2018年04月18日 00:22 掲載
ニュース・プラス EVは本当に環境にやさしい? 独ADACが総CO2量を試算
以下の図表はドイツの電気がどういった燃料によって作られているか、発電所の割合を示したものである。
(c) Quelle: ADAC
以下が翻訳である。
(c) Quelle: ADAC
石油、石炭、褐炭、天然ガスを使った火力発電は多くのCO2を排出する。再生可能エネルギーを使っての電力供給は全体の23%であるが、このデータは環境省が2013年に出したものであり、2017年では33.2%であると推定値が出ている。また、環境省はこの値を2025年までに、40~45%に引き上げる目標を掲げている。
空はゴミ捨て場ではない
二酸化炭素(CO2)は、それ自体は危険な物質ではないが、量によっては人に害を及ぼす。CO2が起こす温室効果とは、太陽光によって地球に注がれた熱を宇宙に戻さず大気圏に留まらせる。適度のCO2は人間の生存に必要不可欠であり、さもないと地球は冷却してしまう。
しかし、私たちは必要以上のCO2を排出し、空(大気圏)をゴミ箱にしてしまっている。CO2は大気圏に長く存続するため、その量は増加を続け2013年には400ppmを超過している。これは人類の歴史でいまだかつてない数値であり、地球の平均気温は産業革命以前に比べ約1度上昇した。このままCO2が増え続ければ、2100年にはさらに3~4度の平均気温の上昇が見込まれており、海面水位の上昇や農作物の不況らの危険性をはらんでいる。この事態を逃れるために、私たちにはCO2の排出量をすぐにでも減少させる必要がある。
以上がADACの記事である。EVといえども、何で発電するかによってCO2排出量が大きく変わってくることが分かる。ドイツの火力発電は、多くが石炭を燃料にしているためEVに不利になりやすいことは以前から指摘されていた。一方、同国は、風力、太陽光といった再生可能エネルギーでの発電で世界をリードする環境先進国でもある。これら再生可能エネルギーで作った電力をクルマで利用するには、クルマは当然EVである必要がある。その点から考えると、まだまだ発展途上とはいえ、ドイツにおいても将来のクルマがEVへ向かうことは間違いないだろう。
また、ドイツの電気使用について補足すれば、ドイツでは住居で使用する電気を選ぶことができる。住居で再生可能エネルギーによって作られた電気を使いたい場合は、そのような電気を供給する電気会社がドイツにはあり、契約すれば使用することができる。それ以外の電気会社を選んだ場合は、さまざまな燃料で発電された電気を使用するが、これを「ミックス電気」と呼ぶ。記者がドイツで契約していた1990年~2010年の期間は、再生可能エネルギーによる電気はミックス電気よりも料金がいくぶん割高だったが、環境問題に意識的な人はこちらを選ぶ傾向にあった。
2018年4月18日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)
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