米中貿易交渉がつまみ食い的な「部分合意」に向かっている。また、英国のEU(欧州連合)からの離脱が「合意なし」の強行突破にならない可能性がとりあえず高くなった。そのため、金融市場は最近、相対的にリスクが高い金融資産へと投資マネーが向かう「リスクオン」に傾斜している。
さらに、10月の雇用統計の結果などから米国経済が早期にリセッション(景気後退局面)入りする可能性が減退したことが追い風となり、米国のいくつかの代表的な株価指数は史上最高値を更新した。
だが、「カネあまり」を足場に高値をつけた市場が、今度は「リスクオフ」に向かう可能性は、常にある。その際には、グローバルに数多いリスク要因が材料に使われやすい。市場で関心が高いテーマの中から、ここでは①中国の対米強硬姿勢、②中東情勢の微妙な変化の兆し、③北朝鮮のいらだちの3つを取り上げてコメントしたい。
市場が注目する3つのリスク要因
まず、①中国の動向である。米中貿易戦争の行方は、大統領選の前に中国から獲得した成果を選挙民にアピールしたいトランプ大統領側だけでなく、中国の習近平(シー・ジンピン)指導部の意向はどのようなものかという側面からも、しっかりウオッチしていく必要がある。
その中国は、対米協調路線に見切りをつけたのではないかと報じられている。また、同国が保有する最新鋭兵器はすでに米国を追い抜きつつあるとの見方も出ている。
中国共産党の新旧指導部が集まって議論する非公式の重要な場である8月の北戴河会議では何が決まったのか。公式の発表が行われないため、関係者などへの取材を基にした報道から実情を断片的に探ることになる。その関連で斬新な情報が、10月1日の朝日新聞朝刊でもたらされた。「習氏、対米協調に見切り 北戴河会議で慎重論突き放す」と題した記事の重要な部分は以下の通りである。
「『トランプ後の米国と、どう向き合うか』。複数の共産党関係者によると、5月から6月にかけて政府や傘下の研究機関でこんなテーマの検討会が繰り返された。
トランプ米大統領は中国を揺さぶっている。その交代を望む議論かと思いきや、党関係者は『そうではない』と語る。『トランプだろうが次の誰だろうが、中国を脅威と見る米国の姿勢は変わらない。その前提で対米外交を組み立てよという指導部のお達しだ』」
コメント10件
Acchie123
なし
米大統領選挙までの時系列で、内容が整理されていたら、ありがたかった。なお、磯崎敦仁氏の著書の抜粋は大変参考になったが、一方で、日本の対北朝鮮観が硬直的にならざるを得ない状況下での北朝鮮について(中長期的に)「公正な」見解(むしろ、neutr
al view)を持つことの難しさが、抜粋からでも、「行間」ににじみ出ているようである。...続きを読むLIonKingdom
Scientist
心配なのは,日本と日本人が何を考えているのか? ということです.
トランプが米国ファーストなのは自ら公言しているので明らかなことですが,オバマだってアサドを直接攻撃しなかったし,イラク撤退決めたわけで,米議会が中国叩きで一致しても,日本を助
けるとは限らない.北はそれを観ながら,いつか日本を獲物にしようと虎視眈々と狙っている,と考えるべき.韓国も同様.近平を国賓待遇する安倍は中共に助けて貰うつもり?...続きを読むすてぃぐりっつ
友好国かそうでないかで、核保有の是非を考えているというのは残念な考察だと思われる。それらの国がおこなってきた行動から国家の意思を判断した上で、日本国民は異なる対応をしている。
janky
中国は米国を超える超大国、北朝鮮とイランは自立を目指してるんじゃないの。
日本の場合左翼は米国従属を批判するけど、日本の自立より中国従属を目指してるとしか思えない。
だって憲法9条を改正しない限り敵地攻撃能力を持てないし、核の持ち込みにも反
対だから日本の安全保障なんて幻想。
...続きを読むインテリ左翼はその事実を知ってるけど反対する理由は国民に対するプロパガンダなんでしょうね。
憲法9条で日本の安全が守られてると信じ込まされた国民が安保なんでしょうけど。
石田修治
定年退職
かつては、国連の常任理事国の5カ国だけが核兵器を保有し、その他の国には「核兵器は持たせない」と言っていたが、今やインド、パキスタン、イスラエルに加えて、北朝鮮までもが保有国になってしまった。新たな保有国は、核兵器保有直前までは経済制裁などを
行ったが、止める事は出来なかった。国連の常任理事国は核兵器保有国が増えた事に対して何の責任も感じていない様で、単独で国連の議決に対する「拒否権」を与えている事に何の意味もなくなった。現在の拒否権は取り上げるか、万一どこかの国が核兵器を使用した場合に合同してその国を潰しにかかるとの誓約をしてもらうかが必要だと思う。どちらも出来ないなら、日本も核兵器の保有をすべきだ。それも米国製ではなく、純日本製の。独裁国家である中国が覇権を確立した場合に、日本を守るには核兵器保有が最も効果的だと思う。世界は核兵器廃絶に向かうどころか、完全に逆方向に動いている。トランプ大統領の発言や行動を見ていると、日本も何時迄も「アメリカ同盟国」である事が「安全保障」になり得ないのでは無いかとの疑問を持たざるを得ない。日本を全力で守る気がないなら、国内の米軍基地から全て撤退していただくしかない。それで「思いやり予算」と称する負担も日本地震のために使える。何かといえば「日本だけが利益を得ている」と言うが、実態は占領軍が居座り続けていてその運用費用を日本が負担している「被占領国家」を日米安全保障条約と言う条約で誤魔化しているだけだ。一方的に日本を他国の脅威から守るだけの安保条約が嫌なら、日本は米軍に頼らない国家防衛を考えざるを得ない。...続きを読むコメント機能はリゾーム登録いただいた日経ビジネス電子版会員の方のみお使いいただけます詳細
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