また、菅原は「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の会員であり、復古的保守団体である「日本会議」を支援する「日本会議国会議員懇談会」に加えて、同様の運動を展開する「神道政治連盟国会議員懇談会」にも所属している。
「菅原当人が熱心な信徒であるとか、憲法改正や日本の伝統文化の復活を真剣に考えているとは思えないが、それでも安倍首相に受けがよさそうだと見れば、献金さえするようなタイプ。そこまでされれば、首相としても悪くは思わない。魚心あれば、というところだろう」
前出の内閣情報室関係者は、そう言ってさらに続けた。
「10月31日に辞任した河井(克行)法相も、まさにこのパターンだ。『みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会』と『神道政治連盟国会議員懇談会』に所属しているし、そもそも2012年に安倍首相が復活した際には、総裁選で推薦人になったばかりか、選対事務局まで開いて恩を売っている。
結果、第2次安倍政権がスタートすると、衆院外務委員長に就任。また、2015年以降は首相補佐官に抜擢され、その後、『安倍首相を支える5人衆』の一人と言われるほど重用された。
だが、2017年にはポスト安倍を視野に入れたのか、菅長官を囲む『向日葵会』を発足し、当選同期にもかかわらず、菅長官に恭順の意を示した。その成果が法相抜擢だった」
今回辞任した両閣僚は、菅長官ばかりか首相の覚えもめでたく、その相乗効果で大臣の座を射止めたと言うのである。確かに、政権内部での菅長官の影響力は絶大とはいえ、それも安倍首相あってのことだ。
話を総合すると、見えてくるのは、菅原、河井の巧みな“人あしらい”である。換言すれば、“すり寄り”“ごますり”“追従” ──。だが、首相や官房長官が率先してこれに乗った挙句、閣僚のスピード辞任を招き国益を損なうとは、その責任はきわめて重い。