朝乃山(25)=高砂=は大関復帰の貴景勝に上手出し投げで完勝。関脇以上が総崩れとなるなか、新小結は一人気を吐いた。
2度の立ち合い不成立にもひるまなかった。朝乃山は立ち合い、貴景勝得意の突き押しに応戦した。相手の左からのいなしを、見透かしたかのように踏み込んで右を差して前へ前へ。最後は左上手出し投げで、大関を腹ばいにする圧勝劇だった。
初日は不戦勝。新三役としての土俵上でもぎ取った最初の白星は「うれしいけど、終わりじゃない。こういう相撲を増やしていく」。
上位総崩れを受け、三役以上では早くも唯一の勝ちっ放しも、気にするそぶりはなかった。それよりもまず気になったのが、苦手と自認する押し相撲への対応だった。
支度部屋では「上体、丸かったっすか?」「あご上がってたっすかね?」と、矢継ぎ早に報道陣に逆質問。伸び盛りの25歳らしく、向上心を隠そうとしなかった。
年間最多勝争いで御嶽海、阿炎と並んで46勝でトップに立ったが「取っても取れなくても、うれしくも悔しくもない」と完全スルーも、夏場所で令和初の優勝力士となり、賜杯の重みと喜びを知った一年の締めくくり。間違いなく頂点を見据えている。
3日目は結びの一番で、白鵬に挑戦する。初顔合わせだった名古屋場所では、右四つでがっぷり組んで上手投げでねじ伏せられた。「何も考えず前に出るだけ。(横綱を)慌てさせたい」。混戦の主役として、名乗りを上げる舞台は整った。