、SNSやブログで持論を発信しはじめたりした会社をいくつか見てきました。発信内容が会社やサービスのことではなくご自身のことが中心だったので、おそらく自己顕示欲や自意識が強い人、感化されやすい人などが、この傾向に陥ってしまいやすいのかなと感じます(うまく回っている会社はありませんでした)
11. 理念が形骸化した
9. の理念版ですね。
これも聞いていた感じ、経営的に苦しくなったベンチャーに多かったケースな気がします。経営・事業における判断軸が須らく「お金」になってしまい、嫌気が差して退職という感じですね。
12. 以心伝心を強要された
本人には申し訳ないのですが、ちょっと面白いなと思ったので。
簡単にいえば「言われなくても、それくらいやってよ」というのがあまりに多くて嫌になったというものです。6. の丸投げに近い感じでしょうか。
あともう一つ、これに近い例としてあったのが「こっちが忙しいのを察して、仕事を奪りにきてよ」というのが嫌になったというもの。
これはベンチャーに多かったです。ベンチャーは大手より「仕事は奪りにいくもの」という意識が強いからでしょうか。
なぜ嫌になったのか聞くと「こっちだって忙しいんだから、自分だけ忙しいアピールしないでほしい」「察してとかいうけど、あんたが忙しいのなんか言われないとわかるわけない。こっちだってやることいくらでもあるんだから、手伝ってほしいならしっかり口に出せ」といった感じでした。
13. 言っていることとやっていることが食い違っていた
「少しは調べてから質問しろ」と言っていた上司が、調べればすぐわかることを質問したり頼んできたりした、というイメージです。それが続いてイライラして、最終的に退職してしまったというのがありました。
14. 周りの忙しいアピールがウザくなった
12とほぼ同じですが、意味合いが少し違うので、あえて分けています。
ベンチャーは通常、忙しいものですが、それは誰もが同じだと思います。そんな中で「忙しいんだから、そんなこと自分で考えて」とか「俺、忙しいから、これやっといて」的なことを周囲から言われまくると、それに嫌気がさして・・・といった人が意外といました。
中には、チャットツールでいちいち「この作業は完了。4時間かかった」のようにアピールしてくるケースもあるようで、「当てつけのようでウザい」といった声も。そんな露骨な社員いるのかという感じですが、いる所にはいるんでしょうね。
15. 上司の叱り方が下手
人に起因する理由ですので、大手・ベンチャー関係ないとは思いますが。
これは簡単にいえば、言葉選びが下手ということ。たとえば、チャットワークで「こういうのはどうでしょう」と提案すると、上司が「却下w」と草を生やして突き返してきたという方(Aさん)がいました。
たぶん草を生やせば柔らかくなると上司の方は思ったのでしょうが、そもそも「却下」という言葉は、それ自体かなりキツイ表現です。案の定、Aさんは相当カチンときたそうです。
この上司の方はそれ以外にも、他人に任せた仕事の失敗でAさんを叱るということも多くて、Aさんはイライラしたそうです。
「これ、間違ってるから直しといて」→「それ私じゃなくて、あの人がやった仕事ですけど・・・」
「ここはこうしたほうがいいから、今度から気をつけて」→「それ私じゃなくて、あの人に頼んでた仕事ですけど・・・」
など。
16. 給料や待遇は改善せず、かわりにとにかく褒めてごまかす
そのままです。ここまで出なかったのが、むしろ不思議ですね。あと奢って労うというバリエーション違いもありました。こうした手段って一過性的で、不満解消の効果はあまりないんでしょうね。
17. 上のほうが偉そう・偉ぶっている
取引先や事業パートナーがミスをすると「あの会社、ほんと無能」のようにディスるとか、そんな感じ。特に自分で会社を立ち上げた社長やら役員やらに多いみたいです。そんな人の下では働きたくなくて辞めた、という人が何人かいました。
ちなみに「社長って肩書を持った途端、自分は偉いとか凄いとか思い込んじゃうんだろうね」と、辞めた一人は言ってました。
to be continued...