名前詩(なまえうた)とは何?
お題となる単語の各文字の頭文字に据えて文を作る「あいうえお作文」「折句(おりく)」という言葉遊びがあります。
題材を人名にしたあいうえお作文・折句を名前詩と呼びます。
例文
「山田(やまだ)さん」
「や」さしい心と
「ま」ぶしい笑顔の
「だ」れより素敵な山田さん
「田中(たなか)さん」
「た」くましくて
「な」かまを大切にする
「か」がやく笑顔の田中さん
「鈴木(すずき)さん喜寿の御祝」
「す」てきな笑顔
「ず」っと若々しく元気
「き」寿おめでとう!
名前詩の利用用途
現在名前詩を使用した感謝状などの書状を、お祝いの品として贈呈する利用が主になります。
書状以外にも時計やお皿、お酒のボトルなどにも名前詩を書きこんだ(彫りこんだ)ものもあります。
そういった贈呈品としての利用が中心のため、名前詩は「人名のあいうえお作文」から「人名のあいうえお作文・折句が入った書状またはそれが使用された商品」という意味で利用されることが多くなりました。
名前詩と他の呼称
- 名前歌
- 名前うた
- 名前折句
- 名前の詩
- お名前詩
2006年以降はポエムと言われるようにもなった
- 名前ポエム
- お名前ポエム
- ネームポエム
名前詩の歴史
現在詳細調査中です。少なくとも30年ほど前にはすでに存在したと記憶しています。
1990年代、教育の現場で生徒の発想と国語力を高める題材として注目されるようになった。
1997年10月20日 読売新聞朝刊にて「名前の⼀⾳⼀⾳を⾏の頭に振った名前詩」と紹介されています。
商標制度を利用する悪徳業者
名前詩の販売、特にインターネットでの販売は2002年前後から始まります。
2005年にとある会社がこれまで「名前詩」「名前の詩」と呼ばれていたものを英語の独自の商品名で、結婚式の贈呈用ギフトとして売り出しました。これがヒットします。
誤解のない様に説明しますが、その会社さんは独自の商品名を付けた「きちんと会社」です。そのヒットに肖りたいと思っても「きちんと会社」さんは商標を取得しており、他が真似れないようにしていました。
そんな中『もともと使われていた「名前詩」で商標を取って独占してしまえ』と言わんばかりに「名前詩」で商標申請をする業者が現れました。
ただし一般名称と言われる皆に使われている単語の「名前詩」で”きちんとした商標”は取得できません。しかし”きちんとしていない商標”ならとれてしまうのです。
商標には区分というものが存在します。
少し乱暴なたとえ話になってしまいますが、「トイレ」はトイレとして商標はもちろん取得できませんが、レストランの店名としては取得は可能です。
これはトイレをトイレと呼ぶことを誰かに独占させると困りますが、レストランの店名にトイレと使用できる人間が限定されても誰も困らないからです。
この制度を悪用した業者が「全く関係のない区分」で名前詩の商標を取得しはじめます。
解説:第16類は「紙、紙製品及び事務用品」に関するものが該当します。
印刷物とは「絵はがき、カタログ、カレンダー、雑誌、書籍、新聞、地図」がそれにあたります。
「本屋さんで取り扱われている商品」と思っていただけば分かりやすいと思います。
参考:商標登録ファーム
解説:第45類は「冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)、警備及び法律事務」に関するものが該当します。
結婚式場や葬儀場、他にはレンタル衣装・占い・結婚相談所・警備・探偵などが該当します。
参考:商標登録ファーム
法律の専門家でない私たちから見ても、まったく関係のない区分であることが分かります。
そしてこう言うわけです。
『「名前詩」は私たちが商標と取得しました。他は使わないでください。訴えます』
と。
補足:Wayback Machineにてアーカイブ(いわゆるWEB魚拓)されいた情報。ページは削除されている
「トイレ会社」が レストランで商標を取得して、『トイレの商標はうちのものだ。』とトイレ業者に警告をだした と説明すると分かりやすいかもしれません。
これが許される行為なのでしょうか??
いいえ、許されません。
歴史でも紹介しましたが、商標が申請される2008年以前から「名前詩」という言葉ははば広く使用されてきています。
結局「名前詩」って使っていいの?
弁理士さんに確認としました。
結論としては「あいうえお作文を制作」や「それを使用した商品販売」行為で「名前詩」の使用が妨げられることはない。
ということでした。
悪徳業者の取得した商標は「名前詩という店名の占い屋」や「名前詩という商品名のカレンダー」などにしか通用しません。
わたしたちができること
一般名称が商標登録されることはありません。だからこそ積極的に「名前詩」を使用し続けなければいけません。
(だれも使わなくなってしまえば、悪徳業者に独占を許すことになります)
商標の悪用は許されることなの?
別区分の商標を持ち出して、誤解を与える主張することそのものが違法の可能性があると回答を頂きました。
商標侵害に当たらないものに対して警告をする行為は脅迫罪、商標侵害に当たらない業者から商標使用料を得る行為は詐欺罪に該当する可能性があるということです。
商標の無料相談なら全国の発明協会で
発明協会では特許や商標などの相談を無料で受け付けてくれています。
心配な方は一度相談してみましょう。
悪徳業者による制度の悪用と業界を乱す行為は絶対に防がなければなりません。
みんなの「名前詩」を守っていきましょう!
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