「Chromium」とは、オープンソースプロジェクトによって開発されている軽量ブラウザで、Google Chromeのベースとなったブラウザでもあります。
見た目はほとんどChromeと同じで、違いはアイコンが青色なところぐらい。
機能的な大きな違いは、以下のような感じです。
- Googleの機能(ブックマーク同期、翻訳など)は使えない(Google APIキーが必要)
- RLZトラッキング機能(Googleサーバーへの情報送信)はなし
- 自動アップデート機能はなし
- Adobe Flash Playerは同梱されていない
僕は、メインのブラウザがChromeで、Chromiumも同時に使用しています。
モニター2つで、片方の画面にChromeを開き、もう片方の画面にChromiumを開くといった使い方です。
Chromeだけでウィンドウを2つ開いてもいいのですが、多くのタブを開きっぱなしで使うので、間違ってウィンドウを閉じたときに片方のウィンドウのページが全て閉じてしまってめんどくさいので。
ということで、今回はそのChromiumのセットアップ手順(Google APIキー設定)を紹介します。
なお、今回のバージョンは以下です。
- Windows 7 Professional SP1(64bit)
- Chromium 49.0.2586.0
Chromiumのインストール
まずは、Chromium公式サイトより、Chromiumをダウンロードします。
が、ダウンロードページの場所が分かりにくい。。
ダウンロードページのURLはこちら。
このダウンロードページにたどり着くには、
- Chromium公式サイトトップページ ⇒ 「Chromium」 ⇒ 「Sections」の「Getting Involved」 ⇒ 「Help with Testing」の「latest trunk build of Chromium」
とリンクを辿っていくとたどり着きます。
最新版のWindows(32bit版のみ)バージョンをダウンロードするには、「Easy steps」のhttps://download-chromium.appspot.comからZIPファイルをダウンロードします(今回はこちらを使用します)。
Android、Mac、Linux、Chromium OSやWindowsの旧バージョンなどをダウンロードする場合は、「Not-as-easy steps」のhttps://commondatastorage.googleapis.com/chromium-browser-snapshots/index.htmlからZIPファイルをダウンロードします。
こちらには、Windowsの32bit・64bitバージョンがあります。
ダウンロードしたZIPファイルを任意の場所に解凍すれば、その中に「chrome.exe」があり、これを実行するとChromiumが使えます。
また、解凍したフォルダのプログラム本体とは別に、ユーザー設定などは「C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Chromium\User Data」に保存されるようです。
Chromiumのセットアップ(Google APIキーの設定)
「chrome.exe」を実行してChromiumを開いてみると、初期状態では「Google APIキーが欠落しています。Chromiumの一部の機能は無効になります。」と出ます。
Google APIキーを設定しないと、Googleアカウントへのログインとブックマーク同期や翻訳などのGoogleの機能は利用できません。
で、「詳しく見る」のリンクから設定の仕方のページを見てみますが、全部英語。。
ちょっとずつ読みながらやってみました。
フォーラムのグループへの参加
まずは、Googleアカウントにログインした状態にします。
そして、Googleグループの「Chromium-dev」へアクセスし、「投稿するにはグループに参加してください」ボタンからグループへ参加します。
プロジェクトの作成
続いて、Google Cloud Platformへアクセスします。
まだ何もプロジェクトが作成されていない場合は「Create Project」から、すでに何かプロジェクトが作成されている場合はメニューの「プロジェクトの作成」から、適当な名前でプロジェクトを作成します。
APIの有効化
続いて、必要なAPIを有効化します。
メニューから「API Manager」⇒「概要」を開きます。
検索ボックスにAPI名を入力して検索し、選択します。
「APIを有効にする」ボタンでAPIを有効化します。
有効化するAPIですが、設定の仕方のページにある一覧の中から、Chromium OSが対象のもの、ややこしそうな説明が書かれているもの、検索しても見つからないものを除いて、以下のようにしました。
これらのAPIは、グループ「Chromium-dev」へ参加していれば、見れるようになるみたいです。
- ○ … Chrome Remote Desktop API
- ○ … Chrome Spelling API
- ○ … Chrome Suggest API
- ○ … Chrome Sync API
- ○ … Chrome Translate Element
- ○ … Chrome Web Store API
- × … Google Maps Geolocation API
- ○ … Safe Browsing API
- ○ … Speech API
- ○ … Google Maps Time Zone API
- × … Google Cloud Messaging for Chrome
- × … Drive API
- ○ … Google Now For Chrome API
- ○ … Google+ API
- × … Chrome OS Hardware ID API
- × … Device Registration API
認証情報の作成(OAuthクライアントID、クライアントシークレットキー)
続いて、APIを使用できるようにするための認証情報の作成を行います。
まず作成するのは、「OAuth 2.0 クライアントID」というものです。
メニューから「API Manager」⇒「認証情報」⇒「OAuth同意画面」タブを開き、「ユーザーに表示するサービス名」に適当な名前を入力し、「保存」ボタンで保存します。
この同意画面で、先にサービス名を設定しておかないと、OAuthクライアントIDを作成することができません。
そして、「認証情報」タブを開き、「新しい認証情報」のドロップダウンリストから「OAuthクライアントID」を選択します。
「その他」を選択し、適当な名前を入力し、「作成」ボタンでOAuthクライアントIDを作成します。
そうすると、OAuthクライアントIDとクライアントシークレットキーが表示されますので、コピーしておきます。
認証情報の作成(ブラウザAPIキー)
同じように、次は「ブラウザAPIキー」を作成します。
同じ画面「認証情報」タブの「新しい認証情報」のドロップダウンリストから「APIキー」を選択します。
ポップアップ画面が出てくるので、「ブラウザキー」を選択します。
適当な名前を入力し、「作成」ボタンでブラウザAPIキーを作成します。
そうすると、ブラウザAPIキーが表示されますので、コピーしておきます。
これで、必要な3つのAPIキー、クライアントID、クライアントシークレットキーが揃いました。
Chromiumへキーの設定
3つのキーが揃ったら、Chromiumへ設定する必要があります。
設定の方法としては、どうやら3つの方法があるみたいです。
- ソースコードに埋め込んでビルド
- 設定ファイルへ追記(Chromium OSの場合)
- 環境変数へ設定
一番手っ取り早いのは、環境変数へ設定なので、これでやってみます。
- 「コントロールパネル」⇒「システム」⇒「システムの詳細設定」⇒「環境変数」
で設定画面を開きます。
3つのキーの値を、それぞれ以下の環境変数名で設定します(ユーザー環境変数、システム環境変数どちらでも可能)。
- GOOGLE_API_KEY(APIキー)
- GOOGLE_DEFAULT_CLIENT_ID(クライアントID)
- GOOGLE_DEFAULT_CLIENT_SECRET(クライアントシークレットキー)
以上で、Google APIキーの設定は完了です。
設定完了の確認
では、Chromiumを開いてみましょう。
そうすると、「Google APIキーが欠落しています。」のメッセージは出なくなりました。
そして、Googleアカウントへログインもできるようになりました。
これで、ブックマークや拡張機能の同期、翻訳機能なども利用できるようになりました。
Google APIの注意点
Google APIは、初期状態は無料で利用できる範囲が割り当てられており、制限がかかっています。
Chromiumを使用するだけでしたら、無料の範囲内で問題ないと思います。
なので、課金するリンク、割り当てを増加させるリンクなどはクリックしないように注意しましょう。
最後に
Google APIキーの設定は結構めんどくさかったですが、なんとかChromiumを使えるようになりました。
Chromiumをベースに作られたブラウザ「SRWare Iron」というのも結構メジャーなので、今度はそちらも試してみようかなと思います。
Ironだと、今回のようなGoogle APIキーの設定は必要ないのかも。
また、今回はChromiumブラウザを利用するためのGoogle APIキーの設定でしたが、Chromium OSを利用する場合も同じような手順が必要かと思います。
コメント
素晴らしい!
Windows10ですが,出来ました.
但し最初,ユーザー環境変数だけ設定しても相変わらずAPIキーが不足していますと表示されたので,システム環境変数にも追加したら出来ました.
後者だけでも良かったのかどうかは試しておりません.
大変助かりました.
ありがとうございます.
Windows 10だと勝手が違うんですね。。
情報ありがとうございます!
お役に立ててよかったです!
とても参考になる情報ありがとうございます!
ChromiumのGoogleAPIで困っていたところ、ここを参考にさせて頂き
Windowsで設定が無事に完了することができました。
ありがとうございます(*^^*)
ただ、自分はmacも所有していてそっちでも使えるようにしたいと思っているのですが、
macでは最後のところの、Chromiumへキーの設定をするにはどのようにしたらいいのでしょうか?
macだと環境変数の勝手が違いわかりませんでした・・・
もしよろしければ、助言の方よろしくお願い致します。
コメントありがとうございました!
Macにあまり精通していないので、ネットで調べた内容なので間違っているかもしれませんが…。
おそらくホームディレクトリの「~/.bashrc」か「~/.bash_profile」に、以下のように追加すればいいと思います。
export GOOGLE_API_KEY=XXXXXXXXXXX
export GOOGLE_DEFAULT_CLIENT_ID=XXXXXXXXXXX
export GOOGLE_DEFAULT_CLIENT_SECRET=XXXXXXXXXXX
追加後は、ターミナルで以下のどちらかのコマンドを実行する。
source ~/.bashrc
source ~/.bash_profile
環境変数が追加されたかどうかを以下のコマンドで確認する。
export -p
こんな感じだと思います。
英訳完成度が高く・明快で・非常に丁寧なマニュアルですネ。
長年、Google chromeを愛用して来ました。 PCゲーム&動画関連を除くWindows
Experience Indexは7.6~7.9の自作PCですが、2年程前からモタモタし始めたので、
他のBrowserを検討し、現在、Chromium>Firefox Developer Edition(開発機能
無効化)>Firefox>Google (全てx64版; 起動が速く・軽快な順序)を使用中です。
Google A/Cが有り、Google Earth ProとGoogle Mapを毎日数回、gmailを時々
使っていますが、Google API Keysは無用な作業環境です。
Chromiumを起動する都度、現れる警告”Google APIキーが欠落・・・”が煩わしいので
表示させない対策を3ヶ月間探して居ました。
2ヶ月前、下記の情報を見付けたけど、export GOOGLE_API_KEY=no
export GOOGLE_DEFAULT_CLIENT_ID=no & export GOOGLE_DEFAULT_
CLIENT_SECRET=no の”export”方法が解らず、お手上げ状態でした。
https://groups.google.com/a/chromium.org/forum/#!topic/chromium-
discuss/k7BdDs6GnCw (jonasko 2014/06/05)
貴兄のマニュアルの最後に記された[システムの詳細設定]~[環境変数]の
”ユーザー”と”システム”の両方に[新規]記入設定する事によって、警告が
現れなくなりました。 有難う御座いました。
コメントありがとうございました!
Windowsの場合、環境変数設定方法の勝手が違うのでややこしいですよね。。
設定後、chromium-dev経由で英文のメールが数通入ってくるんですが、これはそういうものと割り切るしかない感じですかね………
GoogleAPIを使う代償のようなものとして。
こちらはメールは送られてきておりません。
おそらくマイグループで「メールなし」に設定すると送信されてこないと思いますので、お試しください。
えふめんさん。ご返信ありがとうございます。早速やってみます。
[…] […]