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 トヨタ自動車が、電気自動車(EV)の開発を担う組織「EV事業企画室」を設けたのは、2016年12月のことだった。

 豊田章男社長直轄でメンバーは4人。室長には豊島浩二氏が就いた。前年12月発売のハイブリッド車(HV)、4代目プリウスの開発責任者だ。ほかの3人はデンソーなど部品メーカー3社から加わる異例の構成だった。

 「ベンチャー企業のように1年1年、生き延びろ」。豊田社長は説いた。

 1997年の初代プリウス発売以降、HVをエコカー戦略の中心に据えてきたトヨタが、EV開発にアクセルを踏んだ瞬間だった。

 EV事業企画室は昨秋、「トヨタZEV(ゼブ)ファクトリー」に衣替えした。ZEVは「排ガスゼロ車」のことだ。この夏には、水素で走る燃料電池車(FCV)のチームも加わった。EV関係の人員は約300人。半数はトヨタ以外の出身で、スバルやスズキなどからもメンバーが集まる。

 トヨタはもともと、FCVを「究極のエコカー」と位置づけ、EVには消極的とされてきた。

 EVは1回の充電で走れる「航続距離」が短く、充電時間が長い。そのうえ価格も高く、消費者に受け入れられにくいとみていた。14年にはFCVのミライを発売。当面はHVを中心に据えつつ、FCV普及をめざすという道筋を描いた。

 内山田竹志会長は17年、米メディアに対し「我々はEVの急速な普及に懐疑的だ」とも述べた。

世の波に押され

 同じころ世間では「EVシフト」が叫ばれていた。

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