okadato の雑記帳

スタートアップでSREとしてはたらくokadatoの雑記です。

内発的動機づけを支えるマネジメントの理想像に対する雑感 / モチベーション3.0

f:id:okadato623:20191113024506j:plain

ダニエル・ピンク氏が執筆された、 モチベーション3.0 という書籍をご存知でしょうか。ぼくはこの本の 1 〜 6章 を何度も何度も何度も何度も繰り返し読み、そのたびに強い刺激を受けています。冗談抜きに100回以上は読んでいるでしょう。


◇第1部 新しいオペレーティング・システム
  ・第1章 〈モチベーション2・0〉の盛衰
      機能しなくなった〈モチベーション〉
      アメとムチの勝利
      互換性に関する3つの問題
     
  ・第2章 アメとムチが(たいてい)うまくいかない7つの理由
      〈モチベーション2・0〉に発生したバグ
      期待以下の効果
      望まないことを増やす
      
  ・第2章の補章 アメとムチがうまくいく特殊な状況
  ・第3章 タイプIとタイプX
      「やる気!」研究の新しい流れ/アルファベットの力/タイプIとタイプX
◇第2部 〈モチベーション3・0〉3つの要素
  ・第4章 自律性〈オートノミー〉
      自由に好きなように仕事をする
      プレーヤーか、それとも駒か
      4つの基本的要素 
      自律性を養う術
  ・第5章 マスタリー(熟達)
      もっとよい生き方を求めて
      従順から積極的な関与へ
      貨物船のゴルディロックス
      マスタリーの3つの法則
  ・第6章 目的
      人生の意義が問われる時代
      目的という動機 
      充実した人生とは

コチラのページから抜粋


今回は深夜のテンションで、そんなモチベーション3.0 にまつわる自分の思いと、最近抱えているもやもやについて書き殴りたいと思います。指の赴くままに書き、推敲せずに投稿する予定です(朝になったら消えているかもしれません)



書籍の摘要

人間に搭載されているOSは、種としての進化の過程で以下のように発展してきました。


  • モチベーション1.0: 人間も一種の生物に過ぎないので、生存のために行動する(狩猟や採集など)
  • モチベーション2.0: 報酬と処罰(アメとムチ)による外発的動機づけに駆動される
  • モチベーション3.0: 「学びたい、創造したい、世界を良くしたい」という内発的動機づけに駆動される


創造性を発揮する必要のないルーティンワークに関しては モチベーション2.0 による「交換条件付きの報酬」がうまく作用します。
いっぽうで、頭脳労働をはじめとする創造的な活動についてはその限りではありません。むしろ「交換条件付きの報酬」は内発的な動機づけを抑制し、創造性が育まれることを阻害しうる可能性すらあるのです。


たとえば3枚の絵を描いて提出することでA評価がもらえるという課題があった場合、多くの学生は4枚目以降の絵を描くことをやめてしまうでしょう。それによって潜在している創造性の表出に限界が設けられてしまうのです。



モチベーション3.0 の構成要素

個人的に、ソフトウェアエンジニアは モチベーション3.0 の考え方がかなりフィットする職種だと考えています。
モチベーション3.0 は「自律性」「熟達(マスタリー)」「目的意識」という3つの要素から成り立ちます。
それぞれを端的に説明すると、自律性とは好奇心に満ちて自発的に仕事を進めることで、熟達とは価値あることを上達させたいという欲求で、目的意識とは自らの欲求を、自分の外のより大きな目的に結びつけることです。


これらがそれぞれ前掲の「学びたい、創造したい、世界を良くしたい」という考えに符合するものと捉えたとして、大きな乖離はないでしょう。こういった捉え方がソフトウェアエンジニアとしての成長を考えるうえで、非常に納得感のあるものだと考えているのです。
つまりエンジニアの成長を最も加速させる環境とは 自律や熟達を追求する機会が十分に与えられ、かつ日々の仕事が組織の「大きな目的」に関連している と感じられる環境を指すのです。
(ただし生活に困窮しない程度の報酬は与えられ、それに対してある程度の納得感があるという前提があります。ごはんが食べられないと人間死んでしまいますからね)


議論の余地はあるかと思いますが、 "自律や熟達を追求する機会を与え、かつ日々の仕事が組織の「大きな目的」に関連している" という意識を育み、そのような環境を整えられる人物を「優れたマネジャー」の一つの定義とします。
腑に落ちない点があったらコメントをいただけると幸いです。ぼくはわりとこの本を盲信しているので、視野が狭窄している可能性が大いにありますゆえ。



アディショナルな報酬

さてそんな モチベーション3.0 を考える上で、アメとムチのような報酬体系は悪影響を与える可能性さえあります。努力をすれば報酬が得られるということを学習してしまった場合、報酬がもらえないのであれば努力を放棄するようになります。
その反面、自律性を発揮することで処罰される可能性を感じた場合、その人が本来持っている潜在価値を十全に発揮することができなくなってしまうという問題もあります(心理的安全性の文脈で語られるようなテーマでしょう)


f:id:okadato623:20191113024721j:plain


ではそんな状況で、内発的動機づけを喪わせず、かつ成果を損ねずに済ますにはどのような報酬が適切なのでしょうか。本書では以下の2点があげられています。


・金銭などの具体的な報酬ではなく、賞賛やポジティブなフィードバックを与えること

・結果ではなく、努力や構想に対するフィードバックという有益な情報を提供すること


金銭のような報酬には提供する側にも当然リソース上限があります。そのうえで、精一杯の努力をしたにも関わらずリソース上限の問題で十分な報酬が支払われない場合、不信感が発生してしまうでしょう。


反面、賞賛やフィードバックにはリソースの上限という概念は実質存在しません。必要なのは 報酬に対する適切な賛辞 です。例えばこんな感じです。


「うわーこのUI、すっごい直感的で素晴らしい、絶対お客さんに刺さるよ!ありがとう!」

「え、あの処理、2日で実装したの!?すごい大変だったんじゃない??」




ぼくはこれらのフィードバックを期待することについて、ある種の承認欲求なのではと思っていたのですが、最近は承認欲求とは別物なのではないかという考えにいたりました。
確かに結果に対するポジティブなフィードバックをもらえることは喜ばしいですが、自分自身に対して賞賛してもらっていることと、自分の努力や成果に対して賞賛を得ていることは分けて考える必要があると思っています。
自分の思い描く良い上司、良いマネジャーというのは(無意識にでも)そこを切り分けて考えられる人なのではないかと考えるようになりました。




今日たまたまツイッターで、こんな記事を目にしました。



これは本当に納得感しかない内容です。少し恣意的ですが、なかでも特に素晴らしいとおもった箇所を以下に抜粋します。


誤解しないようにしたいのが問題なのは「やり方」であって「出した成果」それ自体は尊いということ。
「休日に対応したからゴミ」みたいなことは、ない。平日にやろうが土日にやろうが生んだ価値は変わらない。

なので成果に対しては「めちゃ良いですね〜〜」と言いつつ
「でも次からはスケジュールやリソースの使い方をみんなでもっと考えましょう!!!」と言っていかないといけない。
そして最後にもう一度「いや〜それにしても成果はめちゃ良いですね〜〜〜」と言っておく。


「やり方」はその人自身のスタンスに対するフィードバックであり、その過程での努力や最終的な成果については完全に切り分けて価値を判断しています。
これこそがぼくの望むフィードバックの在り方であり、仮にぼくが他者に対してフィードバックをする際にも心がけたいポイントです。


要はその人自身を承認するのでなく、その人のアウトプットを切り離し、そちらを承認するという考え方。エンジニアにとっての「成長」とは、「なんらかの形式でのアウトプット」を指すものと理解しています。
「成長しようとする姿勢(例えば本を10冊読んだこと)」ではなく「成長した(書評や解説記事を3冊分書いた)」実績に対して真当な評価を下す。
これこそが評価者としてあるべき姿ではないかと、そんなことを考えたりしているのです。



自慢タイム

さて弊社のSREチームでは、こうしたフィードバックスタイルが自分の思い描く理想的な姿で実践されているように感じています。


ぼくは実務経験半年強のひよっこなりに、チームリーダの @katsuhisa__ から大きく期待してもらっていると感じていますし、週次の 1on1 などを通じて 成果に対して 定期的にポジティブなフィードバックをもらっています。
しかもそのハンドリングが非常にうまい。やりたいことばかりをやっていては肝心の仕事が進まないわけですが、その事実に対しぼくのなかで燃えている情熱の火を消すような表現は決してしません。
「いやーこういうの楽しいですよね。めっちゃわかります!それと〇〇(肝心の仕事)をうまく絡められるといいっすよねー」みたいな!全然咎められてないんですよ!賞賛しつつ軌道修正を図られるの、すんごくすごいんですよ!!!(語彙)
(情熱の炎は時間経過にしたがって弱まっていくので、取り組みたいときに全力で取り組めて、それを肯定してもらえている感覚はとっっってもありがたいものなんです。ほんとにね。)


そのいっぽうで例えば「こんな本を読みました」や、「こんなハンズオンをやってみました」、「最近は趣味でこんなものを作ってます」については評価の対象外であることを明確に宣言されています。
このような切り分けは明瞭になされていますが、各メンバがどんな時間配分でどんな作業をしているかについての厳密な管理はありません。数ヶ月単位というスパンでチーム目標を設定し、それに対する到達度を週次で確認する程度です。


日々の業務レベルで個々人の自律性に対して互いに口を挟むことはほとんどないし、ましてやあるタスクに対し情熱を持って取り組もうとしていることに、異を唱えるようなことは皆無と言って過言ではありません。
さらにいうと、どうやらチームリーダの @katsuhisa__ は各メンバがなにに取り組んでいるのかを理解したり、それに対して都度軌道修正をすることを諦めているようです。ぼくたちはどうせなにを言われても自分が気になったこととか中途半端な状態のことからは手を離せないのでね。仕方ないね。
ちょっと余談ですが、自分が気になってしまったことこそ本質ですよね。仮にそれが脱線という表現をされるものだとしても、業務とは無関係なところで純粋な知的好奇心にドライブされて脱線しているわけなので。


(とはいえこれは現在の弊チームの規模が比較的小さく、互いがどんな作業をどの程度のリソース配分で実施しているかが暗黙的に共有できているという前提があるから成立している状況なのかもしれません。今後スケールしていく中でその在り方についても見直しが入ることはあるでしょう)


このスタイルがうまくワークしている理由には、 @katsuhisa__ の各メンバに対する期待値の高さが定期的に表現されていることと、仮にコケたとしてもそれを咎められることは絶対にないという心理的安全性が担保されていることがあります。
さらには個々人の取り組んでいるタスクが最終的には自チームを、ひいては開発部を、さらには会社全体をより良くすることにつながっているという意識が背景に隠れていることにつき、その認識を組み立てるサポートをしてもらえていることがひとつの大きな要因としてあると考えています。


そうやって聞くとなんて素晴らしいチームなんだろうと思われるかもしれませんが、実はそのとおりなんです。本当にステキなチームなんですよ♥
チームメンバは技術的にも人格的にも尊敬できる人ばかりだし、話していてめちゃ楽しい。かと言って優等生的なタイプがいるわけではなく、良い意味で頭がおかしい人たちの集団なのです(ぼくを除く)
この個人ブログ活動についても応援してくれているし、個人開発しているプロダクトについても肯定的な評価を……いや、それはウソか。結局誰もつかってねーし。okadash とかめちゃ便利なのにさ…




閑話休題

そんな感じで指の動くに任せてここまで書いてみましたが、結局何がいいたかったのでしょう。
それはですね、個々人の主体性を尊重しつつ、成長を全力で後押ししつつ、道に迷ったときには遠くに見える灯台までの道筋を照らしてくれるリーダがいる弊チームは最高ですよという自慢がしたかったのです。
どうやらそうらしいということをここまで書いて初めて自覚しました。


やりたいことは無限にあり、そのひとつひとつがどれも楽しく、やりがいがある。とても素敵な環境で働くことができているなぁと、ザクザクと書きすすめながら改めて感じました。


さてそんな弊SREチームでは、やっていきたいことに対して人手が足りていないというとってもクリティカルな問題が発生しています!
向上心の強い方にとっては、楽しくて学びの多いタスクや、めっためたに刺激的な環境が待っていることはぼくが保証します。ので、転職活動中のSREの方、ぜひごはんでも食べながらカジュアルにお話をしましょう〜!


仮にスタディストにジョインしないとしても、ぼくとあなたの内発的動機の源泉がどこにあるのか、それを探すための対話なんかができればぼくとしてはとっても嬉しく思います。




最後に宣伝をば。

てなわけでぜひお気軽にご連絡くださいな。結局何が言いたいのかよくわからんかったけど、宣伝で終わってしまうんだなぁ。まあでもステキな環境であることはぼくのお墨付き(なんの意味もない)なので、ちょっとでも興味がありましたらぜひ!お気軽にご連絡くださいませ〜(いつでもDMしてくれてもいいんやで)


あ、ちなみに SREチームの Wantedly の募集ページが以下です。


特にぼくは上記の記事内の「すべては楽しさのために」というフレーズが大好き。いいこと言うよ、ほんとにさ。


あ、あとそう。この資料マジでいいんすよ。お暇な際にぜひご一読くださいませ。看板に一切偽りなし、です。


と言ったところで眠気がピーク(現在27時!) なので、本日は寝ます!明日の朝にはこの記事消えてるかも知れない。
後半になるにしたがい眠気がつのり、乱文になっていく様が見てとれて面白いですね。あーーーちょっとだけスッキリした!おやすみなさい!!