福島大学の学類長が卒業生の20代女性に性的暴行を加えたことについて、大学側のまとめた調査報告書に虚偽の事実を書かれた恐れがあるとして、11月12日、福島大学の准教授が報告書の開示を求める訴えを福島地方裁判所に起こした。福島大学で一体なにが起きているのか。ジャーナリストの田中圭太郎氏がリポートする――。
写真=iStock.com/imaginima
※写真はイメージです

当初は「慰謝料100万円と謝罪文」を持ってきたが…

2017年2月、福島大学の40代の男性准教授は、大学の卒業生である20代の女性から相談を受けた。約1週間前、ほかの大学では学部長にあたる「学類長」の50代の教授から、女性が酩酊して眠っている状態のときに、同意なく性行為を強いられたというものだった。

准教授は相談を受けて、すぐに教授と話し合いの機会をもった。教授は事実関係を認め、慰謝料100万円と謝罪文を持ってきた。しかし、教授職を辞するように求めたところ、態度を変えて「同意はあった」と主張するようになった。

このため准教授は福島大学に公益通報を行い、福島大学は調査チームをつくり、関係者にヒアリングを行った。ところが、教授はヒアリングに対し、「同意はあった」といった虚偽の説明をしたとみられている。このため大学は「黒白判断つかない」(大学側が准教授に口頭で説明した内容)として処分しなかった。

その後、被害女性が教授に対し損害賠償請求を行ったところ、教授は全面的に非を認めて女性との示談に応じ、大学も自己都合退職した。しかし大学は再調査をせず、准教授が調査報告書の開示を求めたところ、それも拒否した。