◇12日 大相撲九州場所 3日目(福岡国際センター)
徳俵をいっぱいに生かし、辛うじて連敗を免れた。貴景勝は立ち合い、大栄翔の突き押しにのけ反って主導権をつかめない。回り込んで攻めに転じても、相手の動きの激しさに手を焼いて仕留めきれなかった。最後は右脚だけで残してはたき込み。物言いの付く際どい一番を、何とかもぎ取って白星を先行させた。
埼玉栄高の3学年先輩にあたる大栄翔は、2日目に白鵬から金星をゲット。貴景勝も「おめでとう」と祝福したばかりだった。余勢を駆った攻めをしのいだ形だが、電車道でもっていく必勝パターンとはほど遠い。この日も取組後、厳しい表情で無言を貫いた。
土俵下で一番を見守った藤島審判長(元大関武双山)は「貴景勝は、本調子じゃないから攻めあぐねている。押し切れない」。その上で、秋場所千秋楽で負った左大胸筋肉離れの回復も考慮して「本場所の一番一番が稽古。相撲勘を日ごとに取り戻すんじゃないですか」と付け加えた。
場所前に「再断裂に気を付けてパワーアップする」と繰り返していた大関。もがきながら、白星を良薬にする。