1点差で競り負けただけに、その重みがなおさらのしかかった。7回、大野雄がアデルに浴びたソロ本塁打。「ミスしてはいけない打者にミスをしてしまった」。外角高めのツーシームを右翼席中段まで飛ばされた左腕は唇をかみしめた。
2点ビハインドの6回から4番手で登板。先頭の右打者に自信を持って投げ込んだ内角への150キロの直球を捉えられた。「あれで真っすぐが行きづらくなった」。丸の好捕に救われたが、この1球がボディーブローのように効いた。
ツーシームを多投し、後続を連続三振。三者凡退に抑えると、直後に浅村の適時二塁打で1点差に詰め寄った。2イニング目の7回は先頭をスライダーで空振り三振。ここまでは流れを呼び込めていたからこそ、細心の注意を払うべきだった。
アデルはMLBの公式サイトで若手有望株の全体5位に取り上げられる20歳。大谷の所属するエンゼルス傘下で将来を嘱望され、11日にオーストラリア戦のゲスト解説で球場を訪れたドジャースの前田もキーマンに挙げていた。
その前田と同学年で10日には食事をともにしていた大野雄。「たわいもないことを話してました」。対策にまで話が及ばなかったことが影響したのか。「結果が全て。中継ぎは難しいですよね」。1球が命取りになった。