サッカーの第98回全国高校選手権県大会最終日は9日、丸亀市金倉町のPikaraスタジアムで決勝を行い、大手前高松が1―0で四学香川西に競り勝って、初優勝を飾った。大手前高松は大会全5試合を無失点で制覇し、全国大会(12月30日開幕・埼玉スタジアムほか)の出場権を手にした。写真=【四学香川西―大手前高松】後半12分、ゴール前で味方のロングスローを競り合う大手前高松の片上(中央)ら。相手DFに当たってオウンゴールに
試合は0―0の後半12分、大手前高松のMF滝平がロングスローをゴール前に入れ、競り合いの中からオウンゴールで先制。以降は2年連続12度目の頂点を狙う四学香川西が攻勢を強めたが、大手前高松が粘り強く1点を守り切った。全国高校選手権の組み合わせ抽選会は18日に東京都内で行われる予定。
▽決勝
大手前高松 1(0―0)0 四学香川西
(1―0)
▽得点者【大】オウンゴール
(大手前高松は初優勝)
粘りの守備、昨年の雪辱 ロングスロー、先制点呼ぶ
大手前高松カラーの紫色に染まったスタンドの前で、笑顔の川上監督が宙を舞った。胴上げは37歳の指揮官だけでは終わらなかった。選手たちが追いかけ、コーチ陣も部長も主将の片上までもが次々と空中に…。にぎやかな試合後の光景に、初の全国切符を手にした喜びが詰まっていた。
厳しい決勝だった。優勝11回、攻守に整う四学香川西を前に、パスをつないで崩す得意のスタイルが自在に繰り出せなかった。攻撃で持ち味を発揮できず、やや分が悪かった前半。ただ、そこで慌てないところに成長の跡が見えた。「昨大会の決勝で敗れた悔しさを晴らす。それだけ。本当にその思いだけを掲げて1年間やってきた」とMF滝平。こう話す3年生のワンプレーから局面が打開された。
巧みなパス交換でリズムを徐々に取り戻し、後半12分に得た左サイドからの飛距離30メートル以上のロングスロー。準決勝でもゴールを生み出した得意技が相手のオウンゴールを誘い、待望の先制点を奪った。
以降は攻勢を強める四学香川西に対し、守備陣がギアを入れ直した。DF糸瀬は「ファウル覚悟で、最後まで諦めずに体を寄せた」。前半から積極的な飛び出しなどを見せていたGK三谷も「セットプレーでは速くて真っすぐな球が来る。それを意識していたので防げた」。初の頂点は昨年の決勝以上の泥臭い守備なしでは決してたどり着けなかった。
1964年創部。本格強化に乗り出した10年前の県大会初戦は0―13だった。苦しい道のりを経て県大会8校目の全国選手権出場校に名を刻んだ。指揮して11年目、理論派の川上監督は「本当に何もないところからのスタートだった。いろいろと思い出すが、全国こそが本番。しっかり準備をして一つとなって戦いたい」と初の大舞台を見据えていた。
四学香川西あと一歩 再三の決定機逃す
昨大会まで11回の優勝を誇り、決勝の舞台を知り尽くした王者らしく四学香川西は何度も決定機をつくった。だが、最後までゴールネットを揺らすことができず、連覇も県内3冠も逃した。主将でFWの町田は「決めきる力の差。何もできなかった」と一人責任をしょい込んだ。
この日、大手前高松が得意とするロングスローとセットプレーに対しては終始、辛抱強く守っていた。しかし、後半12分だった。警戒していたロングスローを互いに競り合う中、球が味方DFに当たって、オウンゴールに。大浦監督は「あの場面以外はプラン通りだった」と悔しさをにじませた。
攻撃ではシュートがクロスバーに当たる不運に見舞われ、終了間際にMF原が放ったシュートはゴールに入ったが、オフサイドの判定。攻撃の核を担うFW山内は「惜しいだけじゃ勝てない」と肩を落とした。
新チームの柱となる2年生は、昨大会から出場している選手が多い。MF久保は「全てでレベルアップする」、DF佐藤敬は「来年は絶対に選手権に出る」と、それぞれ力強く語った。天と地ほどの差がある決勝戦での勝敗。この2年の経験を糧に大きく前進することを誓っていた。
木下大サーカスの高松公演で新たな演目のデビューを飾った今村翔さん(26)。演目は七つの椅子を積み上げ、頂上で倒立する七丁椅子で「四国には友人が多く、公演を見に来てくれることもある。高松でデビューできてうれしい」と語る。
沖縄県出身で保育園児の頃から約20年にわたって器械体操に取り組んできた。大学生の頃、初めて木下大サーカスを目にし「感動の連続。サーカスが夢や希望を与えるものだと知った」と振り返る。特に空中ブランコに衝撃を受け「いつか自分も舞台に立つ」と決心して木下サーカスの門をたたいた。
七丁椅子はかすかに椅子が揺れる中、地上約12メートルの頂上で腕だけでバランスを取る妙技。デビュー前に受ける最終チェックで木下唯志社長から「次からデビューしよう」と出演のオーケーをもらった。喜びはあったが、決めのポーズに注文がついたそうで「練習を重ねて精度を上げていきたい」と気持ちを引き締めている。
念願だった空中ブランコのショーにも出演している今村さん。目標達成後も、観客にさらなる感動を与えるため日々鍛錬を積んできた努力が高松公演で実を結んだ。「初めて自分がサーカスを見た時の衝撃をみなさんに届け続けたい」。熱い思いを胸に今日もステージに立っている。
全国の高齢者がスポーツや文化活動を通し交流を深める「第32回全国健康福祉祭和歌山大会(ねんりんピック紀の国わかやま2019)」が9日、和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場で開幕、集まった60歳以上の選手や監督ら約1万人が健闘を誓った。式の冒頭には台風19号などの災害犠牲者に黙とうがささげられた。
和歌山県内の学生ら530人による演奏や合唱に合わせ、各都道府県と政令指定都市の選手団が特産品などを持って笑顔で行進。開会式に出席された故寛仁親王の長女彬子さま(37)は「多くの方と交流を深め、実りの多い大会にしてください」と述べた。
香川県勢は、剣道に出場する団長の西山正樹さんや、旗手でソフトボールに出場する阿野正文さんら選手、監督、役員計128人が参加。卓球やサッカー、ソフトバレーボールなど18種目に出場し、全国から集まった参加者と交流を深めながら練習の成果を競う。
競技は10日から始まり、12日まで和歌山県内21市町を会場に27種目が実施される。最高齢選手は富山県代表としてゲートボールに出場する100歳の男性。
若い世代に四国遍路や寺の歴史などに対する興味や理解を深めてもらおうと、高松市一宮町の四国霊場83番札所・一宮寺で8日、香川大の学生らが地元・一宮小の児童向けに授業を開催した。児童は複数のグループに分かれて境内を見学したり、四国遍路についての説明を聞いたりしながら、地元の歴史や文化を学んだ。
授業は、県が昨年度から行っている「札所寺院調査報告会」の一環。今回は初めて香川大と連携し、同大教育学部の学生17人が一宮小の6年生約120人に授業を行った。
境内では、本堂や納経所のほか、「地獄の釜」と言われる高さ1メートルほどの祠(ほこら)などを見学。クイズを交えながら御朱印や納め札の説明を受けたり、祠に頭を入れてみたりして楽しく知識を身に付けた。
また、室内では四国遍路についての解説もあり、学生たちは「ただ寺がたくさんあるというだけではなく、四国全体で一つの大きな巡礼地をつくっている」「若い人からお年寄りまで、性別や国籍は関係なくいろいろな人がお遍路をしている」などと説明した。
参加した津幡玲介君(12)は「自分が住んでいる町の歴史がたくさん知れてよかった。お遍路さんにもより興味が湧いた」と笑顔。香川大教育学部2年の松村学さん(20)は「初めての試みで緊張したが、楽しくできた。四国遍路や寺の魅力、子どもたちへの教え方など自分自身も学ぶことが多かった」と話した。
「瀬戸内国際芸術祭2019」で、土庄町大部地区に展示された台湾人作家リン・シュンロンさんの作品前で9日、瀬戸芸の閉幕を受けて作家への感謝を示す「日台交流イベント」(同町主催)が開かれた。土庄、台湾側のそれぞれが伝統芸能を披露し、瀬戸芸を契機に始まった交流の促進を誓い合った。
リンさんは2016年の瀬戸芸に続き、19年も同地区に作品を出品。今回の「国境を越えて・波」は前回の「国境を越えて・潮」の続編で、約6千本の竹を使った高さ約20メートルの球体の造形が国内外から訪れた大勢の観光客を魅了した。
交流イベントは、小豆島中央高校の誠心樽太鼓クラブによる樽太鼓演奏で幕開け。三枝町長があいさつに立ち、「リンさんの作品制作では大部の皆さんにも協力をいただいた。瀬戸芸によって大部は元気になったのではないか」と瀬戸芸効果を強調。大部地区協議会の山口真澄会長は「リン先生を通じ、台湾との友好が発展することを願う」と述べた。
リンさんは「アートを通して台湾と日本の交流がもっと深くなればいい。3年後にもチャンスがあれば、また(作品制作を)やっていきたい」と次回の瀬戸芸に意欲を示した。
伝統芸能の発表では、台湾側は小学生らが二胡演奏や空中ごまパフォーマンス、現代舞踊などを披露。リンさんも加わって民族歌謡を合唱する一幕もあり、見守っていた地元住民らから大きな拍手が送られた。
土庄側は小豆島石節(せきぶし)振興会(岡田好平会長)が、かつて島の石工が巨石を運搬する際に歌っていたとされる石節に踊りを加えた石節踊りを披露した。
イベントの最後に、土庄側がリンさんや小学生たちにオリーブリースなどの記念品を贈呈。台湾側からはお返しとして三枝町長らにバンダナが贈られた。
「国境を越えて・波」は近く撤去される。この日、同町沖之島では海岸などで展開していた瀬戸芸作品「OKINOSANG/元気・覇気・卦気」の撤去が完了し、地元住民や町関係者らが「反省会」を開いた。
「きものの日」(11月15日)を前に、高松市中央商店街で「きものパレード」が行われた。着付け講師や呉服店主ら約120人が色鮮やかな着物に身を包み、和装の魅力をPRした。
日本の伝統的な衣装「着物」の普及、振興を図るため、NPO法人和装教育国民推進会議県支部(奥山功支部長)が毎年行っている啓発イベント。今年は4日に行われた。
参加者は「みんなで着物を着ましょう‼」と書かれた横断幕を先頭に、常磐町商店街から丸亀町商店街までをしとやかに行進。買い物客らに着物の美しさや着物文化の素晴らしさをアピールした。
四国急行フェリー(高松市)が高松―宇野間のフェリーの運航を12月16日から休止する。今月11日、運行休止届けを四国運輸局に提出し、受理された。利用者の減少や収益の悪化を改善できず、瀬戸内国際芸術祭2019が閉幕したタイミングで決断したとみられる。1910(明治43)年に国鉄の宇高連絡船の就航で始まった宇高航路は109年の歴史に幕を下ろす。
宇高航路は、国道フェリー(高松市)が2012年10月に運航を休止し、現在は四国急行フェリーのみが運航。公共交通機関の一つとして地元の経済や市民生活を支え、荒天時の本四間の輸送でも役目を担っていた。
宇高航路のフェリーは1960年代にかけて、四国急行フェリーの親会社の四国フェリー(高松市)と国道フェリーの前身の宇高国道フェリーなど3社が運航。瀬戸大橋開通前の87年度には年間約400万人が利用した。
2009年に1社が撤退した後、段階的に減便を進めてきた四国フェリーと国道フェリーの2社は10年にそろって航路廃止を表明。その後、国や地元自治体が航路維持を目指して協議会を発足。2社とも利用者らの要望を受けて航路の廃止届を取り下げたが、12年に国道フェリーが運航休止して以降は1社のみで運航してきた。
13年には運航を子会社の四国急行フェリーに移管。香川、岡山2県と高松、玉野2市は、15年に同社に計3千万円の財政支援を決定。16年度も同額を支援したが、1日10往復を5往復に減便した17年度からは支援額を計1500万円に減額。19年度も同額を予算に計上していた。
行政からの支援を受けても利用者は年間約13万6千人(18年度)まで減少し、収支の改善には至らなかった。
木下大サーカスで日本の伝統芸の一つ「坂綱(さかつな)」に出演する請井克成さん(30)。ジャグリングなどでも活躍する一方、裏方としても多くの役割を担う“多芸の人”だ。
坂綱は、天井に向かって斜めに張られた麻縄上を両手に持った和傘でバランスを取りながら上っていく芸。上り切ったら和傘を手放し、あおむけなどさまざまな姿勢で一気に滑降する。
請井さんは、大学のサークルでジャグリングの腕を磨き、木下サーカスに入団。上空に固定したバーの上に立ち、その場で倒れ込むようにして1回転する「パイプレット」を1年目から担当し、ジャグリング、坂綱と演目を増やしてきた。
さらに、公演中は思わず探したくなるほど至る所に姿がある。「木下サーカスでは演者が裏方も含めて何役もこなすのが当たり前」。ほかのジャグラーのサポートや猛獣ショーのおりの設営、赤テントの最上層「キャットウオーク」での空中ブランコの補助などフル回転。客席での売り子もこなすため、1回の公演中にステージ衣装やスタッフジャンパーに10回近く着替えることもあるという。
演者では裏方に命を預けてパフォーマンスに集中し、裏方では演者を懸命に支える。「みんな努力しているし、命懸け。だから感動を届けられる」。世界一のサーカスを目指し、あらゆる努力を怠らない。
穴吹興産など県内外の4社が、マンションなどの集合住宅向けに災害対応機能を備えた宅配ロッカーを共同開発した。蓄電池を内蔵しており、災害時にも電力を供給できるのが特徴。スマートフォンの充電などを可能とするほか、防災用品の収納スペースも設け、マンション居住者だけでなく、近隣住民の安全・安心にもつなげる。来年3月末の発売を予定している。
共同開発したのは、穴吹興産のほか、同社グループでマンション向けの電力提供サービスを手掛ける日本電力(高松市)、宅配ボックス最大手のフルタイムシステム(東京)、蓄電池製造販売のエリーパワー(同)。災害対策をテーマに新たな取り組みを模索する中で、災害時に必要とされるサービスを無人で提供できるよう、宅配ロッカーの機能を工夫したという。
平常時は荷物の受け渡しに活用し、再配達の削減に寄与。地震が発生した際には、揺れを感知して自動的に扉が開き、コンセントの利用が可能になる。災害時には連絡や情報収集の手段として欠かせないスマホの電池切れが心配になるが、宅配ロッカーだけで電源確保を実現。電気ポットやポータブルテレビなどの電源としての使用も想定している。自動体外式除細動器(AED)など防災用品を収納するスペースも設けることができる。
商品名は「シェアリング防災宅配ロッカー」。目安のサイズは、1棟50世帯向けで高さ1・8メートル、幅4メートル、奥行き60センチだが、顧客のニーズに応じて変えられる。価格は未定。
同商品は、平常時と非常時の両方に対応できる外観と機能を有しているとして、本年度のグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)を受賞した。4社は「防災性と環境性の高い次世代スマートマンションを実現したい」としている。
8日は二十四節気の「立冬」。暦の上では冬の始まりとされる。県内では朝晩の冷え込みが強まって寒暖差が大きい日が続き、冬の足音も聞こえてきた。
高松地方気象台によると、7日の高松の最低気温は今季最低の7.9度(平年10.3度)。早朝の高松市内は快晴で空気が澄み、初冬の風物詩「浮島現象」が見られた。
冷たい空気と暖かい海水の温度差で大気の層が光を屈折させ、遠くの島が浮いたように見える蜃気楼(しんきろう)の一種。同市浜ノ町から沖合を眺めると、北東に庵治町沖の稲毛島、北に遠方の小豆島と小豊島間の小島群、西には大槌島が海面からせり上がり、往来する船舶も浮かんで見えた。
同気象台の予報では、8日の最低気温は12度で、冷え込みは幾分和らぐ見込み。最高気温は18度と予想している。