アマゾンの納税額が楽天より圧倒的に低い理由

ITの巨人に長く根付く「フリーライダー」精神

さらに厄介なのは、アマゾンのような国際企業にとって決算数字の付け替えは、いかようにもできるという点だ。アメリカ本社に集めた日本からの知的財産の使用料を、アメリカ国内の租税回避地である、デラウェア州などで処理されれば、低額の納税で済ませることができる。

その実態は、アマゾンと各国の税務担当局のみが知りえる。その実態は守秘義務に守られ、その詳細が外部に流出することはない。

アマゾンジャパンの租税回避について、追及した国会議員が1人いる。自民党の参議院議員である三原じゅん子だ。2014年3月と2015年3月の参議院予算委員会で、この問題について質問している。

「(アマゾンジャパンは)日本でのシステム運営と顧客サービスを担当しているにすぎないのであって、販売を行っているわけではない、販売しているのはあくまでもアメリカ法人であるから法人税はアメリカに支払うというものです。これはアマゾンの領収書でも確認することができます。/国税庁に伺います。アマゾンのわが国での売り上げと納税額を教えてください」(2014年3月19日の予算委員会議事録)

それに対する国税庁の答えは、「アマゾンの日本における売上額と納税額について御下問ありましたけれども、申し訳ありません、個別の事項についてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます」というものだった。

「税金対策のプロ」を80人そろえる

租税回避という言葉がある。アマゾンなどの国際IT企業が、世界中に遍在するタックス・ヘイブンという低課税地域や、各国の税法の抜け穴などを巧妙に組み合わせ、納税額を少しでも減らそうとする節税手段だ。そうした国際IT企業などでは、百人前後の大人数の税制度の専門家をスタッフとして抱え、租税回避へと邁進する。

『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』によると、米アマゾンにも80人からなる税金対策部がある。会計や法律の専門家である彼らは、その知識を駆使し、アマゾンが払う税金が少しでも安くなるように知恵を絞り、その見返りとして高額の給与を手にする。

租税回避は、違法行為である脱税とは違い、一応、法律の条件は満たしているのだが、その目的は、各国の税制に従って正しく納税するということではなく、各国の税制の抜け穴を積極的に探し、合法的に納税を逃れることに全力を尽くすことにある。

次ページ租税回避は違法ではないが…
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  • かず8534b1b475c6
    アマゾンのような形態で日本で商売する法人に対しては、日本法人の利益基準ではなく売上基準で、日本法人(または日本支社)に法人税を課するように法律を改正すべきだね。
    up244
    down11
    2019/11/11 06:34
  • cicero513b5170a733
    良い記事。GAFAの暗黒面を語るとき、ネットの自由とか、社会の変化とか、が、主題になりがちだけど、もう少し他の視点も、思い出す事が必要だと思えた。現地税回避は、現地のGDPを根こそぎ吸引するようなものだね。こういう世界企業に対して、そもそも税とは何で、何のために必要で、誰がどう負担すべきか、という議論と、それを正しく徴収するための枠組み論を、それこそ学者の人たちに、国を越えてやってほしい。
    up218
    down11
    2019/11/11 07:59
  • といざヤす9fb97ee2a27b
    国境を超えた利益付け替えのほかにも・・・

    すでに巨大企業になっていた日本のアマゾンが、なぜか株式会社から合同会社に改組しています。

    会計には詳しくないのですが、合同会社は零細企業を想定しているために、決算を公表する義務がないらしいです。そうなると、やはり税金とか何とか・・・ですよね。

    まあ、そういうことらしいですよ。
    up171
    down12
    2019/11/11 06:43
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