交通事故の示談について相談してみた|弁護士インタビューvol.3 – 交通事故に精通している弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所

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交通事故の示談について相談してみた|弁護士インタビューvol.3

弁護士 堀 翔志(ホリ ショウジ)

加害者や保険会社などの対応に誠意が感じられない場合や、加害者と連絡が取れなくなってしまった場合などは、どこに相談すれば良いのでしょうか。

相談先は様々ですが、困った時はまずは交通事故に精通している私たち弁護士にご相談いただければと思います。これから何をすれば良いかなど、豊富な経験とノウハウに基づいて回答いたしますし、加害者や保険会社との交渉や、後の裁判などに迅速に対応できるサポートをしていきます。

弊所には、令和元年5月16日付で移籍してまいりました。

弁護士登録後1年目は、独立して事務所を運営しており、その際は、国選弁護人や私選弁護人としての活動、交通事故等に注力しました。2年目は、独立こそしていたものの芸能事務所の内部に所属していた経験がございます。

今後はベンチャーグループの様々な案件を解決に導けるように注力してまいります。まだまだ若造ではございますが、フットワーク軽く対応させていただけるよう頑張りますので、なにとぞよろしくお願いいたします。

事故直後の行動と示談交渉の流れ

インタビューアー:
本日は、お時間をいただきありがとうございます。
今回は、交通事故発生直後から示談成立までの流れをお聞かせいただければと思います。
そもそも「示談」とはどのようなことを指すのでしょうか?
弁護士:

示談とは、何らかの問題で争っている人同士が話し合いをして一つの解決案で合意し、争いを終わりにしようと約束することです。

法律用語としては「和解」という言葉がありますが、和解も示談も同じ意味と理解しても差し支えありません。
示談は裁判を通さない話し合いなので、裁判上の和解を「和解」と呼び、裁判外の和解を「示談」といって区別することもあります。
しかし、裁判外の和解を「和解」と呼ぶこともあります。
交通事故の被害者と加害者が話し合いで解決することを通常「示談」といいますが、これを「和解」といっても間違いではありません。
和解と示談の言葉の違いにこだわることにあまり意味はありません。

民法第695条には「和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる」とありますが、和解でも示談でもどちらか一方の言い分を全面的に認める形でまとまる場合もあります。
当事者間の約束ごとですから、お互いが合意するならどのような形でも構わないのです。

和解でも示談でも、いったん成立すると前提事実が違うことに後で気づいても蒸し返すことはできないことに注意が必要ですね。

インタビューアー:

示談と言っても色々な形があるんですね。

示談の際によく耳にするのが「示談金」、「慰謝料」、「損害賠償金」の3つですが、それぞれどのような違いがありますか?

弁護士:

まず、慰謝料というのは被害者が感じた苦しさ、痛さ、恐怖、悔しさなどの精神的損害をつぐなうために支払われるお金のことを言います。

損害賠償金というのは被害者が受けた損害を回復するために支払われるお金の総額です。

治療費や通院交通費、休業損害、逸失利益、物損などさまざまな項目があり、慰謝料も損害賠償金の一部になります。

最後に示談金というのは、示談でお互いが合意した金額のことを言います。
通常は損害賠償金とほぼ同じ金額になりますが、迷惑料や手切れ金など損害賠償金にはない性格のお金がプラスされることもありますね。
なので、損害賠償金は示談金の一部ということになります。

イメージとしては「示談金>損害賠償金>慰謝料」という構造で考えるとわかりやすいでしょう。

なお、示談金は、事情によっては損害賠償金よりも少ない金額になることもあります。

損害賠償金にはある程度客観的な算定基準があるのに対して、示談金は当事者が合意するのであれば自由に決めることができます。
示談金は慰謝料や損害賠償金の相場にかかわらず、争いを終わりにするためのお金という意味で、慰謝料や損害賠償金とは性質が違う側面もあります。

インタビューアー:

なるほど、「示談金>損害賠償金>慰謝料」と考えればいいんですね。

それでは実際に交通事故発生した場合、まずは何からすべきでしょうか?

弁護士:

まずは、すぐに警察に連絡することですね。

後日、保険を使うために交通事故証明書という書類が必要になりますが、この書類をもらうためには警察に対応してもらう必要があります。
また、警察の実況見分調書などの捜査記録は、事故の相手と言い分が食い違ったときに争いを解決するための重要な証拠となります。

被害者になった場合はもちろん、加害者になった場合でも過大な請求を受けないために、警察に証拠を作ってもらうことが必要なのです。
軽微な事故だと思っても、また、相手が必要ないと言っても、必ず警察に連絡すべきです。

インタビューアー:

まずは警察に連絡すべきなんですね。

他にその場ですべきことはありますか?

弁護士:

加害者の住所・氏名・電話番号はかならず聞いてメモしておきましょう。

運転免許証で確認する他、加害者が名刺を持っていれば1枚もらいましょう。
加害者の勤務先の情報は、後々、示談交渉や示談金を回収する際などに役に立つことがあるからです。

加害者からは他にもいろいろな情報を聞き出しておくことが大切です。
車のナンバーと任意保険・自賠責保険の保険会社名は必ず聞いてください。
できれば車検証も見せてもらって、車の所有者を確認しましょう。

所有者が加害者と違う場合は、所有者の住所・氏名・連絡先もメモしておきましょう。
万一、加害者に示談金を支払う経済的余裕がない場合でも、所有者に支払ってもらえる場合があるからです。
加害者の運転免許証、車検証、保険証券、車のナンバーなどはスマホや携帯電話で写真に撮れば正確に記録することができます。

第一に警察への連絡、第二に加害者に関する情報を記録したら、第三に自分が加入している保険会社に連絡してください。
交通事故で怪我をした場合は加害者と示談交渉をするのは怪我の治療が終わってからになりますが、事故直後から保険会社に関わってもらうことで示談交渉をスムーズに進められるようになります。

以上の3点の他にも、事故の状況を自分でできる限り記録しておくのが望ましいです。
人間の記憶は意外なほど正しくありませんし、時間の経過によっても変わってしまいます。
後日、示談交渉をするときに相手と言い分が食い違うことはよくあるので、現場の生々しい状況を記録しておくことは大切です。

記録すべき事項として最も重要なのは、事故の客観的な状況です。
事故現場やその周辺の様子、車の破損状況などは写真に撮っておきたいところです。

次に、相手の言い分を記録しておくことです。
事故直後の加害者とのやりとりはすべて録音しておくことが望ましいです。
録音できなかった場合は忘れないよう、その日のうちにできるだけ詳細なメモを書いて残しておきましょう。

最後に、事故の目撃者が現場周辺にいたら話を聞いて、その人の住所・氏名・連絡先も聞いておくのが理想的です。
協力をお願いするのは気が引けるかもしれませんが、加害者とも被害者とも利害関係のない第三者の証言は信用性が高いので、証言してもらえれば保険会社でも警察や裁判所でも重要な証拠になる場合が多いのです。

インタビューアー:

事故現場で相手方の保険会社が示談金を提示してくるようなケースはありますか?

弁護士:

事故現場で相手方の保険会社が示談金を提示してくるようなケースはありません。

交通事故の示談金というのは、どんな交通事故が起こったのか、その事故が原因で誰にどれだけの損害が生じたのかを調査して、それなりの資料で確認できてはじめて算定されるものなので、事故現場で金額を提示できるものではないのです。

もし事故現場で示談金として具体的な金額を提示してきたら、それは正規の保険会社ではなく、いわゆる「示談屋」であると考えるべきです。
事故直後の混乱に乗じて不当に低い金額で示談させるのが目的です。

いったん示談に応じてしまうと原則として蒸し返すことはできないので、損害の調査と確認が終わるまで示談に応じてはいけません。

通院・入院中、症状固定の際の注意点

インタビューアー:

怪我をして入通院する際、途中で保険会社から症状固定をすすめられた場合は応じなくてはいけませんか?

弁護士:

応じる必要はありません。安易に応じてはいけないとも言えます。

保険会社としては治療費の支払いをできるだけ早く打ち切りたいので、まだ治療が続いているのに症状固定をすすめてくることがあります。
目安として、打撲なら長くても1ヵ月、ムチウチ症なら3ヵ月、骨折なら6ヵ月も治療が続いていると、多くの保険会社は症状固定をすすめてきます。

しかし、症状固定の状態になったかどうかを判断すべきなのは保険会社ではなく医師です。
症状固定とは、それ以上治療を続けても改善が見込めない状態のことを言います。
保険会社は、怪我の治療状況や医師の見解などにはお構いなしに、単に「ムチウチ症の治療で3ヵ月が経ったから」という形式的な判断で症状固定をすすめてくることが多いです。
実際には症状固定の状態ではないのに保険会社のすすめに応じて症状固定にしてしまうと損をする可能性があります。

具体的には、症状固定後は治療を続けても保険会社に治療費を支払ってもらうことはできません。
入通院慰謝料や通院交通費、休業損害なども症状固定のときまでで打ち切られてしまうのです。

保険会社から症状固定をすすめられたけれどまだ痛みや苦しみが続いていて、治療の効果を感じている場合は、医師にしっかりと伝えて、適切な治療を続けることが先決です。
症状固定のすすめに応じないでいると保険会社が一方的に治療費の支払いを打ち切ってくることもありますが、体が第一ですので、まだ治療の必要性があるのなら治療を続けるべきでしょう。

インタビューアー:

損をする可能性があるんですね。

もし保険会社からの治療費の支払いが打ち切られた後も治療が続いた場合、その間発生した治療費はどのような扱いになりますか?

弁護士:

いったんは自己負担することになりますね。

後々の示談交渉の際に、治療が必要だったことを主張して、その主張が認められれば打ち切り後の治療費も示談金に含めて支払ってもらうことになります。
治療が必要だったことを証明するには、カルテやレントゲン、MRI画像などを精査するのが通常です。

カルテなどの取り寄せは相手の保険会社がやってくれます。
治療が必要だったことを相手の保険会社が認めない場合は、裁判するかどうかを検討することになるでしょう。

なお、交通事故による負傷の治療には、通常は健康保険を使わず、保険会社は治療費の十割を直接医療機関に支払っています。
打ち切り後の治療費を一時的にとはいえ十割負担するのは大変なので、健康保険に切り替えることも考えられます。

治療の途中で自由診療から健康保険に切り替えるためには手続が必要です。
加入している健康保険機関へ「第三者行為による傷病届」など必要書類を提出した上で、治療を受けている医療機関で健康保険証を提示することになりますね。

後遺障害等級認定について

インタビューアー:

症状固定後に機能障害が残ってしまった場合はどのような流れになりますか?

弁護士:

症状固定後に機能障害が残ってしまった場合は後遺障害の等級認定を受けて、保険会社からの示談金額の提示を待つことになりますね。

後遺障害の等級は保険会社が認定するわけではなく、損害保険料算出機構・自賠責損害調査事務所という公平中立な機関が調査した上で認定します。

認定を受ける手順としては、まず、症状固定と診断されたら「後遺障害診断書」を医師に発行してもらいます。
その後遺障害診断書を相手の保険会社に提出すれば、すべての手続を保険会社がやってくれるので、あとは示談金額の提示を待つだけです。
その間の期間は平均で1~2ヵ月ほどですが、事案によっては3~4ヵ月かかることもあります。

損害保険料算出機構・自賠責損害調査事務所による認定結果が出たら、保険会社は認定された等級に応じて後遺障害慰謝料を算出し、逸失利益や入通院慰謝料、治療費、休業損害など他の損害項目についても金額を算出した上で、総合的な示談金額を提示してきます。
提示書面には損害項目ごとの内訳も書いてあるので、それぞれについて適切な金額が提示されているかを検討することができます。

なお、後遺障害の等級認定の申請方法は、相手の保険会社に任せる方法(事前認定)の他、自分で申請する方法(被害者請求)もあります。
ただし、自分で申請する場合は、損害保険料算出機構・自賠責損害調査事務所に認定申請をするときに後遺障害診断書の他にも数多くの書類や資料を準備しなければなりません。
病院のカルテやレントゲン写真、MRI画像を取り寄せたり、事故の状況を明確に説明する書類を書いたりする必要があります。

これらの準備には大変な手間と時間がかかりますが、自分で申請するメリットもあります。
相手の保険会社に任せる場合は被害者に有利な資料を積極的には提出しない可能性があるのに対して、自分で申請する場合は自分に有利な資料を提出することができるという点です。
損害保険料算出機構・自賠責損害調査事務所は、基本的には提出された資料を精査することによって被害者の後遺障害の等級を判断します。
その判断材料の提出を相手の保険会社に任せるのか、自分で行うのかによって結果が異なることもあり得ます。
自分で申請するのは大変ですが、弁護士に依頼すればすべてを代行してもらうこともできます。

インタビューアー:

保険会社からの示談金額に納得できない場合、交渉の余地はありますか?

弁護士:

まず、後遺障害の等級に納得できない場合は、異議申立てをすることができます。

その結果、等級がアップすれば後遺傷害慰謝料と逸失利益が大幅にアップします。

それ以外の損害項目については、交渉によってアップする余地もなくはありませんが、微調整程度にしか期待できません。
保険会社としても社内の損害賠償算定基準に則って算定していますから、被害者の意見だけで大幅に金額を上下させることはできないのです。

しかし、算定する基準を変えることができれば、大幅に金額をアップさせることが可能になります。
実は、示談金には3つの支払い基準があります。自賠責基準・任意保険基準・裁判基準の3つです。

このうちのどの基準で算定するかによって金額が大幅に変わります。
弁護士に依頼して間に入ってもらうだけで高い基準で算定した示談金を獲得できることもあるので、まずは弁護士に相談することがおすすめです。

インタビューアー:

まずは弁護士に相談することがおすすめなんですね。

示談金には3つの支払い基準があるとのことですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

弁護士:

簡単に言いますと、裁判基準、任意保険基準、自賠責基準の順に賠償金額が高くなります。

例えば、後遺障害14級が認定された場合の後遺傷害慰謝料は、自賠責基準で32万円、任意保険基準で約40万円、裁判基準で110万円となります。
算定基準が変わるだけでこれだけの開きが出るのです。

自賠責基準とは、車の所有者に加入が義務づけられている自賠責保険で使用される算定基準です。
必要最低限の補償で、120万円が上限となっています。

任意保険基準は、任意保険会社が示談金を算定するために定めている基準です。
保険会社ごとに細かい違いもありますが、だいたい共通した水準になっています。

裁判基準は、民事訴訟で裁判官が使う算定基準で、過去の数多くの裁判例の積み重ねによって成り立っています。
任意保険会社は示談交渉では任意保険基準で算出した示談金額を提示してきますが、被害者が納得できずに民事訴訟を起こし、判決が出て確定すると、任意保険会社も裁判基準で算出された判決内容のとおりの金額を支払ってきます。

裁判基準が最も高額になるのであれば、誰しも裁判基準で算出した示談金額を支払ってほしいと思うことでしょう。
でも、他の2つの基準にもメリットはあるのです。

自賠責基準のメリットは、金額は低いけれど、揉めることなく簡単な手続ですぐに支払ってもらえることです。
任意保険基準も、示談交渉しなければならない点など自賠責保険基準の場合より若干の手間がかかりますが、比較的簡単な手続でそれなりの金額を支払ってもらえます。

裁判基準で支払ってもらうためには、裁判を起こして勝たなければなりません。
そのためには大変な手間と時間がかかります。通常は弁護士に依頼しないと難しいでしょう。

ただ、示談交渉段階でも、弁護士に依頼すればそれだけで裁判基準で算出した金額で任意保険会社が示談に応じるケースもあります。
過失相殺や症状固定、後遺障害等級その他で争いのある事案では難しいですが、何も争いがない事案では、どうせ弁護士が裁判を起こせば裁判基準で支払わなければならなくなるので、それなら裁判せずに早期に支払った方が任意保険会社にとってもメリットがあるのです。

死亡の場合

インタビューアー:

怪我の場合の流れについてよくわかりました。

それでは、不幸にして事故で亡くなった場合は通常どのタイミングで示談交渉が始まるのでしょうか?

弁護士:

一般的には四十九日の法要が終わってから示談交渉を始める場合がほとんどですね。

とはいえ、四十九日が終わるまで示談交渉を始めてはいけないわけではなく、遺族が望むならすぐに始めても構いません。
ただ、四十九日の法要までにかかった費用は「葬儀費用」として加害者に請求することができるので、それまでは賠償金の総額が確定しないという問題もあります。

また、四十九日が終わるまで示談を保留する理由の一つに、大切な人を失った遺族の心痛に配慮するということもあります。
四十九日が終わっても遺族が示談の話し合いをすることができる状態でない場合は、さらにしばらく期間を置くこともあります。

インタビューアー:

加害者の刑事事件が進んでいるなか、保険会社からの示談金額に応じてもいいのでしょうか?

弁護士:

示談に応じても差し支えはありません。

示談は民事の問題であり、加害者の刑事事件とは別なので、刑事事件の進行とは無関係に示談交渉を進めてもまったく問題ありません。
ただし、加害者の刑罰が確定する前に示談に応じると、刑罰が軽くなる可能性はあります。
刑事事件では加害者と被害者との間に示談や和解ができていて争いがなくなっていることが情状酌量の一つのポイントとなるからです。

インタビューアー:

応じてしまうと刑罰が軽くなる可能性があるんですね。

死亡事故の慰謝料に相場はありますか?

弁護士:

相場はありますが、先ほどご説明した3つの基準のどれを使うかで慰謝料額は大きく違ってきます。

裁判基準では、亡くなった被害者が家庭でどのような立場の人であったかによって3段階に分けられています。

  • ・一家の支柱の場合  2,800万円
  • ・母親、配偶者の場合 2,500万円
  • ・その他の方の場合  2,000万円~2,500万円

これに対して自賠責基準では、請求権者の人数に応じて金額が違ってきます。

  • ・被害者本人の慰謝料 350万円
  • ・遺族の慰謝料
      請求権者が1人の場合 550万円
        〃  2人の場合 650万円
        〃  3人の場合 750万円

一家の支柱が相続人1人を残して亡くなった場合、自賠責基準なら、被害者本人の慰謝料350万円と遺族の慰謝料550万円を合わせた900万円が死亡慰謝料となります。

裁判基準なら2,800万円ですから、1,900万円もの違いがあります。
ここでも、3つの基準のどれを使うかが重要な問題になります。

インタビューアー:

基準によってこんなに大きく変わってしまうんですね。

例えば被害者がまだ若かった場合など、将来得られたはずの収入に関して考慮はされますか?

弁護士:

被害者がまだ若かった場合などは、将来得られたはずの収入に関して考慮されます。

ただし、将来得られたはずの収入をそのまま補償するのは不公平なので、将来かかるはずだった生活費と利息が差し引かれます。
そうやって算出した補償額のことを逸失利益と言います。

インタビューアー:

主婦や学生の場合はどうなるのでしょうか?

弁護士:

主婦や学生でもフルタイムで働いている場合は実収入に基づいて逸失利益が計算されます。

しかし、主婦や学生の場合は仕事をしていない人が多いでしょう。
とはいえ、主婦は家事労働をしていますし、学生も将来は仕事をして収入を得ていたはずなので、逸失利益は認められるべきです。
そこで、主婦や学生の逸失利益を考えるときには「賃金センサス」に載っている平均賃金を基礎収入とみなして計算します。

賃金センサスとは、国が毎年行っている賃金に関する統計調査をまとめた資料のことです。
その資料の中から、平成29年の女性労働者の全年齢平均賃金は3,778,200円となっており、この金額が主婦の基礎収入として考えることができます。
学歴計・30~34歳の男性労働者の平均賃金は4,941,500円となっており、この金額が男子学生の基礎収入として考えることができます。

インタビューアー:

死亡逸失利益の計算はどのように行われますか?

弁護士:

逸失利益を算出する計算式があるので、ご紹介しましょう。

(年間基礎収入額-年間生活費を控除)×死亡時の「就労可能年数」に対応する「ライプニッツ係数」年間基礎収入額は、働いていた人の場合は原則として実収入額で計算します。

年間生活費の控除は具体的な金額で考えるのではなく、年間基礎収入から一定の割合が控除されます。
控除される割合は以下のとおりです。

  • ・一家の支柱
      被扶養者1人の場合・・・・・40%
      被扶養者2人以上の場合・・・30%
  • ・女性(主婦、独身を含む)・・・30%
  • ・男性(独身、幼児を含む)・・・50%

就労可能年数は、67歳まで働くと仮定して計算されます。
ライプニッツ係数というのは、中間利息を控除するために定められている係数のことです。

わかりやすいように計算例をご紹介しましょう。
被害者が30歳の独身の男性で年収400万円だったとします。

独身なので年間生活費の控除は50%、就労可能年数は37年(67歳-30歳)、それに対応するライプニッツ係数は16.711となります。
(400万円-400万円×0.5)×16.711=33,422,000円
3,000万円あまりの金額が高いか安いかはともかくとして、これが逸失利益として死亡慰謝料とは別に賠償されるのです。

示談交渉・弁護士に相談すること

インタビューアー:

弁護士に相談せず自身で示談金の交渉をすることは可能でしょうか?

弁護士:

もちろん、可能です。

弁護士に相談して示談交渉を依頼するには費用が必要になるので、事故による損害が比較的軽い場合は費用倒れになることを避けるために自分で交渉せざるを得ない場合もあるかと思います。

しかし、弁護士に相談しないと、知らないうちに損をする可能性があることは知っておいたほうがいいでしょう。
たとえば、示談金の計算方法として3つの基準があることを知らなければ、それだけで数百万円、事案によっては数千万円も損をしてしまう場合があります。

また、請求できる項目があるのに、請求できることを知らなかったために請求しないまま示談をしてしまうこともあります。
他にも、過失相殺や症状固定、後遺障害等級などで納得できないときに、適切な法的主張ができないと言い分が通らず、不本意な示談金額で示談してしまうこともあるでしょう。

インタビューアー:

やはり弁護士の先生に相談できたほうが安心ですね。

示談交渉におけるポイントを教えてください。

弁護士:

まず、保険会社は示談金額を低めに見積もってくることに注意が必要ですね。

裁判基準ではなく任意保険基準で計算した示談金額を提示してくることはさきほど説明しましたが、他にも低めに見積もってくる理由があります。

任意保険基準で計算するとしても、金額に幅がある項目では最低額を提示してきます。
保険会社は営利団体であり、利益を出さないといけないので、支払い額をできるだけ抑えようとするのです。

また、示談交渉で被害者からいろいろな意見を出されることを見越した上で、初回提示としては最低額を提示するというかけひきの問題もあります。
このような理由で、保険会社が提示する示談金額は最低額であると考えるべきなのです。
すべてのケースがそうだとまでは言いませんが、ほとんどのケースは交渉すれば増額できる余地があると言っても過言ではありません。

もう一つ、保険会社が示談金額を提示してくるときは書面を郵送してくるのが一般的です。
その書面の中には、示談金の総額の他に内訳として項目ごとに金額も書かれています。被害者にも過失があれば、過失割合も書いてあります。

示談交渉をするときは、書かれているすべての項目に目を通して、適切な金額が見積もられているか、増額できる余地がないかを検討すべきです。
請求できるはずなのに書かれていない「項目漏れ」がないかという点にも目を光らせる必要があります。

最後に、一度示談書にサインをすると、内容に納得できていなくても再び請求することはできません。
示談は争いを終わりにするという約束なので、後で蒸し返すことはできません。
示談書にサインする前に、損害賠償金額と項目を十分にチェックすることが必要ですね。

インタビューアー:

一度示談が成立すると、項目漏れなどがあってもやり直しや新たに請求することなどはできないのでしょうか?

弁護士:

原則としてやり直すことはできませんが、追加請求ができるケースもないわけではありません。

事故直後には軽い怪我だと思って示談したところ、後々予想外の後遺症が残ったようなケースです。

ただし、この場合は予想外の後遺障害と事故との因果関係を立証しなければならず、そう簡単に認められるものではありません。
他にも、相手に脅されて示談を強要されたり、騙されたりして示談に応じたような場合は示談を取り消してやり直すことができます。

被害者が無知であったり、窮状に陥っていることにつけ込んで、実際の被害の程度よりも著しく低い金額で示談したような場合は公序良俗に反して無効となるので、この場合も示談をやり直すことができます。
ただし、保険会社と示談する場合にはこのようなケースはまず考えられません。

インタビューアー:

では、損害賠償請求に時効はありますか?

弁護士:

あります。損害賠償請求権の時効は3年です。

ただし、項目によって、いつから起算して3年かが異なるので、細かく知っておくことが大切ですね。

後遺症に至らない程度の怪我や物損、死亡事故については事故の翌日、後遺症については症状固定日の翌日が起算点となります。
ひき逃げされた場合は、加害者の住所・氏名が判明した日の翌日が起算点となります。

インタビューアー:

それぞれの起算点から3年と決められているのですね。

時効は延長できないのでしょうか?

弁護士:

時効を延長する方法は大きく分けて2つあります。

1つは、債務を承認してもらう方法です。
被害者側が損害賠償債務を承認すれば時効の進行はストップし、承認した日の翌日から再度、時効が進みます。
具体的な方法としては、保険会社に「時効中断の確認書」を書いてもらったり、示談金の一部を仮払いしてもらう方法などがあります。

もう1つの方法は訴訟を起こすことです。
訴訟外の催告でも一時的に時効を延長することはできますが、催告後6ヵ月以内に訴訟を起こさないと効力がなくなってしまいます。
訴訟を起こせば、審理中は時効がストップし、判決が確定した後、時効期間は10年になります。

インタビューアー:

時効を延長する方法もあるんですね。

では、示談が解決するまでにかかる期間は、怪我・死亡それぞれどのくらいでしょうか?

弁護士:

示談で解決するまでにかかる期間はケースバイケースで開きが大きく、相場を示すことは難しいのが現状です。

当事者間に何も争いがなく、スムーズに進むケースなら、怪我の場合は治療が終わってから2週間程度、死亡の場合は四十九日が終わってから2ヵ月程度で解決できる場合もあります。
死亡の場合に期間がかかるのは、相続人を特定するために被害者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本と、相続人の出征から現在までのすべての戸籍謄本を取り寄せなければならないからです。

当事者間に争いがある場合は示談交渉が長期化しやすくなります。
過失割合などで言い分が食い違い、歩み寄りがないまま平行線となり、時効間近になっているケースもあります。

ただ、被害者か加害者のどちらかに保険会社または弁護士がついている場合は、3~6ヵ月以上交渉しても歩み寄りが見られない場合は訴訟を検討することになるので、示談交渉が何年も長期化するケースは多くはありません。
あと、後遺症が残るケースでは後遺障害等級の認定手続(通常1~2ヵ月)や異議申立ての手続(通常2~4ヵ月)に期間がかかるので、その分だけ長引きます。

インタビューアー:

示談が不成立になってしまうケースにはどのような理由が多いですか?

弁護士:

やはり、お互いの言い分が食い違うケースでは示談が不成立になってしまうことが多いです。
過失割合で争いがあるケースが典型ですね。

次に、物損で車の損傷状態には争いがなくても、それを金銭に換算するときに争いとなるケースも多いです。
事故車の評価額とか、修理代などで争いになって示談が成立しないことも多いです。

人身事故では、ムチウチ症などで治療が長引いたケースや、後遺障害等級に被害者が納得しないケースも示談が不成立になることが多いです。
あとは、被害者が「3つの基準」の知識を持っていて、弁護士に依頼したり裁判したりすれば損害賠償金が高くなることを知っている場合も示談はなかなか成立しません。

インタビューアー:

もし示談が不成立になった場合、その後はどのような流れになりますか?

弁護士:

さらに話し合って解決する方法としてあっせん手続と民事調停があります。

話し合いをやめて強制的に解決する方法として民事訴訟があります。

インタビューアー:

あっせん手続と民事調停、民事訴訟があるんですね。

この3つについてご説明いただけますか?

弁護士:

あっせん手続とは、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターなどの機関が実施しているもので、弁護士など専門知識を持った担当者が被害者と加害者の間に入って話し合いを進めて和解に導くものです。

公平中立な立場で話し合いを導いてもらえるので、被害者と加害者が直接話し合うよりも和解が成立しやすくなります。
ここでの和解には強制力がないというデメリットもありますが、費用は一切かからないので、利用してみるのもいいかもしれません。

民事調停は、簡易裁判所に申立てをして、裁判官や調停員という有識者のリードで話し合いをする手続です。
調停がまとまると確定判決と同じ効力があり、加害者が損害賠償金を支払わない場合は差押えなどの強制執行をすることが可能になります。

あっせん手続と民事調停は話し合いなので、証拠が完全にそろっていなくてもある程度の請求が認められる場合があります。
したがって、事実関係に争いはないけれど賠償額に争いがあって、被害者が主張する賠償額を立証する証拠が不十分という場合に適した手続です。

民事訴訟は裁判所に訴状を提出することから始まり、原告と被告がお互いに主張とその主張を立証する証拠を出し合い、最終的に裁判官が証拠を精査して判決を下すという手続です。
事実関係に争いがあって話し合いでは歩み寄りができない場合は、民事訴訟を提起するしかないでしょう。

インタビューアー:

裁判の途中で和解することはありますか?

弁護士:

あります。大半のケースでは裁判所から和解をすすめてきます。

原告と被告が主張と証拠書類を出し合った段階で、尋問をする前に裁判所が和解をすすめてくるのです。
この段階になると裁判官がその事案についてだいたいの心証を持っており、尋問をしても結果が変わることは多くないと言われています。

また、尋問が終わった段階で再度、裁判所から和解をすすめられることもあります。
この段階では裁判官はほぼ完全に心証を固めていますが、裁判所としてもできる限りお互いが納得できる解決をしてほしいと思っていて、最後の話し合いの場を設けようとしてくるのです。
実は民事訴訟でも判決よりは和解で終わるケースの方が多く、約7割の事案で和解が成立していると言われています。

インタビューアー:

和解になった場合、弁護士費用や訴訟費用は誰が負担することになるのでしょうか?

弁護士:

まず、弁護士費用は原則として依頼者の自己負担となります。

民事訴訟で勝訴すれば弁護士費用も交通事故による損害として認められますが、実際に弁護士に支払った費用が認められるわけではありません。
他の損害項目を合算した損害賠償金額の一割が弁護士費用として認められるのが一般的です。

自動車保険に弁護士費用特約がついている場合は、負担なしで弁護士依頼することができます。
訴訟費用というのは弁護士費用とは別で、裁判をすることそのものにかかる費用のことです。
郵送料や印紙代、コピー代、証人の旅費・日当などいろいろなものがあります。

訴訟費用を誰が負担するかは判決で言い渡されます。
原告が完全勝訴した場合は全額が被告の負担とされることもあります。
しかし、民事訴訟ではどちらかの完全勝訴ということはあまりなく、訴訟費用についても原告が何割、被告が何割という形で言い渡されるケースがほとんどです。
和解が成立するケースでは、各自がそれまでに要した費用を自己負担することとし、清算はしない場合がほとんどです。

インタビューアー:

無事に示談が成立しても加害者が損害賠償金を支払わない場合、差し押さえなどできるのでしょうか?

弁護士:

民事調停が成立した場合や、民事訴訟で和解が成立した場合は、判決が確定した場合と同じように差押えなどの強制執行ができます。

しかし、保険会社と話し合って示談した場合のように裁判所を通さない和解の場合は、そのままでは強制執行はできません。
強制執行をするには、民事調停か民事訴訟を起こして、加害者の損害賠償金の支払い債務を裁判上で確定させる必要があります。

インタビューアー:

本日は、お忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。

交通事故に遭われて、示談交渉のやり方がわからず困っている方、弁護士への相談を検討している方、保険会社への対応に不安をおぼえる方へのメッセージをいただければと思います。

弁護士:

交通事故に遭って示談交渉をするなどということは人生で何度も経験することではありませんから、困ってしまうのも無理はありません。

保険会社の担当者も中立公平ではなく、自社の利益を無視するわけにはいかないので、被害者としては保険会社に頼るのも得策ではありません。

保険会社が提示した示談金額が適切なものかどうか等、どうしていいかわからなくて困ってしまったら、ぜひ一度相談ください。
交通事故の事案の実績のある我々であれば無料相談時でもある程度お答え可能です。

交通事故に遭ったら、怪我や物損などの損害だけではなく、仕事や家庭生活などいろいろな面に影響が出ていると思います。
示談交渉を依頼いただければ、弁護士が代理人となってすべてを代行しますので、弁護士をうまく利用していただき、生活のすべての面で損害の回復を図る余裕が持てるようになればと思います。

インタビューを終えて

交通事故に遭ってしまったときの示談交渉について注意すべきポイントは多くあることがわかりました。和解でも示談でもいったん成立するとなかなか蒸し返すことはできないとのことなので、知っておくことも大切ですね。
知らないうちに損をする危険性があることもわかったので、万が一の時こそ弁護士の先生に相談させていただこうと思います。先生、本日はありがとうございました。

保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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