その日の俺は、少々苛立っていた。いつもより早めに出社するために乗った電車が大幅に遅れているのだ。もちろん俺は大人なのでその苛立ちを態度に出すこともなく、ウォークマンでNoGoDを聴きながら心の平静を保つ努力をしていた。
朝のこの時間帯の上り電車は、いつも混雑し発車が遅れるので電車がつまり運行がノロノロ運転になる。このためいつもならあっという間に通過するはずのその駅を、今日はゆっくり通過しようとしていた。俺は窓ガラスに押し付けられながらひたすら電車の加速を待っていた。
ふと窓の外を見ると、駅ビルに入っている保育園の子供たちだろうか、10人程度が朝のお散歩の途中らしくビルのバルコニーにお揃いの帽子をかぶり、並んで電車を眺めていた。その中の一人が、あろうことか電車に手を振って挑発してきた。くそっ!これから仕事に行こうという、言わば日本の経済を支える大人たちを挑発するとは何というガキだ。もちろん大人である俺も侮辱してるのだこいつは。
先ほどから俺の隣にステンカラーズの女が立っており、彼女もあのガキの挑発に気づいたようでにっこり笑顔を向けて応戦していたが、いかんせん射程距離が遠い。接近戦専門のスタイルが持ち味ゆえの弱点を露呈していた。そういえば彼女のコートの色はグレーだ。おそらくステンカラーズの中で階級はそう高くなさそうだ。仕方ない、プロの出番だ。
立ち位置は完璧。満員電車の中俺は窓の方を向いて押し付けられており、俺の狙撃動作を見るものと言えば、隣に立っているこのステンカラーズ・グレーの小娘くらいだ。俺は必殺の一瞥で以って照準を定めた。、線路沿いの駅ビルのバルコニー。その柵の前に並んだガキども。その中でもこっちに手を振った小僧に向けて、肘から先だけを4回だけ振った。距離にして数十メートル。車両にして二両分と言ったところか。
次の瞬間子供たち全員が一斉に両手でちぎれんばかりに手を振り返して来た。全員である。さすが俺。よほど恐ろしかったのだろう、最初に手を振ってた小僧にいたっては「ぼくがさいしょにふったんだ!」とでも言いたげに興奮してピョンピョン飛び跳ねている。ざまあみろ。大人をナメるからこういう報復をされるのだ。なぜか先生も振ってきた。あんたは大人だろ。
見たかステンカラーズよ、この長距離狙撃を。これができるのはお前らの中でも士官クラスくらいだろう。これが乳幼児スナイパーと言うものだ。俺はそんな気持ちで彼女をチラ見すると、両手で口を覆って声を出さずに軽く震えていた。そうか恐ろしかったか。無理もないな。
久々にトリッキーな狙撃を成功させた俺は、今日も世を忍ぶ仮の姿である底辺リーマンとして生きるべく気持ちを仕事モードに切り替え、朝の会議に間に合うかの心配をすることにした。会議でプレゼンする用のパワポは出社してから作ろうと思っていたので手つかずである。たすけて
本来なら横のつながりのない乳幼児スナイパーの業界で、唯一ひそかに徒党を組んでいると思われる同業者たちがいる。この季節になるとなぜかステンカラーのコートを好んで着たがる...
馬鹿みてーに長いが書くのに何分かかった?
あのスーパーのワゴンみたいなんじゃなくてたためるベビーカーと言うことは首が座ってるくらいの赤ん坊だろう。 いや1か月から載せられるベビーカーでも畳めるやつ普通に沢山ある...
猫増田っぽさをかんじる。シリーズで読み物とかブログにしてくれていいのよ。
俺は交通機関の中で赤ん坊や幼児にちょっかい出すのが好きだ。言わば手を触れずに乳幼児を変顔だけであやすプロフェッショナルと言っていい。大抵のグズってる乳幼児は俺の厳しい...
よき
あんまり他人の人生に関与してジョーカーを生み出す事になってしまう未来に一つでも繋がってしまったら、責任取ってくださいね。
えっよくわかんない。説明して?
自分で考えろ
そういう他人を突き放した姿勢がジョーカーを生むんだよ?
ジョーカーは悪党以外は殺してない
楽しい増田を読ませてもらった。 ありがとう。
ヤンジャンのグラビアいいよな(ドンマイ)
んもー幸せな気分になっちゃうじゃね-か