ほぼ日刊イトイ新聞

2019-11-11

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・なにかが足りないにしても、
 力のあるメンバーが少ないにしても、
 調子のいい選手がいないにしても、
 とにかく、それが現実で、
 「いまある勢力でしか戦えないのだから、
 そこから考えて、できるだけのことをする」。
 これは、2019年シーズンの原監督のやり方でした。

 「とにかく現実から出発する」という考え方は、
 わりと平凡に見えたりもするのですが、
 人は、なかなか選んでないことが多いんですよね。
 ああだったらなぁとか、こんなはずじゃないはずだとか、
 じぶんたちの現実をまっすぐに見ることは、
 あんがい、やれてないんです。

 現実がそれなりに正確に把握できていたら、
 大技小技を使ってなんとか接戦に持ち込むことができる。
 接戦に持ち込めさえしたら、ほんのちょびっとだけ
 抜け出して勝てる可能性がある。
 これで負けたとしても、気持ちを切り替えて次に行く。
 というようなやり方を続けていけると思うのです。
 ま、なんでも同じだよなぁと、ずいぶん参考にしました。

 戦力が足りない理由や、負ける要素を数え上げること。
 これを言ってると、ちょっと利口そうに見えるのですが、
 言っててもほとんど意味がないんですよね。
 そこを懸命に考えたらうまくいくというものじゃない。
 負ける要素が、細かいところまで明らかにできたとして、
 それをすぐに立て直すなんてことはできやしない。

 起こる可能性が少しだけあることについて、
 少し力を割いて対策を講じたとすると、
 どこか全力でやるべきところが弱くなる。
 修羅場の経験のある人は、なにかを捨てたり諦めたりね、
 万全じゃないけれど重心に力をかけるのが上手。

 なんてことを、一年の野球を見ながら考えてきたけど、
 次の試合は来シーズンなんで、もう現実も変わってる。
 足りないところについては、手を打ってあるはず? 
 なんか、ぼくらの仕事にもよく似てるんですよねぇ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
現実からしかはじまらないから、「夢に手足を」なんです。


ここ1週間のほぼ日を見る コンテンツ一覧を見る