動物による癒やし効果がビジネスになる時代。アメリカでは、ヤギが注目されています。

【報告：ロサンゼルス支局　菅谷史緒記者】
アメリカ西部・オレゴン州にある牧場。納屋に駆け込んできたのは子ヤギたちです。アメリカでは今、ヤギと触れ合いながら行うヨガが人気を集めています。魅力は、好奇心旺盛なヤギとのスキンシップです。私も「ヤギヨガ」を体験してみました。背中に乗るヤギもいましたが、意外にひづめが柔らかくて、気持ちよかったです。

レッスンは１回当たり３５ドル、日本円でおよそ４０００円と少し高めですが、盛況です。参加した女性は「ヤギと一緒だと、普通のヨガよりリラックスできる」とのこと。別の女性は「とても楽しくてストレス解消になった」と話し、好評でした。

この教室を開いているレイニー・モースさんは、３年前からヤギヨガを始めました。当時、仕事や私生活に疲れていたモースさんは、ヤギとの触れ合いで癒やしを感じ、このヨガを思いついたといいます。モースさんによると「犬のようにほえない、猫のようにひっかかないヤギは、ヨガに向いている」といいます。

ヤギヨガの評判は全米に広がり、今では１６か所でレッスンを開いています。ヤギヨガ教室の２０１９年の売り上げは、９月までに１００万ドルと、日本円で１億円を超えました。モースさんは「ヤギヨガはまだまだ人気が出ると思う。海外にも広めていきたい」と話しています。

高まるヤギ人気を追い風に、新しいビジネスを始めた人もいます。ロサンゼルス近郊に暮らすスカウト・ラスキンさんは、自宅の庭を改装し、２年前からヤギを貸し出すビジネスを始めました。取材に訪れた日、貸し出しの予定表を見ながら「来週末はイベントや結婚式にヤギを連れていく」と説明してくれました。

飼っているヤギは現在４頭。貸し出しの依頼は１８年より４割も増え、ヤギたちは休む間もないほどの忙しさだといいます。取材した日は２頭の子ヤギをイベントに貸し出しました。

ラスキンさんは、ヤギの貸し出しは大きな市場になると見ています。どこか開拓時代を思い起こさせるその存在は、アメリカ人の心を癒やしてくれるといいます。ラスキンさんは「ヤギはアメリカ人にとって郷愁を誘う存在。心の奥底に働きかけ、ストレスを吐き出させてくれる」と話しています。

いや～、ヤギですか～。ビジネスとしてきちんと成立しているということなんですねえ。

広がりつつあるんですね。日本では、ヤギに雑草を食べてもらい、除草をするサービスがあるそうですが、ヤギの癒やし効果も注目されるかもしれません。