グーグルがアルバムを作ることの重大な意味

無料で便利な代わりに情報を提供している

何かと便利なサービスではありますが…(写真はGoogleフォトのホームページより)
昨今の経済現象を鮮やかに切り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する――。早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏による新連載をスタートする。

何でもすぐに写真を撮るようになった

研究会などでホワイトボードに書かれた内容を撮影するのは、ごく普通に見られる光景となりました。

かつてのように重いカメラは必要ではなく、どこにでも持ち歩けるスマートフォンで簡単に撮影できるようになったことが大きな理由ですが、それとともに、写真をいくら撮っても、ほとんど無料で、事実上いくらでも保存できるようになったことの影響が大きいと思われます。

これは、写真に対するこれまでの考えを大きく変えるものです。

一昔前まで、写真は高価な情報保存手段でした。フィルム代、現像代、プリント代がかかり、それをアルバムに貼らなければなりません。このため、これまで写真を撮るのは、旅行や運動会などの特殊な場合でした。

それが、「タダでいくらでも保存できる」ということになったのですから、写真に対する考え方は基本的に転換することになります。ホワイトボードの情報をメモするために写真を撮るというのは、その1つの表れにすぎません。

次ページ写真が多くなりすぎて、必要なものを引き出せない
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  • OSがすべてを支配820a5ede8123
    香港デモ隊が必ずマスク着用なのは画像から個人が特定されるためで、筆者の主張はこの点、正しい。
    グーグルが検索エンジン開発会社を買収した時から、こうした世界支配を企んでいたのだから、一般庶民はその手に乗らないこと。
    スマホで写真を撮らない。撮るならデジタル一眼かコンデジ。
    そもそもスマホを持たないのが一番で、ガラケー、それもアンドロイド以外のOSの物を持っておけば安心なのだ。
    GAFAの世界支配は当面続く。少なくとも徴税で彼らを締め上げて行く手段くらいは、各国はまともに議論すべき。
    up9
    down3
    2019/11/10 17:17
  • といざヤす9fb97ee2a27b
    hamさまへ

    >個人の経済が良くなることを第一と考えている学者なのだが、その考えは強い者をより強くして経済のパイを大きくしようとすることには逆行する。それでは経済は良くならない。

    アメリカの「うなるほどカネを持っている実業家」や「エスタブリッシュメント」の一部には、「これ以上ビンボー人をいじめて格差を広げたら、オレたちが提供する消費財やサービスを買うニンゲンがいなくなって、経済が崩壊するんではないか?」と密かに恐れている人々がいると聞いたことがあります。

    ただ、まだ今は多数派ではないようですが。
    up3
    down1
    2019/11/10 18:53
  • Re:d3fbe8361270
     webの仕組みの概念を知っていれば目新しい内容ではないが、それでも非常に示唆に富んだコラム。

     スマホの写真には時刻だけでなく、(設定によっては)位置情報まで記録されるので、撮影場所を容易に特定できる。

     個人の行動記録を、世界中で極めて限られた組織だけが握ることができるという気味悪さは、一応知っておいた方がよい。

     中国人がアメリカ人を嗤うという、こんな主旨のジョークがあった。
     「中国では通信を監視されていると米国人は馬鹿にする。でも、オレたち中国人は監視されているのを知っている、奴らはそれに気付いてないだけなんだ」
     

    up1
    down0
    2019/11/11 01:03
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