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「妻が先に死ぬか、夫が先に死ぬか」で税金の額が激変してしまうワケ

その日が来る前に知っておきたい

妻が死んで税金が2倍に

夫・妻が亡くなって年金収入が変われば、払う税金の額も当然変わる。だがそもそも、年金生活者にどれくらい税金がかかっているかを知らない人も多いだろう。

都内に住む深沢成子さん(67歳・仮名)が語る。

「昨年夫が亡くなるまで、年金から所得税や住民税が天引きされていたなんて、意識したこともありませんでした」

深沢家の収入は年347万9002円。夫の年金が企業年金と老齢基礎年金、老齢厚生年金で計257万6100円、妻は老齢基礎年金と振替加算で計90万2902円だ。年金収入だけだが、もちろんここにも所得税と住民税が課せられている。

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ただし、年金には65歳以上なら120万円の公的年金等控除があり、深沢さんの年金は120万円以下なので、税額はゼロだ。一方で、収入が多い夫のほうは、年間7万2800円の税金が年金から自動的に天引きされている。

では、夫の死後、妻の年金にかかる税金はいくらになるのか。

「遺族厚生年金がもらえるので、私の収入は187万4902円に増えました。それなのに、振込額を見ると、税金が引かれていなかったのです」(深沢さん)

 

そう。実はほとんどのケースで、夫の死後、妻の税金はゼロで済む。いったいなぜなのか。前出の佐藤氏が答える。

「遺族年金は実は非課税なのです。寡婦年金や死亡一時金も同様です」

反対に、妻が先に亡くなった場合、夫が払う税金はどう変わるか。夫自身の年金収入が257万6100円あったとしよう。妻の死後もこの金額は変わらない。