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【国際】独首相「壊せない壁ない」 ベルリンの壁崩壊30年
【ベルリン=近藤晶】東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩壊してから三十年となった九日、現地で記念式典が行われ、ドイツのメルケル首相は壁が保存されている「ベルリンの壁メモリアル」で花をささげ、壁を越えようとして犠牲になった人たちを追悼した。 旧東独育ちのメルケル氏は、東西ベルリンのはざまに再建された「和解の礼拝堂」で演説し、「自由を求め、この壁で亡くなった人々を忘れない」と強調。壁崩壊は「私たちに壊せないほど高い壁はないことを示している。人々を隔てる壁を二度とつくってはならない」と訴えた。 冷戦終結につながった歴史的な記念日にもかかわらず、外国からの式典出席者は民主化の先駆けとなったポーランドなど東欧四カ国の大統領らが参加するにとどまり、米ロの首脳らの姿はなかった。 欧米とロシアは、ロシアによるクリミア半島併合を巡って対立。欧州と米国も貿易摩擦が続くなど世界情勢が色濃く反映された。十年前には、当時のクリントン米国務長官、ロシアのメドベージェフ大統領、英仏首脳も顔をそろえた。 九日夜には、壁崩壊の日に東西市民が殺到したブランデンブルク門前でも記念行事が行われる。 <ベルリンの壁> 東独から住民が流出するのを防ぐため、東独政府が1961年8月、西ベルリンを取り囲むように建設。総延長は155キロ。民主化要求の高まりを受け、東独は89年11月9日、旅行の自由化を発表。東西の市民が検問所に殺到し壁は壊された。東独から壁を越えて西へ逃れた市民は5000人に上るが、少なくとも138人が警備兵の銃撃や地雷などで死亡した。
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