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講師: | 金谷俊一郎 |
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講演テーマ: | 日本人なら学んでおきたい昔の教育から学ぶ『思いやりのこころ』 |
ワークショップ: | 恋愛検定の実施とグループワーク |
日時: | 平成28年12月17日土曜日 講演12時30分〜13時45分 ワークショップ14時00分〜17時00分 |
場所: | 静岡産業大学磐田キャンパス |
青山学院大学
新村沙樹
静岡産業大学の菊野ゼミは心理経営学が専門領域です。結婚や子育て、そして大学生にとって身近である恋愛、これらすべてに共通して大事な要素、「思いやり」に関する講演会が行われました。講師は歴史コメンテーターとして活躍中の金谷俊一郎先生。今と昔の「思いやり」を比較して、人間関係のヒントを学ぶ内容です。
また、彼らゼミ生が考えた「思いやり力」を測る『恋愛検定』を使って、「思いやりのある恋愛を実践するためには何が必要か」「思いやりのある結婚、家族、地域、夫婦、子育てとは何か」を学びました。この「思いやり」のマインドとスキルを恋愛の時期から持ち、経験をすることで、その後の結婚や出産、子育てにおいても相手を尊重し協働できるのではないかと考え、講演・ワークショップを企画したそうです。
講演会では、江戸時代の寺子屋の教科書や昔の道徳の教科書に記されている内容を紐解きながら、「思いやりのこころ」とは何かを学びました。
戦前の日本には「修身」という授業科目があり、子どもたちはその中で「実語教」という生き方や人間的な素養を学ぶ機会があったそうです。
愛国精神とは「家族が好き、友人が好き」の延長線上にある思いやりの心であって、決して戦争のための精神論ではない。GHQは、愛国精神が再び戦争を引き起こすことを恐れて教育勅語を廃止したが、金谷先生は、それが結果的に日本人の心の荒廃に繋がってしまったのではないかとおっしゃっていました。
また、天台宗の開祖である最澄の『自利とは利他を言う』の言葉を例に、「思いやりのこころ」とは何かを教えてくれました。思いやりとは、「自分の気持ちを押し殺して、自分を犠牲にすることではない。自分の嫌なことはやらない。また、『何かをしてあげましょう』ということでもない。まずは自分が打ち込めるものや工夫できることを探して、その結果、他人を喜ばせることができたら、それが最高の思いやりとなる。決して、思いやりに苦痛は伴ってはいけない。」ということだと学びました。
講演会を聞いた参加者から、「今まで『思いやり』とは、自分を犠牲にして、相手に何かをしてあげることだと思っていました。でも、金谷先生の話を聴いて『自分も幸せになっていいんだ。』という考えに変わりました。」という意見が聞かれました。
恋愛検定を使って、「思いやりを持った恋愛」を診断しました。さらに、グループごとに分かれて思いやりのある恋愛を実践するためには何が重要かを話し合いました。思いやりのある結婚、家族、地域、夫婦、子育てとは何かを話し合い、それをグループごとに発表しました。
「恋愛検定」は菊野ゼミの学生たちが一から考えました。「検定」と名付けたのは人の興味を惹きそうだと思ったからとのこと。今、恋愛に関してどうしたらいいか分からないという人や、自分を出すのを苦手とする人が多いので「恋愛検定」を通してどういうデートをしたら良いのか、思いやりの心を育むための参考になればと作成されたそうです。見合いの慣習がなくなった現在、恋愛のスキルはソーシャルスキルの一つと言え、今後生きていくうえで必要になってくるという背景から生まれました。
恋愛に関する考え方は人それぞれのため、個人のエピソードをそのまま問題に転用する手法を取り、色々な人に項目を作ってもらったそうです。例えば、設問項目のABCDの4つの選択肢のうち、Aを選択した人が60%いれば、社会的にこの選択肢を選ぶ人が多いということ(正しいという意味ではない)。設問項目は追加していき、バージョンアップしていくとのことです。男性のゼミ生が多く、女性のデータが不足しがちなので改良していきたいという意見が出ました。
恋愛検定の設問を作ることで、自らの恋愛スキルも高まったのかというと、「電車で知り合った子と、仲良くなれた。連絡先を交換することができました!」というゼミ生からの嬉しい報告もあり、恋愛スキルが高まったと言えそうです。恋愛検定、効果はありそうです。他にはない、このユニークな取り組みを次に繋げていき、民間の検定や、就活の自己分析、アピールポイントの指標などに活用できるようになるのが彼らの夢なのだそうです。
講演を聞いて「自利とは利他を言う」という言葉を知りました。今までは人の幸せのためなら多少の犠牲も必要と考えていたが、自分の幸せも大事にすることができるなら、それはいいことだと思いました。「ありがとう」など普段の言葉を大切にしたいと思います。
大学は、やろうと思えば何でもやれるところ。学生のうちに何かを企画するなら、ゼミはとてもいい環境だと思います。この企画を通じて、自分の考えを相手に伝えるのがうまくなりたいと改めて感じました。また、相手のほしいもの、求めているものを感じ取ることが大切だと思いました。
「思いやり」は、年齢も性別も関係なく、等しく使うことができる恋愛スキルだと思いました。また、教育勅語の愛国精神は、家族や友人が好き、という気持ちの延長であり、決して戦争をするためのものではないというお話は、目から鱗でした。物事の本質をきちんと理解する能力も、現代では必要なスキルであると感じました。
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