入所していた山口市の社会福祉施設で2月、生後約2カ月の長女に暴行し死亡させたとして、傷害致死罪に問われた無職安部玲伽被告(24)は12日、山口地裁の裁判員裁判の初公判で起訴内容を認めた。
被告は長髪で顔を全て覆い出廷。中程度の自閉スペクトラム症で、場面によって無口になる「場面緘黙(かんもく)」の症状があり、井野憲司裁判長が氏名や生年月日、起訴内容などに間違いがないか問い掛けると、筆談で応じた。
検察側は冒頭陳述で、長女莉結愛(りゆな)ちゃんがぐずったのでミルクをあげたが、長時間飲まなかったことにいらいらし「感情を抑えられなかった」と指摘した。
弁護側は、事件に障害が影響しているとし、養育する能力がないのに育てなければならなかったことについて「関係者の関与の在り方を考える必要がある」と述べた。
起訴状などによると、2月11日、施設の居室で莉結愛ちゃんの顔と頭を平手で数回たたき、手で口をふさぐなどして、くも膜下出血による脳浮腫などで死亡させたとしている。
施設職員が訪れた際に死亡しているのを見つけ110番した。