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【政治】桜を見る会 来年中止 首相「私物化」批判受け
安倍晋三首相は十三日、首相主催で毎年四月に開いてきた「桜を見る会」を、来年は取りやめることを決めた。菅義偉(すがよしひで)官房長官が同日午後の記者会見で明らかにした。菅氏は当初「首相枠、政治枠はない」としていた招待客についても、首相や官房長官、与党に内閣官房から推薦を依頼していたと認めた。首相の地元支持者を多数招いていたとの指摘を受け「私物化」との批判が強まったため、中止表明で問題の幕引きを図ったとみられる。 (中根政人) 首相は同日夜、桜を見る会の中止について「私の判断だ」と官邸で記者団に語った。 菅氏は会見で、中止の判断について「いろいろと指摘されている。そういうことを踏まえ、長年の慣行で行っているものは見直すとの考え方だ」と話した。招待基準の明確化や招待手続きの透明化、予算や招待客数など全般的な見直しをした上で、二〇二一年以降の再開を検討する考え。 菅氏は招待客について、首相、副総理、官房長官、官房副長官、与党に内閣官房が推薦を依頼していたと説明。推薦した中に「自治会やPTA(関係者)の方もいた」と認めた。「幅広く招待していた。慣行で続いてきたが、指摘を受けたので立ち止まって対応する」とした。具体的な推薦人数は「承知していない」と話すにとどめた。 桜を見る会は、各界の功績のあった人や功労があった人を慰労する公的行事として一九五二年から始まった。第二次安倍政権では参加者と開催費が年々増加。来年の開催費は二〇年度予算の概算要求で約五千七百万円を盛り込んでいた。 今月八日の参院予算委員会で、首相の地元後援会が今年の桜を見る会に多数参加していた可能性があることが取り上げられて以降、野党が追及を強めていた。 ◆首相は先にやることがある 政治部長・高山晶一それより先に、あなたにはやることがあるのではないか。来年の「桜を見る会」中止を決めた安倍晋三首相に、そう言いたい。 桜を見る会は、各界で功績、功労のあった人を慰労する目的で七十年近く続いてきた。これ自体は意義のあるイベントで、国費で運営されている。 見直すべきなのは、趣旨をねじ曲げて、自らの後援会関係者を大勢招いて事実上の選挙運動に利用してきた政治家のさもしさ、あさましさだ。その先頭に立ってきたのが安倍首相。第二次安倍政権の発足後、桜を見る会は参加人数も開催費もうなぎ上りに増えた。今年、首相の後援会による前夜祭には約八百五十人が参加したという。首相や官房長官、与党議員らに招待客の推薦枠があったことも判明している。 にもかかわらず、首相は来場客の人選に関与したとは認めていない。国費で慰労するような功績があったとまで言えない後援会関係者らを参加させる仕組みや経緯を詳しく説明し、二度と招かないと明言することこそ、今やるべきことのはずだ。 菅義偉官房長官も十三日の記者会見で、与党議員の後援会関係者はもう招待しないのかと聞かれ、明確な答えを避けた。そこを明言しないで何を見直すのか。 首相は閣僚辞任に際しても「任命責任は私にある」と言い、幕引きを図るパターンを繰り返してきた。桜を見る会の中止も、本質に切り込まずに沈静化を待つ方便に思えてならない。 PR情報
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