小原笠が語ってくれた心の余裕。若き左腕のメンタルコントロールが一つ上の段階に達したと感じさせた場面がある。
今季最終登板だった9月27日の広島戦(マツダ)。5回。自らの暴投で同点とされた左腕は、悔しさのあまりロージンバッグをたたきつけた。冷静さを欠き自分を見失ってもおかしくない。だが次の打者に向かう前に一度マウンドを降りたのだ。
「あの時は、俯瞰して見ていた自分と投げている自分が一致してしまいました。でも自然と一度間を空けることができて冷静になれましたね」。落ち着きを取り戻し6イニングを1失点。新境地へとたどり着いた。
自らを支配下に置くという最高難易度の領域に歩を進めつつある小笠原。今年1年で心身共にたくましくなった22歳の来季が今から楽しみでならない。 (長森謙介)