米WeWork、非中核事業を売却 株主が創業者ら提訴

住建・不動産
北米
2019/11/9 7:43

【ニューヨーク=大島有美子】シェアオフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーは8日、オンライン上でのイベント立ち上げサービスなど非中核事業の売却や人員削減を検討していると発表した。同社は経営の再建を進めるが、ロイター通信によると、同社の株主などがウィー創業者やソフトバンクグループの孫正義会長兼社長らを相手取り、ウィーの企業価値を損なったなどとして集団提訴した。

WeWork創業者のアダム・ニューマン氏(18年、ニューヨーク)=AP

WeWork創業者のアダム・ニューマン氏(18年、ニューヨーク)=AP

同日、ウィーが10月に投資家向けに説明した資料を公表した。ウィーがこれまで買収するなどしてきたイベント作成の「ミートアップ」や、マーケティング技術の「コンダクター」など7つの関連事業を売却すると明記した。規模は明らかにしなかったが人員削減も進め「適切な規模の組織」を目指すとした。

資料によると、9月末時点のウィーのシェアオフィスの拠点は世界32カ国で600カ所に上る。開業から半年後のシェアオフィスの平均稼働率は2018年は84%だったが、19年9月末時点には80%に下がった。拠点を急拡大させた結果、顧客を十分に獲得できていない地域があるとみられる。中国などでは拠点の縮小が報じられている。

10月23日にはソフトバンクGがウィー株の追加取得や融資などで約1兆円を投じ、ウィーを支援すると発表した。ウィーの会長に就任したソフトバンクG幹部のマルセロ・クラウレ氏は「人員削減はする」と従業員宛てのメールでも明記した。削減規模は数千人とみられている。ウィーの従業員数は6月末時点で1万2500人超だった。

海外メディアによると、150人超のウィー従業員が8日までに組合をつくり、経営幹部に対して退職金の積み増しや雇用条件の改善を求めた書簡を送った。特にウィー創業者のアダム・ニューマン氏が経営から退くにあたり、保有株の売却などで十数億ドルを手にすることに対する反発が大きい。

ロイター通信は8日、元従業員の株主らがニューマン氏や孫氏、ウィー幹部らを集団で提訴したと報じた。米サンフランシスコの米連邦高裁にこのほど訴状を提出した。ウィーが新規株式公開(IPO)を延期し、企業価値が1月時点より大きく減ったことに対して損失の補填を求めた。ウィーの価値は1月時点の470億ドル(約5兆円)から、10月下旬には約80億ドルと8割超減少。訴訟案件も抱え、再建を巡る混乱が続きそうだ。

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