映画『Sayonara』 愛を貫いて死を恐れない、ヤマトナデシコ
~ 変れば変るもの。日本人の美意識
(2014.10.15)
私がこれ書いたら、この映画について、日本女がアメリカ人に熱を上げる日本女性貶め映画だとか触れまわってる奴がいたみたいだけど、それは映画を見させたくない工作員のデタラメ。
ここのビデオ見ただけでも分かりますが、この映画は全く逆で、アメリカ人の男女がそれぞれ日本人と日本の文化に惚れ込むお話です。
そしてここのビデオでも出てきますが、映画の終わりの方でヒロインが歌う美しいメロディが何なのか、私も知らず最初はわからなかったのですが、昔の童謡集とか聴いててわかったのですが、これは、大正から昭和初期にかけて大流行した『花嫁人形』という歌です。この曲の歌詞は難解なのですが、花嫁衣裳に身を包んだ人形が泣いているという内容は、この映画内でヒロインが歌う場面の心情にちょうどつなげられています。日本には、今では知られていない、素晴らしい歌が本当にいっぱいあるんです。
『花嫁人形』 1924年(大正10年)発表
作曲:杉山はせを 作詞:蕗谷虹児
金襴緞子(きんらんどんす)の 帯しめながら
花嫁御寮(はなよめごりょう)は なぜ泣くのだろ
文金島田(ぶんきんしまだ)に 髪(かみ)結(ゆ)いながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ
あねさんごっこの 花嫁人形は
赤い鹿(か)の子の 振袖(ふりそで)着てる
泣けば鹿の子の たもとがきれる
涙(なみだ)で鹿の子の 赤い紅(べに)にじむ
泣くに泣かれぬ 花嫁人形は
赤い鹿の子の 千代紙衣装(ちよがみいしょう)
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(2012.6.7)
1957年のアメリカ映画『SAYONARA』(さよなら)(詳しくは右画像クリック)。マーロン・ブランド主演、ナンシー梅木(梅木美代志)が日本人初のアカデミー助演女優賞受賞の快挙を成し遂げた作品。『日本誕生』や『明治天皇と日露大戦争』とかもそうですが、なぜか日本では殆どと言っていいほど知られていませんね。今では見たことある人なんて希少では?
この映画はアメリカ人の小説が元で、アメリカ人の描いた日本人像であり、音楽が中国風なのが混じってたり、他にもちょっと違うだろって、ツッコミどころがないわけではないけど、何といっても当時の日本の風景、日本人たち、歌舞伎や能、浄瑠璃、茶の湯など日本の代表的伝統文化をまざまざと見せてくれるわけで、映画として大変な傑作であるだけでなく貴重な当時の日本の記録ともいえます。
舞台は朝鮮戦争時、米軍将校と日本女性の結婚がご法度とされていた頃。
日本女性と結婚した米軍将校の話に始まり、主役のマーロン・ブランドも歌劇団のスターだった日本女性と恋に落ち・・・ラストまでの展開、タイトルから連想される結末は・・・なのですが、とても見応えありますよ。
やっぱり本物の日本文化を垣間見れ、当時の日本女性や街並みがそのまま出てきてるところ、見逃せません。
当時の日本人の身のこなしや言葉遣いなど見るには、本当は古い日本映画を見るのが一番よく確かなのですが、この『SAYONARA』は日本という国を紹介するため、外国人がその魅力や文化のエッセンスをとりまとめたような映画なので、そういう意味でむしろ今の日本人は当時の日本人からすれば外国人同様であり、古い伝統文化とかをまとめて見るにはこっちの方が手っ取り早いような気もします。だけど身のこなしや言葉づかい、服装とかは、絶対、古い日本映画の方がシッカリしてます。
でも、もちろんイデオロギー的にも親日色丸出しだし、この『SAYONARA』、総じてとってもいい映画。
特に夫婦岩のシーン(右写真)、縄で結ばれている大きな岩と小さな岩。夫婦、男女関係ってのは本当はこんな感じ。小さい岩を守るかのよう寄り添ってる大きな岩。とっても感動的です ^▽^)
今のキチガイ左翼やフェミだと、「どうして女の方が小さいんだ! 差別だ。同じ大きさにしろ!」とか言いかねないし、“夫婦岩”というより、“母子岩”とかに勝手にされてしまいそうな感じですが、当時、そして本来の日本人の感性では絶対にこの岩は夫婦を連想させるものだったわけ。そもそも母子はずっと一緒ではありませんから。
それに同じ大きさなら男が女を守る必要もないし、小さく弱いからこそ女は可愛いのであって、傍らにいる女を男は守ろうとするわけ。
尚、ヒロインには当初、オードリー・ヘプバーンに打診したところ断られ、無名の新人の高 美以子が抜擢されたそう。高はロサンゼルス生まれの日系二世。
日本語「サヨナラ」が世界に知られるようなったのは、この映画から。また世界における日本女性のイメージ、この映画が決定づけたといってもいいでしょう。
当時の日本人の価値観として、女性とて死を恐れていなかったということ。
古くは『平家物語』から、心中もの、沖縄の自決伝などにも残されている通り、日本人、日本女性が文化として長い間持ち続けていた美意識・・・当時のそういう一途で凛としたヤマトナデシコ気質というものが非常によく伝わってきます。
とっても献身的だった当時の日本女性、世界中の男性の憧れ、モテテいたのは当たり前ですね。
それが今はフニャフニャで「命!」「命!」「命が大事!」ですからねえ。見苦しいです。
ハリウッドが日本女性を描いた似たタイプの映画としては、チャン・ツィイーが芸者役で主演の『SAYURI』(2005)がありますが、あれを見るくらいなら、絶対『SAYONARA』を見ましょう。
映画 『 サヨナラ 』 (Sayonara) より (1957)
出演:マーロン・ブランド、高美以子、レッド・バトンズ、ナンシー梅木 他
ヒロインの美しさに目がいってしまいがちでしょうが、お座敷に入って出る際のナンシー梅木の作法が見事です。それと、茶の湯でお点前を披露してる男性のカッコよさったらありません。女性のお点前だとああはいきませんし。
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◆日本人の美意識が結集!溝口健二『雨月物語』~ 品が悪くなった日本女性
◆日本神話が題材のスペクタクル巨編 映画 『 日本誕生 』について
◆日本に漫画・アニメ文化が興ったのは、痛い敗戦があってこそ ~ 石森章太郎の世界②
◆天皇陛下万歳! 大日本帝国万歳! ~ 愛国者なら大ヒット作『明治天皇と日露大戦争』は必見!
◆三船敏郎、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロン 往年の豪華キャスト ~ 侍の武士道の美徳が満開! 映画『レッド・サン』を見ました
◆本物の“大和撫子”入門 ③ ~ 我の否定、徹底した自己犠牲精神 新渡戸稲造『武士道』より
◆「日本の妖怪が勝ったぞ!」、いやあ、昔の日本映画は本当に素晴らしい
◆『エマニエル夫人』~『失楽園』~『千と千尋の神隠し』 女への阿婆擦れフシダラ洗脳工作の時系列ポイントと『或る女』
◆エセ保守 捏造ノスタルジーの映画『ALWAYS 三丁目の夕日』について
◆子供に見せるなら、『ハリー・ポッター』より『スター・ウォーズ』だな
◆『リボンの騎士』が暗示するもの ~ 手塚治虫のポジション
◆ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の愛した日本 ~ ドラマ『日本の面影』より①
私がこれ書いたら、この映画について、日本女がアメリカ人に熱を上げる日本女性貶め映画だとか触れまわってる奴がいたみたいだけど、それは映画を見させたくない工作員のデタラメ。
ここのビデオ見ただけでも分かりますが、この映画は全く逆で、アメリカ人の男女がそれぞれ日本人と日本の文化に惚れ込むお話です。
そしてここのビデオでも出てきますが、映画の終わりの方でヒロインが歌う美しいメロディが何なのか、私も知らず最初はわからなかったのですが、昔の童謡集とか聴いててわかったのですが、これは、大正から昭和初期にかけて大流行した『花嫁人形』という歌です。この曲の歌詞は難解なのですが、花嫁衣裳に身を包んだ人形が泣いているという内容は、この映画内でヒロインが歌う場面の心情にちょうどつなげられています。日本には、今では知られていない、素晴らしい歌が本当にいっぱいあるんです。
作曲:杉山はせを 作詞:蕗谷虹児
金襴緞子(きんらんどんす)の 帯しめながら
花嫁御寮(はなよめごりょう)は なぜ泣くのだろ
文金島田(ぶんきんしまだ)に 髪(かみ)結(ゆ)いながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ
あねさんごっこの 花嫁人形は
赤い鹿(か)の子の 振袖(ふりそで)着てる
泣けば鹿の子の たもとがきれる
涙(なみだ)で鹿の子の 赤い紅(べに)にじむ
泣くに泣かれぬ 花嫁人形は
赤い鹿の子の 千代紙衣装(ちよがみいしょう)
1957年のアメリカ映画『SAYONARA』(さよなら)(詳しくは右画像クリック)。マーロン・ブランド主演、ナンシー梅木(梅木美代志)が日本人初のアカデミー助演女優賞受賞の快挙を成し遂げた作品。『日本誕生』や『明治天皇と日露大戦争』とかもそうですが、なぜか日本では殆どと言っていいほど知られていませんね。今では見たことある人なんて希少では?
この映画はアメリカ人の小説が元で、アメリカ人の描いた日本人像であり、音楽が中国風なのが混じってたり、他にもちょっと違うだろって、ツッコミどころがないわけではないけど、何といっても当時の日本の風景、日本人たち、歌舞伎や能、浄瑠璃、茶の湯など日本の代表的伝統文化をまざまざと見せてくれるわけで、映画として大変な傑作であるだけでなく貴重な当時の日本の記録ともいえます。
舞台は朝鮮戦争時、米軍将校と日本女性の結婚がご法度とされていた頃。
日本女性と結婚した米軍将校の話に始まり、主役のマーロン・ブランドも歌劇団のスターだった日本女性と恋に落ち・・・ラストまでの展開、タイトルから連想される結末は・・・なのですが、とても見応えありますよ。
やっぱり本物の日本文化を垣間見れ、当時の日本女性や街並みがそのまま出てきてるところ、見逃せません。
当時の日本人の身のこなしや言葉遣いなど見るには、本当は古い日本映画を見るのが一番よく確かなのですが、この『SAYONARA』は日本という国を紹介するため、外国人がその魅力や文化のエッセンスをとりまとめたような映画なので、そういう意味でむしろ今の日本人は当時の日本人からすれば外国人同様であり、古い伝統文化とかをまとめて見るにはこっちの方が手っ取り早いような気もします。だけど身のこなしや言葉づかい、服装とかは、絶対、古い日本映画の方がシッカリしてます。
でも、もちろんイデオロギー的にも親日色丸出しだし、この『SAYONARA』、総じてとってもいい映画。
今のキチガイ左翼やフェミだと、「どうして女の方が小さいんだ! 差別だ。同じ大きさにしろ!」とか言いかねないし、“夫婦岩”というより、“母子岩”とかに勝手にされてしまいそうな感じですが、当時、そして本来の日本人の感性では絶対にこの岩は夫婦を連想させるものだったわけ。そもそも母子はずっと一緒ではありませんから。
それに同じ大きさなら男が女を守る必要もないし、小さく弱いからこそ女は可愛いのであって、傍らにいる女を男は守ろうとするわけ。
尚、ヒロインには当初、オードリー・ヘプバーンに打診したところ断られ、無名の新人の高 美以子が抜擢されたそう。高はロサンゼルス生まれの日系二世。
日本語「サヨナラ」が世界に知られるようなったのは、この映画から。また世界における日本女性のイメージ、この映画が決定づけたといってもいいでしょう。
当時の日本人の価値観として、女性とて死を恐れていなかったということ。
古くは『平家物語』から、心中もの、沖縄の自決伝などにも残されている通り、日本人、日本女性が文化として長い間持ち続けていた美意識・・・当時のそういう一途で凛としたヤマトナデシコ気質というものが非常によく伝わってきます。
とっても献身的だった当時の日本女性、世界中の男性の憧れ、モテテいたのは当たり前ですね。
それが今はフニャフニャで「命!」「命!」「命が大事!」ですからねえ。見苦しいです。
ハリウッドが日本女性を描いた似たタイプの映画としては、チャン・ツィイーが芸者役で主演の『SAYURI』(2005)がありますが、あれを見るくらいなら、絶対『SAYONARA』を見ましょう。
映画 『 サヨナラ 』 (Sayonara) より (1957)
出演:マーロン・ブランド、高美以子、レッド・バトンズ、ナンシー梅木 他
ヒロインの美しさに目がいってしまいがちでしょうが、お座敷に入って出る際のナンシー梅木の作法が見事です。それと、茶の湯でお点前を披露してる男性のカッコよさったらありません。女性のお点前だとああはいきませんし。
◆日本人の美意識が結集!溝口健二『雨月物語』~ 品が悪くなった日本女性
◆日本神話が題材のスペクタクル巨編 映画 『 日本誕生 』について
◆日本に漫画・アニメ文化が興ったのは、痛い敗戦があってこそ ~ 石森章太郎の世界②
◆天皇陛下万歳! 大日本帝国万歳! ~ 愛国者なら大ヒット作『明治天皇と日露大戦争』は必見!
◆三船敏郎、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロン 往年の豪華キャスト ~ 侍の武士道の美徳が満開! 映画『レッド・サン』を見ました
◆本物の“大和撫子”入門 ③ ~ 我の否定、徹底した自己犠牲精神 新渡戸稲造『武士道』より
◆「日本の妖怪が勝ったぞ!」、いやあ、昔の日本映画は本当に素晴らしい
◆『エマニエル夫人』~『失楽園』~『千と千尋の神隠し』 女への阿婆擦れフシダラ洗脳工作の時系列ポイントと『或る女』
◆エセ保守 捏造ノスタルジーの映画『ALWAYS 三丁目の夕日』について
◆子供に見せるなら、『ハリー・ポッター』より『スター・ウォーズ』だな
◆『リボンの騎士』が暗示するもの ~ 手塚治虫のポジション
◆ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の愛した日本 ~ ドラマ『日本の面影』より①