当初は「慰謝料100万円と謝罪文」を持ってきたが…
2017年2月、福島大学の40代の男性准教授は、大学の卒業生である20代の女性から相談を受けた。約1週間前、ほかの大学では学部長にあたる「学類長」の50代の教授から、女性が酩酊して眠っている状態のときに、同意なく性行為を強いられたというものだった。
准教授は相談を受けて、すぐに教授と話し合いの機会をもった。教授は事実関係を認め、慰謝料100万円と謝罪文を持ってきた。しかし、教授職を辞するように求めたところ、態度を変えて「同意はあった」と主張するようになった。
このため准教授は福島大学に公益通報を行い、福島大学は調査チームをつくり、関係者にヒアリングを行った。ところが、教授はヒアリングに対し、「同意はあった」といった虚偽の説明をしたとみられている。このため大学は「黒白判断つかない」(大学側が准教授に口頭で説明した内容)として処分しなかった。
その後、被害女性が教授に対し損害賠償請求を行ったところ、教授は全面的に非を認めて女性との示談に応じ、大学も自己都合退職した。しかし大学は再調査をせず、准教授が調査報告書の開示を求めたところ、それも拒否した。