京急事故、運転士にブレーキ判断の余裕あった?

信号機、当初説明の600m手前からは見通せず

9月5日に京急線で発生した踏切事故の現場(写真:AFP=時事)

京浜急行電鉄は11月12日、神奈川県横浜市の「神奈川新町第1踏切」で9月5日に発生した列車と大型トラックとの衝突事故について、信号設備や運転方法から見た再発防止対策の一部を発表した。

踏切の異常を知らせる「発光信号機」のうち、踏切から最も遠くに設置する「遠方用発光信号機」をさらに遠い位置に増設する。発光信号機が点滅した場合の運転マニュアルも、これまでの「速やかに停止」から「直ちに非常ブレーキ」を基本とした。

「直ちに急ブレーキ」を基本に

発光信号機は、列車の速度などから逆算し、ブレーキを操作すれば踏切での衝突を回避できる位置に設置する。今回の事故での最大の疑問は、それにもかかわらず、なぜ衝突事故が起きたのかという点だ。

ブレーキについて、これまで同社の規定では、列車を停車させる際は通常「常用ブレーキ」を原則とし、停止すべき位置までに停まれない場合、とくに発光信号が点滅している場合は「速やかに停止する」としていた。これを、発光信号の点滅を確認した場合は直ちに非常ブレーキを扱うことに改めた。

非常ブレーキは自動車で言えば急ブレーキで、事故を回避するために非常ブレーキを使用するのは当然に思える。ただ、列車の場合は少し事情が違う。「非常ブレーキを扱うと、乗客が転倒するなどして負傷する恐れがある」(同社安全推進部)ためだ。

「衝突は回避できたが乗客が負傷した」は許されない。発光信号の点滅を確認した運転士は瞬間的に、常用ブレーキで停めるか、非常ブレーキを併用するかの判断を迫られていた。

次ページ規定通りにブレーキを使用したが…
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  • 流されないロスジェネa12a7d05d99c
    待避線で通過待ち合わせしていた各駅停車の運転手は、踏切内で何分も前からトラックが立ち往生しているのに連絡もしないで衝突するまで見ていたのだろう?
    それが一番疑問です。
    up62
    down9
    2019/11/13 07:28
  • K.C.adbeb3a13b3e
    故意・重過失ならともかく、過失を責め立ててどうするんでしょうか。再発防止に資さない記事は見たくありません。
    up76
    down48
    2019/11/13 05:55
  • haz00148aca561946cf
    人の判断には、ミスも発生します。自動的にブレーキがかかるシステムを導入したほうが良いと思います。
    up33
    down9
    2019/11/13 08:21
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