中日の契約更改が9日、ナゴヤ球場に隣接する選手寮「昇竜館」で始まった。初日はプロ5年目の石川駿内野手(29)をはじめ9人がサイン。今季限りで退団した小笠原道大2軍監督の金言を胸に、来季は1軍の舞台での活躍を誓った。
タイトルを獲得しても悔しさが残った。今季ウエスタン・リーグ首位打者の石川駿は現状維持の600万円でサイン。1軍では1安打に留まり、「どれだけ2軍で打とうと、1軍の1本は変わらない」。悔しさをにじませながらも、2軍で打力を向上できたのは小笠原前2軍監督から受けた指導のおかげだった。
今年2月の春季キャンプ。2軍の練習試合が終わった後、「このままじゃ2軍で終わってしまう」と危機感が募った。その日のうちに監督室に駆け込み、小笠原さんに「どんなにキツいことでもやります」と志願。そこから毎日のように打撃指導をしてもらった。
ナゴヤ球場で2軍戦がある時には自分の昼食の時間を割いてでも打撃をチェック。シーズン終盤に今季1軍で唯一の安打となる適時三塁打を放った時には、真っ先にメールで「手首は大丈夫か?」と痛めていた場所を気に掛けてくれた。
退団直前、最後に電話した時には「最低限、勝負できる形はできたから」とお墨付きをもらった。「これから結果が出せるかは僕次第。来季は1軍で今年の2軍でできたようにやりたい」と石川駿。お世話になった師匠のためにも、来季は1軍で打って、打って、打ちまくる。